第28話 ボクとキミとの最初に作戦
ピコン
電子音と共に、
『今、彼らの前の画面に表示されたのは、二人が倒した悪鬼の数だ』
『これで自分が倒した悪鬼の数を確認できます』
「えーっと、オレが十三で、
「何を言っているんですか大智さん? 誰よりも早くスタートダッシュを切っておいてズルいはないでしょう?」
「スピードはオレにとって最大の武器だからそれを使うのはありなの!」
「なら狙撃できることだって私の武器です。これでおあいこですね」
「何を! あーあ、こんなだったらしゃべってないで一気に倒しちゃえばよかった!」
「まぁまぁ、先ほどのは運もありますから。次は大智さんの方が多く倒せるかもしれませんよ?」
「よーし、負けないもんね! さぁ、次の悪鬼はまだかぁ!」
S級の二人の様子を見て、真一は
真一だけではない。他の隊員たちも全員、意気消沈して
「そんな……一瞬で?」「俺たち、本戦に行けるのか?」「間近で見るS級の力……ここまでとは」
そんな
「見たカイ? シンイチ。あれがS級の力サ」
真一の背後から、
「
彼は冷静で、とても落ち着いていた。それどころか、その声は少し楽しそうにさえ聞こえる。
「……そうだろうな。あんなのを相手に、僕たちはどうやって予選を戦えばいんだ? 悪鬼を倒さないと、本戦には行けないんだろう?」
「大丈夫サ。ボクに考えがあル」
「考え? 一体どんな作戦があるって言うんだ?」
「まァ見てテ……でも、これだけは先に言っておくヨ。ボクの作戦にはね、キミの協力が必要なんダ」
「僕の、協力?」
「あぁ、一緒に悪鬼を
「一緒に……?」
七志はその後、ゆっくりと隊員たちの前に歩み出て、そして、呼びかけた。
「みんな見たダロ! あれがS級の実力なんダ。このままじゃあの二人に、全ての悪鬼が倒されてしまウ。だけどみんな、落ち込むことはナイ。みんなの力を合わせれば、ボクたちはこの局面を必ず乗り越えられル!」
七志のヤツ、何を言っているんだ? いきなり前に出て、みんなの力を合わせるなんて言い出して。見てみろ、みんな困惑しているぞ……。
真一の思いをよそに、七志はさらに語りを続ける。
「確かにボクたちは、悪鬼を一体も倒せなかったら予選敗退ダ。でも、それは、何も一人でやらなければいけない訳じゃナイんじゃないカ? 二人で一体を倒したっていいじゃないカ!」
真一はハッとした。
もしも二人で協力して悪鬼を倒して、とどめを刺していない方の隊員も悪鬼を倒したことになるのなら、可能性はあるな……でも、それは本当なのか?
ざわつく会場。そして参加者たち。会場は不安と期待が入り乱れる
「信じられないって感じダネ。そりゃそうダ。……じゃぁ、試してみようカ。シンイチ」
急に呼びかけられ、真一はビクリとする。
「シンイチ、もうすぐ大きな鳥型の悪鬼が現れるはずだ、それをボクたち二人で倒ソウ」
「? ……分かった。でも、本当に大丈夫なのか?」
「あァ、心配いらないヨ。ボクたちなら必ず勝てるサ」
そう言う意味ではない。と、真一は思った。それを七志が気づいたかどうかは分からないが、不安げな表情を浮かべる真一を見て、七志はニヤリと笑う。
「さぁ、来るヨ……」
ボフンッ!
爆発音と共に、真一たちの目の前に、本当に鳥型の悪鬼が現れた。
悪鬼は甲高い鳴き声と共に、その黒く巨大な翼をはためかせ、真一たちを覆い尽くすような巨大な影を作る。
驚いて悪鬼を見上げる隊員をよそに、七志は真っ白な刀を取り出した。そして、その透き通るような切っ先を悪鬼に向けてゆっくりと掲げる。
「行こうシンイチ、ボクとキミとの最初の作戦ダ」
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