第25話
「そろそろ今日はこの辺で終わろうか」
今日は?
「あの、自分が教えられることってもうないような……後は皆さんで習得するだけですし」
「こちらとしては回転するサンドアローで確実に猿とオーガを倒せる威力になるまで指導してもらいたい。他にも色々アイデアを出してもらったことだし。ちゃんと謝礼もするよ」
「謝礼は商業ギルドの件で骨を折ってもらったので別に構わないのですが」
「そういう訳にもいかないさ。次は5日後ぐらいでどうだい?」
「わかりました」
風魔法がレベル4に上がっていた。
途中木工所に寄り椅子を受け取り帰宅する。
食後、いよいよお風呂である。
「ツトムさ、んこちらは?」
「俺の故郷で使われていた風呂用の椅子だ。木工所に依頼して作ってもらった」
「この形はひょっとして……」
「その通り! うふふな使い方ができるのだ!」
「……」
「とにかく座ってみてくれ。どうだ?」
「……おかしな感じです」
「こうやって……」
「あっ。そんな……直接に……」
椅子の形状によって無防備になってるルルカの下半身をねっとりと洗う。
「んっ、んんっ。ツトムさ、ん……」
俺はルルカの背に密着している。
当然お尻には当たってる訳で……
「あ、熱い、んっ、です……」
ルルカがこちらを向き俺に抱き付いてくる。
「今度は、私が……」
ルルカがゆっくり腰を下ろした。
「あっ、あんっ」
ゆっくりと上下させるルルカの動きに俺は身を委ねた。
風呂は気持ちいい。
風呂は最高である。
翌朝、ルルカとのイチャイチャを早めに切り上げ南東の森へと出発する。
南東の森はバルーカ城の東門から東に行くと南に向けて広がっている森で、西の森のような密林タイプではなく木々の間隔が少し離れていて所々にスペースがある。
久しぶりにLPを消費し身体強化のレベルを上げた。
スキルのおかげか? 15歳の若さ故か?
中々快調に走ることができ、30分かからず森に到着。
そのままスビードを落とさずに森の中を駆けていく。
地図(強化型)で魔物のとこに行く。
オークがいた。
昨日風魔法を練習したので、まずは風刃を使い首を落とす。
迷子にならないように土壁で方向を示しながら進むと、
「走れ! 走れ!」
「逃げろ!」
懸命に荷車を押しながら森の奥から逃げてくる冒険者達の姿が見える。
その一人に見覚えがあり声を掛けた。
「タークさん!」
異世界生活2日目に俺をパーティーに誘ってくれた良い人である。
それ以降誰もパーティーに誘ってくれないので、ソロで活動すると決めてるもののちょっぴり寂しい思いをしていたのはナイショである。
「確かツトムだったか? オークの集団に追われている! 逃げろ!」
地図(強化型)で追われているのは知っていたが、オークの集団か。
「時間を稼ぎます! 皆さんは先に」
所謂『ここは俺に任せて先に行け』シチュである。
「すまない!」
土壁を作り土塁みたいなのも作る。
一人防衛戦だ。
決して『ウハ! 何この美味しい役回りは!』なんて思っていない。
赤点は30を超えている。
まずは昨日練習したウインドストームを放つ。
ここは和風に風嵐と呼称しよう。
範囲や威力を強めたり複数放ったりしながらオークを駆逐していく。
レベルが上がる。
大分数を減らしたとこで風槍(回転)を使ってみる。
やはり破壊力が強すぎて死体をダメにしてしまう。
あれでは売却できない。
残りを風刃で首を落とし死体を収納していく。
川端努 男性
人種 15歳
LV18
HP 152/152
MP 752/1214
力 47
早さ 59
器用 66
魔力 209
LP 14P
スキル
異世界言語・魔法の才能・収納魔法Lv4・浄化魔法Lv5・火魔法Lv4・風魔法Lv5・水魔法Lv1・氷結魔法Lv4・土魔法Lv4・回復魔法Lv5・魔力操作Lv3・MP回復強化Lv4・MP消費軽減Lv4・マジックシールドLv7・身体強化Lv3・剣術Lv1・槍術Lv2・投擲Lv1・敵感知Lv4・地図(強化型)・時刻
風魔法が昨日に引き続きレベルが上がった。
どうやら攻撃魔法のLv4→Lv5へのカギは範囲魔法を放つことらしいのだが、それにしてはファイアーボールを既に放っている火魔法がLv4のままなのは謎だ。
その後タークさん達が逃げてきた方向に進むと集落が見えてきた。
地図(強化型)に赤点が大量表示されている。オークの集落だ。
ここは撤退すべきだろうな。
数えてはないが赤点は100以上は確実でひょっとしたら200超えるかもしれん。
そうと決まれば長居は無用と走って離脱し帰る。
東の街道に出たとこで少し休憩しながら抜けてきた南東の森を眺めた。
あそこにオークの集落がある。
オークとしての生活があり家族がいるのだろう。
初日にゴブリンを殺した時からわかっていたことだ。
だがわかっていたのと実際に生活の場を見て感じることは別だった。
この異世界で生きていく以上割り切るか呑み込むしかない。
「ツトム無事だったか!」
ギルドの解体場でオークを売り中の建物を通過しようとしたところ、座っていたタークさん達が声を掛けてきた。
「時間稼ぎしてすぐ離脱しましたから」
「助かったよ。あのままなら荷車を捨てて走らなければならなかった。そうなったら完全な赤字だ」
「ありがとうね~」
剣士のタークさんに盾持ちの男性、弓士とたぶん魔術士は女性のパーティーだ。
「あの先にオークの集落があってね、ギルドに報告したところ明日いくつかのパーティー合同で討伐することになったんだ」
あの集落を明日……
「それでツトム。明日1日限定でいいので僕達のパーティーに参加してくれないか?」
「一月ほど前に実家の都合で魔術士が抜けてしまってね。収納持ちと火力の両方が不足しているの」
ここは参加すべきだろう。パーティーでの戦いを学ぶいい機会だし、明日1日だけでいいと言ってくれてる。
なによりオークの集落をきっちり攻撃して気持ちを固めねばならない。
「参加させて頂きます」
「ありがとう。僕のことは知ってるね? このパーティーのリーダーをしているタークだ」
「前衛のラルカス。盾役をしている」
「弓士のエルよ」
「魔術士のスクエラ」
ラルカスさんは20代後半で長身のガッチリ体型。
エルさんも20代後半で細身の控えめ体型。
スクエラさんは20ぐらいで見た目不思議系。
リーダーのタークさんは20過ぎの背の高いイケメン系だ。
「ツトムです。よろしくお願いします」
「よし。明日は朝ギルドに集合だ。ツトム、この後夕飯一緒にどうだい?」
「すいません。家で準備してるんで」
「ツトムはバルーカ出身なの?」
「そういう訳では。2日前に家を借りたばかりなんですよ」
「!?」
「それじゃお先に失礼しますね」
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