第3話

 ートントントン


 ージュワーッ


 「そっちの皿取って。」

 「はいよ。」


 仲睦まじく、料理をする二人。

 ーの、後ろ姿を眺める私。


 いや、立ち位置おかしいやろ。

 

 こういうのって、私がキッチンに立って、キャッキャッウフフするもんじゃないの?


 「今日はハンバーグだから。ハンバーグ好きだろ、アオ?」

 にっこりと眩しい笑顔を向けるレオ。

 ああ、好きですよ。

 好きですとも!

 ところで、なんでフリフリエプロン付けてんの?

 私より似合ってるのは、どうして?

 妙に顔が綺麗なもんだから、違和感無いんですけど!

 新妻ですか!?

 私の立場は!?


 「どうした?ハンバーグ嫌だった?」

 黙して歯ぎしりをしている私を訝しんで、レオが不安そうに眉尻を下げる。

 そういうお顔も美しいですね!

 ちくしょう。


 「今日、頭にうんこされて、機嫌悪いんじゃないのか?」

 リュウが、フライパン片手に、振り向く。

 

 「そっか。アオ、今日頭にうんこされたもんな。テンション下がるよな。」

 テンションは下がるけど、それ以上に下げられてるような…


 レオが私の顔を覗き込んで、大きな手で慰めるように頭を撫でてくれる。

 「よしよし、大丈夫だぞ。もう、頭にうんこついてないからな。」

 にっこり。


 なんだろう。

 あるのかどうか分からないけど、乙女心が傷付いた。

 料理も出来ない女子力ゼロで、こんな綺麗な人にうんこの心配しかされないなんて。


 リュウがお手製のかぼちゃのスープを持ってきてくれる。

 「ほら、元気出せよ。うんこなんか気にすんな。」

 「…」


 私と言えば、うんこの話題しかないのか!

 

 それで、そこの二人!

 あーんとかしてんじゃねえよ!


 「どうだ?」

 「もうちょい、塩味欲しいな。」

 「そっか。」


 何か、ムカついてきた!


 取り出したるは、スケッチブックと、鉛筆!

 何を隠そう、私は腐女子。

 気に入らない事があると、BLにして、憂さを晴らしている。


 この二人、BLにしてやる!

 腐女子舐めんな!


 早速、ハンバーグとかぼちゃのスープを持って立ち上がる。


 「アオ?」

 「私、部屋で食べるから!」

 お二人でごゆっくりどうぞ!


 部屋に入って、ハンバーグをぱくつきながら、スケッチブックを広げる。

 

 ええっと…

 なんだっけ…

 あの有名な、三角関係のやつ、なんだったかな?

 うろ覚えだけど、たしかバスケをやってたような…


 「ええっと…こんなんだったかな…?」

 ーカリカリカリカリ

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