第15話 『ダッチ』

怪盗イタッチ大作戦!!




著者:ピラフドリア




第15話

『ダッチ』





 イタッチとハオが戦う中。ダッチも虎に向かって走っていた。

 虎に近づいたダッチは刀を振り上げる。




 虎も杖に仕込まれた刀を横にして、ダッチの刀を受け止める。




 ダッチは全力で振った刀を仕込み刀で受け止められたことを驚く。ダッチの刀と仕込み刀では強度が違う。

 仕込み刀は隠している構造上、そこまでの耐久性はない。だが、虎はその刀でダッチの刀を止めた。




「どうした、動きが止まってるぞ」




 受け止めた虎はダッチの刀を弾くと、今度はダッチに斬りかかる。ダッチは刀を振ってダッチの刀を防ぐが、その一太刀、一太刀が斧で攻撃されているかのように重たい。




 攻撃を続けながら虎はダッチに告げる。




「武器も大事だ。その武器には魂が宿る。だが、武器だけが勝敗を決めるわけではない」




 このまま防いでいるだけではいつかやられると踏んだダッチは、一度虎から離れて距離を取る。




 虎は無理にダッチを追いかけることはなく。ダッチが離れるのを冷静に見守る。

 距離を取ったダッチは刀を小刻みに震わせ始める。




「……ほう、音波か。だが…………」




 虎は大きく息を吸うと大声を出す。それによりダッチの出した音波はかき消されてしまった。




「な、そんな…………」




 驚くダッチ。そんなダッチに虎は素早く近づく。そして仕込み刀ではなく、蹴りでダッチの腹を蹴って蹴り飛ばした。




 蹴り飛ばされたダッチは、地面を転がり倒れる。転がっても刀を離すことはなく、ずっと握っている。




 虎も親父と同じくかなりの老人だ。そんな老人に肉体的に負けていることを、ダッチは悔しく思い。刀を強く握りしめる。

 そして腹を抑えながら立ち上がった。




「お前と俺とではこれだけの力の差がある。抵抗しなければ楽だぞ」




「…………」




 ダッチは口に溜まった血を唾と一緒に吐き出す。

 そして再び刀を両手で持って構えた。




「……そうか。なら最後と行こう」




 虎は仕込み刀を腰の辺りにして構える。鞘はないが居合に似た構えだ。

 それを見たダッチは虎の動きに合わせて、腰にある鞘に刀をしまって居合の体制になった。




 このまま戦っても勝てない。なら、この技にかける。




 ──親父に教えてもらった。最初で最後の技──




 二人の間を風が流れる。静かとはいえない都会のビルだが、今だけは森の中にいるような静かな空気が周囲を包んだ。




 次の瞬間、二人は踏み込む。そして……。




 虎とダッチのお互いにいた位置が反転していた。



 ダッチがふらつき刀を地面に刺して倒れるのを防ぐ。そんなダッチの方を虎は首だけを動かして向くと、




「…………見事だ」




 虎は倒れた。





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