第146話 試験のヒント?
途中騎士からの思わぬ横やりが入ったけど、その後は予定通り宿に戻った。
食事をしてお風呂に入りその日はぐっすり休んだ。次の日から試験までの間、簡単な依頼をこなしたりして過ごしたよ。
「そろそろ試験について詳細でたかな?」
「う~ん確かにそろそろ話があってもいいよねぇ」
「スピィ~」
この日は薬草採取を済ませて町に戻ってきた。エクレアとも話したけどそろそろ試験について情報があってもいいよね。
スイムを撫でながら僕たちはギルドに入る。奥のカウンターに立っていたフルールと丁度目があった。
「あ! 丁度良かった。来たわよ試験の案内が!」
すると興奮気味にフルールが教えてくれた。丁度今さっきエクレアと話していたところだったけどきたんだねCランク試験の案内が。
僕たちは先ず薬草採取の報告を終え依頼料を受け取った後でフルールから一枚の紙を受け取った。
「これが試験についての詳細らしいんだけど正直よくわからないのよね」
だけど紙を見せてくれたフルールは困惑している様子でもあった。
とにかく紙に記された内容に目を向ける。
・Cランク試験案内
この紙を受け取った直後から試験の開始とする。
燃え盛る炎の上で泳ぐ赤い魚――
蒸し暑いトンネルで寝そべる牛の王――
朱色に染まる氷山――
以上三つが重なる場所にて道が示される。
「えっと、何これ?」
「スピィ~?」
エクレアが疑問符が浮かんだような表情で首を傾げた。スイムも似たような気持ちなんだと思う。
「いよいよ試験か」
「パパ!」
僕たちが頭を悩ませていると階段を降りてサンダースが姿を見せた。エクレアが声を上げてトコトコと近づいていく。
「ねぇパパこんなの受け取ったんだけど」
「うん? ……なるほどな。どうやら今回の試験官はひねくれ者も多そうだな」
エクレアから紙を受け取り目を通した後サンダースが頬をポリポリと掻きつつそんな事を言った。
「試験は選ばれた試験官によって内容が異なってくるからな。とは言えこれも試練の一つと思って頑張れよ。俺から助言するわけにはいかないからな」
「むぅ、確かにそうよね……」
紙を返してもらいエクレアが唸り声を上げた。確かにギルドマスターという立場上試験について教えられるわけないよね。
とにかく考えないと。改めて僕は文面に目を通す。
う~ん炎の上で泳ぐ魚、蒸し暑いトンネルの牛の王、赤く染まる氷山?
最初の二つだけなら魔物や魔獣の類のことなのかな? と思えるけどそれだと最後の一つは何なのかってところだしね。
「おい聞いたかよ。あの『エルヒント』ってレストラン今日だけ冒険者限定でキャンペーンやってるらしいぜ」
「マジかよ。あそこ美味いって評判だよね」
「それなりに高いし洒落た店だからちょっと私達には敷居高い気がしたんだけど行ってみようかなぁ」
その時、冒険者の話し声が耳に届いた。そのお店なら僕も聞いたことがあるね。
素材は冒険者ギルドからも提供されてるんじゃなかったかな。だからこそ冒険者限定でキャンペーン中なのかな。
あそこは肉料理も魚介料理もいけるしスイーツも色々――
「あ、もしかして!」
「え? ネロ何か思い付いたの?」
「うん! とにかく行ってみようエクレア!」
「あ、ちょネロってば!」
「スピィ~!」
「はは。ま、頑張ってこいよ」
「みんなファイト!」
そして僕はサンダースとフルールに見送られながらエクレアの腕を引いてスイムとも一緒にギルドを飛び出た。
これで考えが間違ってなければいいんだけど――
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