第109話 旧アクア鉱山探索③

 出てきたゴーストの集団はセレナの魔法で撃退された。この手のアンデッドはゾンビみたいに実態があるのと比べて物理的攻撃が効かないんだよね。


 だからセレナがいてくれて助かったよ。


「うぅ、私全然ダメダメだったよ~」


 セレナの活躍を見ていたエクレアが肩を落として嘆いていた。


 おばけが苦手なセレナはずっと震えていた。それを気にしているのかも。

 

 実は――なんだかちょっと可愛いなと思ってしまったのだけどそれは心の中にだけとどめておいた方が良さそうだね。


「誰だって弱点はあるんだし皆で頑張っていこうよ」

「スピィ♪」


 しょげるエクレアを元気づけようと思って僕は声を掛けた。


 スイムもエクレアの肩に移動して声を上げて頬にすり寄っている。


「うん。ありがとうね。でも、私も弱点を克服できるよう頑張るね」

「私も、何とか耐えられるよう頑張ります」


 エクレアとセレナがむんっと決意めいた表情で言っていた。皆の頑張りを見てると僕もしっかりしないとと思えるね。


「それで言うと私も全然活躍してないし……もっと制御できるよう頑張らないと」


 フィアも決心したような顔を見せたね。えっとそうなると僕は……。


「ぼ、僕ももっと水を使いこなせるよう頑張るよ!」

「えっと、ネロは今でも十分凄いような……」

「スピィ~♪」


 フィアにそんなことを言われてスイムもピョンピョン跳ねてるけど僕だってまだまだだなと思うことはあるからね。


 その後更に僕たちは坑道を進んだ。今度はコウモリのような魔物が出てきたりしたけどこれはそんなに苦労しないですんだね。


「見てネロ魔石があったよ」

「あ、本当だ!」


 途中でエクレアが魔石が埋まってるのを見つけてくれた。青い石だったよ。


 水の魔石は青かったり水色だったりするからわかりやすい。

 

「採取は私に任せて!」


 自信満々に口にしエクレアがハンマーを使って岩を崩してくれた。おかげで綺麗に魔石を採掘できたよ。


「でも思ったより少ないわね」


 採掘した魔石を見てフィアが言う。う~ん確かに今のところまだ一つだもんね。


「まだ奥に行けるからね。こっからいろいろ出てくるかも」


 そして僕たちは更に奥に進んだんだけど転がっていた骨が急に動き出した。しかもエクレアを囲んだんだ。


「不味いエクレア!」

「え? 何?」


 アンデッドだからエクレアが苦手かもと思ったて声を掛けたけど、エクレアはキョトン顔で返事しつつ周囲の骨をあっさりハンマーで砕いていた。あれ~?


「えっとエクレアってスケルトンは大丈夫なの?」

「え? だってそこにいるし……」

「幽霊系以外は平気なんですね」


 目をパチクリさせて聞くフィアにエクレアが答えた。それを聞いたセレナが納得が言ったようにうなずいているよ。


 う~んそういうものなんだね。でも確かに実態があればエクレアのハンマーで叩けるもんね。


 こうして出てくる魔物を倒しながら僕たちは奥に進む。だけどそのうちに行き止まりにぶつかった。


「ここ崩落したみたいだね」

「はい。これだと先にはいけませんね……」

「スピィ~……」


 皆の言う通り坑道の途中が大量の岩で塞がれていた。ここまでほぼ一本道だったから回り道もないんだよね……。


「こういうときこそ私の出番ね! 爆魔法・爆裂破!」


 するとフィアが魔法を行使しふさがっていた岩を爆発で吹き飛ばしちゃった!


「ふふん。どう? 道ができたわ!」

「出来たじゃないですよ。派手な爆発で天井が崩れたら危険なのですから~!」

「あ……」


 セレナに注意されてフィアが苦笑していた。とは言え道が出来たから結果オーライかな。


 ただ、なんだろうこの先、妙に空気が重たいような――

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