第27話

 お風呂から上がってベッドでまったりタイム中。


「明日タークさんという人が率いるパーティーに臨時に加入してオークの集落の討伐に参加することになった」


「危なくないのですか?」


「何パーティーか合同での討伐なんだから大丈夫じゃないかな?」


「オークの集落は強いオークが率いていると聞きます」


「オークリーダーと言うらしいな。ギルドの資料室で見た」


「無茶なことしたらダメですよ?」


「ルルカは心配性だなぁ」


 ルルカを抱き寄せてその感触を堪能する。


「強いオークは上位等級のパーティーが倒すんじゃないかな?」


 あ、あれ? これフラグになるか? 大丈夫だよな?


「という訳で明日は朝早く出るし帰りも遅くなるかもしれない」


「かしこまりました。無事のご帰還をお待ちしております」


 い、一応慎重な行動を心掛けよう。




 翌朝ギルドでタークさん達と合流してギルド2階の教室みたいな部屋に移動する。

 既に2パーティーが待っていた。

 ここで顔合わせと作戦指示があるらしい。


「ツトムはどの魔法使うの?」


 スクエラさんが尋ねてきた。

 同じ魔術士として気になるのか、いやパーティーの連携的な話なのだろう。


「土と風属性です。一応火属性も使えますが今回は森での戦闘ですし」


 氷結魔法もあるが実戦で1度も使ったことないし別に言う必要はないだろう。


「私は土魔法と水魔法」


 ……?

 続きは? 見た目通りの不思議ちゃんか?


「なのでもっと火力が欲しい」


「土魔法も火力あると思いますけど……それに土で土塁とか色々作れて便利ですし」


「何か作るのには便利」


 この不思議空気を苦手に思い始めた頃に新たに6人入って来た。


 げげっ。緊急招集の時のギルド職員ギリアス(弓士)がいるじゃん。

 もう一人は受付で何度か会ってる秘書風お姉さん。

 あとの4人は知らない人だ。



「集まってるな。

 今回この4パーティー合同で南東の森にあるオーク集落の討伐を行うことになった。指揮官を務めるギリアスだ」


「報酬はパーティー単位で1万ルク。討伐成功で2万ルク。オークの死体やアイテムは回収したパーティー各々の裁量に任せる。ただし上位種と魔法武具は基本的には討伐した者に権利があるが、誰が討伐したか曖昧だったり揉めるようなら全ての決定をギルド側に任せてもらう」


「ここまでで何か質問はあるか?

 …………

 ないようなので具体的な作戦説明に移る。

 まずギルドの馬車で南東の森入り口まで行き下車。そこから森に入り集落に向かう途中で3等級パーティー瞬烈と残りの3パーティーに分かれ、瞬烈は集落の東側から、残りは西側から攻撃する。

 最初の攻撃は東側の瞬烈が行い、攻撃確認後一呼吸置いてから西側も攻撃を開始する。

 東には私が、西側はこちらのミリスが指揮する」


 秘書風お姉さんが頭を下げる。

 ミリスさんか~


「挟撃する形なので殲滅に大した時間は掛からないだろう。

 オークを掃討後に集落を燃やして帰還する。

 以上が作戦だ。何か質問あるか?」



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-壁外区域のとある家屋にて-


 もう戦ってる頃だろうか?


 リビングでぼ~っと外を眺めながらツトムのことを考える。

 仕方ないのだ。

 やることが無いのだから……


 私が担当する家事は買い物と料理と整理整頓、ベッドメイクぐらいしかない。

 夕方に買い物に行くまでほとんど仕事がないのだ。

 これもそれもツトムが何でも魔法でこなしてしまうのが悪いのよ!

 いえ、悪気が無いのはわかってるけど……、これでは私は何の為に買われたのだか……


 うん。わかってる。

 十二分にわかり過ぎてることだ。

 ツトムは奉仕してもらいたくて私を買ったのだ。

 しかもツトムが望んでいる奉仕は凄くいやらしい奉仕なのだ。

 そう言えば王都で私を買った時、私の胸ばかりチラチラ見てたわね。

 あのスケベ小僧めぇ~


 こほん。

 私だって女ですし。

 ツトムに買われるまではたまに自分で慰めてたりもしてたわ。

 この歳でこんなにたくさん求められれば当然嬉しいわよ!

 自分でも『最近少し若返ったかしら』とか思っちゃうぐらいだし!

 奴隷という身分を横に置けば十分に幸せよ!


 …………

 いえ、例え奴隷でも幸せなことなんだわ。

 ほとんど冗談だったとしても、ティリアは奴隷になってでもツトムの傍に来たかった訳だし。

 私は夫を早くに亡くしたので経験しなかったけど、妻が30歳超えるとベッドを別にするのが一般的だ。大きい家だと部屋すら別々にすると言う。

 裕福な貴族や商家だと20代でも子供が生まれた後は別々に暮らし、それぞれ妾・男妾を囲うらしい。


 そう考えると30歳半ばの私をこんなにも抱いてくれる少年の傍にいられるのは恵まれてすらいるわね。

 娘や両親のことを想えば奴隷になって良かったとはとても言えないけど……


 おそらく今夜もたくさん……

 まずはお風呂で1回はするでしょうし……

 大体何なのよ! あのスケベ極まる椅子は!!


 お、落ち着きなさい。私……

 そうよ。奴隷として主が無事に帰還してくれることを願わなくては。


 馬車が襲われた時の槍や剣で戦う不格好さを思い出すととても心配になる。

 あの戦い方は間違いなく初心者だ。

 商人だった時に幾度となく護衛を雇った経験からわかるのだ。

 だけど魔法に関してはわからない。

 城で教えるぐらいなのだから凄いのだろうけど……

 浄化魔法で掃除や洗濯をするなんて今まで聞いたことがない。

 せいぜい体を綺麗にするぐらいだ。

 あの収納魔法もかなり容量が大きそうだ。

 商人にでもなったほうが安全に稼げるのではないかしら?


 少し目を閉じる。


 何か考えてないと言い知れぬ不安が襲ってくる。

 ツトムが次に若い奴隷を買ったら私はどうなるのだろう?

 すぐ売られるということはないと思うが私を求めなくなるかもしれない。


 このベッドで若い奴隷を抱いてる間、私は2階の自分の部屋で1人で寝ることになる。

 そんなのは嫌だ。

 一緒にお風呂も入れなくなるのだろうか?

 それも嫌だ。

 私はツトムに洗われるのもツトムを洗うのも大好きなのだ。


 まだ買われて10日ほどしか経ってないのに……

 10日間とはいえ1日も休まず抱かれてきたのだ。

 1日たりとも1回で終わった日はなかった。


 意識が落ちていく……


 まだ午前中なのだから昼寝ではない……はずだ。


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