#2-2(AIのターン) 想定外

「あ! 騎士さまだわ」

 一人の少女が騎士の姿を見つけると駆け寄ってきた。

「騎士さま、お化けは大丈夫なの?」

「お嬢ちゃん、心配はいらないよ。このお兄さんが倒してくれるから」

「まぁ、勇者様のお仲間の方ですのね」

「い、いや、勇者様では……」


 その言葉を聞き流しながら、僕達は広場を抜けようとした時だった。

 突然地面から黒い影のようなものが飛び出してくる。

「きゃっ!?」

 ノベルが悲鳴を上げると同時に、影は触手のように伸びて僕の腕を掴んだ。

「くっ!?」

 振り払おうとするがびくりともしない。

 そのまま影に引き寄せられていく。

「うわああっ!?」

 僕は叫び声を上げながら地面に引き倒された。

 全身に激痛が走る。

 痛みの感覚は現実世界と同じようだ。

『勇者ではない者は去れ!』

 目の前に出現したオリビアが剣を振り上げる。

『死ねええええ!』

 オリビアが絶叫とともに刃を振り下ろす。

「やめろぉっ」

 僕は叫ぶと同時に身を捻り攻撃を避けた。

 オリビアはすかさず僕の首筋を狙う。

「くそ、こんなところで死んでたまるか」

 必死で避けるも、オリビアの攻撃はどんどん鋭くなっていく。

『ほほほ、わたくし、もう容赦いたしませんわ』

『わたくしをここまで怒らせたのは貴方が初めてですよ』

『わたくしの怒りを思い知りなさい』

 オリビアはそう言うと再び剣を振る。

「ぐはあああ!?」

 僕は背中を強く打ち付け、地面に倒れた。

 オリビアの攻撃をかわすのが精一杯だ。このままではジリ貧である。

「くっ……こうなったら一か八か、賭けに出るしかない」

 僕は立ち上がると、オリビアの方に向き直る。

「いくぞ、オリビア」

 僕はオリビアに向かって走り出した。

『愚か者め』

 オリビアは僕を迎え撃つべく剣を構えた。


 #2-2ここまで

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