第5話 『ブラックダイヤ』

怪盗イタッチ大作戦!!




著者:ピラフドリア




第5話

『ブラックダイヤ』






 俺は怪盗。今日狙うお宝はブラックダイヤと呼ばれる黒い宝石。




 情報によれば、アベストルス美術館に保管されている。だが、一般公開はされておらず、開かずの部屋という倉庫に収納されている。




 数々の泥棒達がブラックダイヤを盗もうと空かずの部屋に入ろうとしたが、成功したものは一人もいない。




 俺は美術館の館長に予告状を送り、侵入方法を考えるために観光客として美術館に侵入していた。




「ここが開かずの部屋か……」




 美術館の二階。其ある一角にその扉があった。部屋の壁にはブラックダイヤの写真や模造品が飾られ、紹介されている。




 しかし、




「本当にこの扉を突破したものがいない……?」




 その扉は普通の扉と大差なく。鍵はついているが、厳重な倉庫というわけではない。俺レベルじゃなくても、ある程度の実力のある泥棒ならば侵入は可能なはずだ。

 それなのにブラックダイヤを盗もうとしたものは、誰一人生きて戻ってきていない。




 俺は美術館を出て、近くにあるアジトへ向かう。アジトとってもビジネスホテルだ。俺はそこで侵入方法を整理していた。




「……侵入自体はそんなに難しくない……。だが、なんなんだ……。このモヤモヤした感じは……」




 結局何も分からず。予告をした日程になってしまった。




 計画通り順調に進めば問題ない。だが、何か、違和感がある。嫌な予感を感じる。




 それでも俺は侵入した。




 美術館の外ではフクロウ警部が部下を連れて警備している。警備員の一人に変装して、中へと侵入した俺は、美術館の二階へと向かった。




 変装に使った折り紙を顔から引き剥がす。




「バレずに入ることができた……しかし」




 開かずの部屋。その前にたどり着いた俺は、開かずの部屋の違和感を感じる。




 真っ黒いオーラが部屋の中から漏れてくる。ドス黒く、危険なオーラ。本能が言っている、





 ──この部屋には入るな──




 と、




 俺は震える手に噛み付く。




 口に血の味が染み込む。




 手を落ち着かせた俺は、扉に手をつける。そして体重をかけて押した。




 中は薄暗い部屋。部屋の中央には淡い光を放つダイヤがガラスケースに入れられている。




「……あれがブラックダイヤ」




 黒いダイヤモンドに俺はゆっくりと近づく。




 美しい宝石が目の前にある。そのダイヤモンドに俺は手を伸ばす。




 こんなに簡単に入れて、これほど手が届く距離にあるのになぜ誰も手を出さないのか。

 これほどの宝石をたったあれだけの警備で、もっと厳重な警備でも良いはずなのに……。




 俺がダイヤの入ったガラスケースに手を触れた時。ブラックダイヤが黒い光を放つ。その光は部屋の全体を包み込む。




 俺はその光に目が眩み、目を瞑る。




 暗闇の中、声が響く。目の前から聞こえる。




「……っけ、なんだ、テメーはァ?」




 俺はゆっくりと目を開く。すると、さっきまでブラックダイヤがあった場所、そこに俺の姿があった。




「お、おれ!?」




「俺はブラックイタッチ。世界を股にかける大怪盗だ」










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