第115話 旧アクア鉱山探索⑨
『аБвДВЕ――』
「スピィ! スピィ!」
水中から姿を見せたのは蛇のような長い尾を持つ化け物だった。ただの魔物とは思えない。
全身が黒く染まっていてしかも巨大な目玉がいくつも飛び出ている。
全身もかなり長大だ。先端が開き口のような動きで不気味な鳴き声を上げているけど、それを聞いた途端スイムが僕にしがみついてブルブルと震えだした。
「スイムがここまで覚えるなんて一体どうして……」
「ネロ何か来る気をつけて!」
エクレアが叫んだ。見るとあの化け物がこちらを見て口を開いていた。
「まずい水魔法」
「スピィーーー1 スピッ! スピィ~!」
僕が魔法を講師しようとした瞬間スイムが訴えるように声を上げた。
何か危険な匂いがして僕は咄嗟に魔法を切り替える。
「水魔法・放水!」
勢いよく水を放出してその勢いに乗って横に飛ぶ。同時に化け物の口から粘液が吐き出された。
皆もしっかり避けていて地面に液体が掛かる。するととんでもない勢いで地面が溶け深い溝が出来た。
凄まじい破壊力だ――こんなのまともに受けたらひとたまりもない。
「確かにこの威力だと水の盾じゃ防ぎきれなかったかもありがとうスイム」
「スピィ……」
スイムが力なく鳴いた。まだ僕にひっついてフルフルしてる。
もしかしてあの化け物にまだなにかあるのだろうか? とにかく勝負はさっさと決めるべきだ。
「水魔法・重水弾!」
化け物に向けて魔法を行使した。さっきの攻撃は脅威だけど動きはそこまで速くない。
これなら僕の魔法は当たる!
『ЕВДбаж』
化け物から声が聞こえてきた。更に――僕の放った魔法が化け物に命中したかと思えば体の中にとりこまれてしまった。
「え? 嘘ネロの魔法が……」
「吸い込まれてしまいました」
「嘘でしょうあいつ一体なんなの!?」
皆から唖然とした声。これには僕も驚いた。まさか僕の魔法が吸収されるなんて……。
『жБжа――』
しかもこいつそれだけで終わらなかった。口があいて黒く染まった水の弾丸、そうまるで僕の重水弾を思わせる黒弾が飛んできたんだ。
「水魔法・放水!」
再度魔法を利用しての避け。だけどギリギリだった。ローブを掠るとそれだけで袖がボロボロと崩れ落ちていった。
壁にあたり轟音が鳴り響く。見ると壁に巨大な穴が出来ていた。しかも周囲がドロドロに溶けてしまっている。
「い、いい加減にしなさい! 爆魔法・爆裂破!」
フィアの爆魔法で化け物が爆発に巻き込まれた。
洞窟も大きく揺れる。
「セレナまさか今も駄目だなんて言わないよね?」
「……いえ。さっきのネロの魔法とあの化け物が返した力でも崩落しないのですからここはそれ相応に頑丈と見ていいと思う。だけど――効いてない」
セレナの声が震えていた。そうあの化け物は平然とそこに鎮座していた。全くダメージを受けてないようにも思える。
こいつ頑丈過ぎる。それにまさか僕の魔法が吸われるなんて一体どうやって倒せばいいのか。それにスイムもずっと震えている。
スイムが怯えるような何かがあるのかもしれない。何より気になるのは異様に黒く染まった湖だけど――
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