第30話 テディ 5
2頭ものドラゴンと3つのドラゴンの卵を連れて、ベイリンガル侯爵領に戻って来たエレノアたち。
初めての生ドラゴンに、ベイリンガル侯爵領内は蜂の巣を突いたような大騒ぎになった。
2頭の番のドラゴンのために広い土地が割り当てられ、土魔法使いたちの手によって、土と石で大きな
「ヒュー、みんなが一生懸命あなたたちのために作ってくれた新しいお家は、どう?」
『ああ、まあまあだ。この土地の魔力は心地がいいし、外敵もいない。子育てにはあの山より良いやもしれん。』
お父さんドラゴン、ヒューはそう答えると、食料を確保するために飛び立とうとする。
「あ、ちょっと待って!まだあなたたちを知らない領民があなたを見たら驚いてしまうから、取り敢えずなんだけど、これ、着けて。」
エレノアがヒューのしっぽの先端に、ベイリンガル侯爵家の家紋が記された布を巻き付ける。
「煩わしいかもしれないけど、すべての領民にあなたたちのことが周知できるまで我慢してね。いってらっしゃい。」
「いつ孵るのかな。楽しみ。あの大きさの卵から孵る仔ドラゴンだったら、ちっちゃくて可愛いよね~。」
それは、ずっとエレノアの後を、付いていった。
翌朝、ベアトリスが起こしに来る前になぜか目が覚めたエレノア。
「ん~・・・ん?・・・うわあぁぁぁ!!!」
侯爵令嬢らしからぬ、叫び声をあげた。
自分しかいないはずのベッドの中に、あり得ないものがあったのだ。
それは、昨日ドラゴンたちの
「な、なんで?誰の悪戯?ベアトリス?」
混乱するエレノア。
「もうお起きになったのですか!?今日はとっておきの幻術を用意して・・・卵?・・・お嬢様、ドラゴンのテイムの次は、自分の体温でドラゴンの卵を孵すという、新しい趣味に目覚めたのですか?」
「ええ!?ベアトリスの悪戯じゃないの!?」
「失礼な。・・明日の朝が楽しみです。ふふふっ・・・」
「や、やめてよ!だって、卵が・・・じゃあ、誰が?」
その問いに答えるように、ふよふよと卵が浮き上がり、ぽすんとエレノアの膝の上に落ちた。
「「は!?」」
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