第12話

「パンは王都で他に……、いやそもそもルルカはどこの出身なんだ?」


「王都の東にある交易都市ロクダーリアの出身です」


「では王都のことはわからないか?」


「商人の時に3度ほど来たぐらいで、奴隷は売られるまでは商館から外に出ませんので。申し訳ありません」


「謝ることじゃない。自分に落ち度がない時は謝罪する必要はないからな」


「かしこまりました」


「こっちに来て」


 2人とも食べ終わったのでベッドで密着する。


「3日後のオークションにとある品を出品してるのでそれが終わった次の日に王都を出発する」


 たわわなお胸様を揉みしだきながら今後の予定を伝える。


「ンッ、はい」


「乗合馬車でバルーカに戻り家を借りるのが今後のおおまかな予定だ」


「は……」


 返事終わる前に深いほうのキスをする。


「明日ルルカには買い物に行ってもらう。特に動きやすい靴とリュックタイプのバックは必須だ。

 他に女性に必要なものも買って欲しい。俺ではわからんからな」


 お胸様を揉みながら耳の中を舐める。


「ンッ、わ、かり、ンッ、ました」


「もし美味しそうな食べ物を見かけたら教えて欲しい。出来立ての味が1番でないタイプの食べ物なら買っておいて欲しい。

 俺は他の奴隷商を見てくる。ルルカだけで何もかもというのは大変だからな。

 何か質問ある?」


「リュックタイプのバックというのは?」


「両腕が自由になる背負う形のバックだな、あまり大きいのはダメだ。他には?」


「これからまたなさるのでしょうか?」


 む。そんなことを言うとは。

 また双丘を揉み始めながら密着し、


「ルルカはどう思う?」


「先ほど2回も……」


 キスも再開する。


「ルルカはどう判断する?」


「……」


「ご、ご奉仕させて頂きます」


「誰に対して?」


「ご主……、ツトムさ、んに」


「初日だから大目にみよう」


 いきなり主導型ご奉仕エッチは無理そうだ。

 既婚者なのになぁ(←人妻はエロいという安直なイメージ持ち)


 まぁ時間はたくさんあるのだからじっくりコトコトと……だな!




「おはようございます」


 翌朝目覚めるとルルカは既に起きていた。


 素早く2人の口の中に浄化魔法を施し、ルルカを引き寄せキスをする。


「ンッ」


 舌を絡ませながら胸を揉んでるとたまらなくなりそのまま1本。


 なんかルルカの視線に呆れ成分が混入してるような……


 昨晩も1本終了後にイチャイチャしてたらたまらなくなりもう1本追加しちゃったし。



 いや待て。

 これは教育も兼ねているのだ。

 最初に確認したではないか、奉仕することに問題はあるか?と。

 彼女は問題ないと答えたのだ。例え奉仕するという概念に大きな隔たりがあったとしてもだ。

 昨日の決意を忘れてはいけない。

 エロは1日にして成らず。


 完璧な理論武装を施して精神を立て直すと昨日古着屋で購入した外出着をルルカに着せて、ついでに回復魔法を施し宿屋の食堂で朝食にする。

 どうも回復魔法は体力こそ回復しないものの疲労を軽減し翌日に疲れを持ち越さない効果があるようなのだ。


「昨日言ったようにバックと靴。他にルルカ自身が使う財布と布きれと簡単な裁縫道具も買っておいてくれ」


 部屋に戻り2万ルクを渡す。


「こんなに!?」


「昼もそこから適当に食べてくれ。女性として必要なもの……化粧品とか買うのも忘れないように。何か質問ある?」


「今日ツトムさ、んは奴隷を買いに行かれるのですか?」


「明後日に資金が入らないと購入自体ができないから今日は見に行くだけ。

 よほど良い奴隷がいないと取り置きしてもらわないよ。そう簡単にルルカのような美人さんには出会えないさ」


「そんな……」


「あとは冒険者ギルドで調べ物かな。訓練場も覗いてみたい」




 宿屋を出てルルカと別れた俺はまず男奴隷に強い奴隷商に向かった。もちろん男奴隷に興味はない。

 昨日行った冒険者ギルドと同じ方向にあるからというのもあるが、戦闘奴隷の豊富な店でルルカを見つけたように、得意分野以外でも意外な拾い物が潜んでいるかもしれない。

 要は2匹目のドジョウを狙った訳だが……




……


…………



 はい、2匹目のドジョウはおりませんでした。

 女奴隷は20そこそこの年齢までしかいないとのことで店先だけで辞退してきた。



 ギルドの訓練場に行くと多くの冒険者が各々訓練に励んでいる。

 一番奥は途中から薄い壁で仕切られており、弓士が弓を射てるようだ。

 置いてある木刀で素振りをしていると職員らしき人が入ってきて、


「指導を始めるぞー、まずは剣からだ」


 慌てて集まる人だかりに混ざる。


「では素振り始め!」


 周りを見ながら見様見真似で素振りをする。


 教官は問題のある者に一人一人指導していく。

 俺? もちろん一番長く駄目だしされたよ!


 その後は模擬戦という名のイジメである。

 4人一組で負けた者が交代するシステムだ。

 一度も勝てなかったのは言うまでもない。

 木刀でも痛いし痣になるので回復魔法の良い練習になる。

 剣の稽古のはずなのだが……



「次は槍をやるぞー」


 槍ならスキルもあるし勝てるぞ!

 と、意気込んだのだが槍は型を教えるのと演武のような手合わせのみで模擬戦はないらしい。

 危ないからだそうだ。



 昼食(肉パン)を食べて受付で魔術士の指導がないのか聞く。


「魔術士の指導は週1回で次は5日後となります」


 王都で指導を受けるのは無理みたいだ。



 午後も剣の指導を受けようと教官役の元に行くが、何やら午前と雰囲気が違う。集まる人数も午前より少ないし、何より午前の時に見た顔が誰もいないような…


「お! おまえ午前に参加してたな。なかなか根性あるじゃないか、頑張れよ!」


 ????

 何故か教官に激励された。


 午後は教官と獣人2人の下に4人ずつ分かれ5人一組で模擬戦を行う。


 俺は獣人の組なのだが、とにかくこの教官と獣人2人が鬼強なのである。

 午前中の模擬戦では全敗とは言えまだ何合か打ち合えたり俺の攻撃もたまにヒットしたりしたのだが、この鬼共には初太刀で沈められる。


 俺以外の3人は当然俺よりも技量はかなり上なのだが鬼からしたら同レベルらしく初撃ダウンを続けていく。


 回復魔法でなんとか立ち上がると既に3人は寝てて即俺の番という鬼サイクルになっている。



 1人脱落し2人脱落し、他の組もそんな感じで鬼共は獲物が起き上がってくるまで暇なのか雑談してる始末である。


 その様子を見ながら俺は思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る