第4話 『名画を狙え!』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第4話
『名画を狙え!』
俺の名前はイタッチ。世界を股にかける大泥棒。
今日狙うお宝はエーグル美術館にある名画、トライゾンだ。
俺は美術館に事前に予告状を送り、そしてついに予告の日となった。
「事前に下調べはして、進入経路は決めていたが……」
俺は隣のビルから美術館を見下ろす。美術館の周りには多くの警官達が徘徊していた。
そして俺が侵入口として計画していた裏口には、フクロウ警部の姿もあった。
「あいつもなんだかんだで、俺のやることがわかってきたってことか。だが、まだ甘い」
俺は折り紙を取り出すと、それで手裏剣を作った。そしてそれに紐を通すと、美術館の二階の壁に向かって手裏剣を投げる。
手裏剣は壁に刺さり、固定される。さらにもう一つ折り紙を取り出し、それでフックを作ったら、手裏剣の紐を今いるビルにある柵に括り付けて、その紐を伝って美術館へと滑った。
美術館の二階の壁にたどり着く。窓から侵入しようとするが、窓は鍵がかかって開かない。
「ま、これくらいなら」
俺は折り紙でナイフを作るとそれでガラスを静かに割って美術館に侵入した。
予定の侵入経路はフクロウ警部がいるため、二階からの侵入となった。だが、例の美術品があるのは地下。俺は下へ降りるためエレベーターへと向かう。
だが、地下に行くためにはパスワードが必要だ。
俺はポケットの中から一枚の紙を取り出した。そこには地下に行くためのパスワードが書かれている。
予告の前の日。俺は一人の警備員に変装して美術館へ侵入していた。ちょうどフクロウ警部もやってきたタイミングだったようで、館長と共にフクロウ警部を案内する形で地下に入った。その時にパスワードを覚えておき、メモしておいたのだ。
地下へとたどり着き、部屋の中心に飾られた名画を手に取った時。真っ暗だった地下室のライトが一斉に俺の方を向いて照らした。
「こ、これは!?」
「待っていたぞ。イタッチ!!」
天井から声がする。俺が見上げると、そこには羽を羽ばたかせて飛んでいるフクロウ警部の姿があった。フクロウ警部が地面に着地すると、隠れていた警備員も姿を現し出す。
「あれ? 裏口にいたはずじゃ……」
「あれはダミーだ。俺の変装をさせたネコ刑事だよ!」
「お前が変装とかさせるのかよ!」
「お前を騙すためなら、するぞ!!」
フクロウ警部はそう言いながら俺に飛びかかる。だが、俺はすでに用意しておいた折り紙を空に飛ばす。
それは……
「太陽……? まさか!?」
俺が投げた太陽の形に折った折り紙が光を放ち、警備員とフクロウ警部の視界を奪う。
「あばよ!! 警部!」
俺はジャンプしてフクロウ警部の頭を踏んづけながら飛んでエレベーターへと向かう。
「お、追え!! 追え!!」
視界が安定しない中、フクロウ警部が叫ぶ。みんなは俺のことを追いかけようと走るが、うまく動けない。俺はその隙にエレベーターを起動させて、地上へと上がる。
一回でエレベーターが止まり、扉が開く。一回のエレベーターの出口では、フクロウ警部の報告を受けたネコ刑事が警備員を連れて待ち伏せしていた。
だが、扉が開いてもイタッチの姿がない。あるのは……。イタッチの三十分の一のスケールに折られたイタッチ折り紙だった。
「に、逃げられたーー!!」
俺はエレベーターの天井を伝い、二階から外に出る。そして紙飛行機を折るとそれを背中につけて空を飛んで美術館から脱出した。
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