第31戦記 光と闇

 光と闇、創造と破壊、対極する


 これら二つが戦う先には、どんなが広がっているのか?




【ネオ新宿区 都心近郊】


 デア・シャッテン・ローゼとジェネバスターはバリアをまとい互いに刃を交えた。


「ガキィィィン‼︎」


ミア「くっ…、くうぅぅぅぅっ‼︎」


悠理「うっ…、くぅぅぅぅぅっ‼︎」


 刃を交えたあとは、紅い流星と蒼い流星が交わって衝突するかのように、突撃と格闘を繰り返した。


「ガァン、ガァン、ガァン…‼︎」


ミア「はあぁぁぁぁっ‼︎」


G・T「うおぉぉぉぉっ‼︎」



ブラドス「フハハハハハ…、の戦い、面白くなってきたぞ‼︎」



ミア「フライト・ギア形態へ移行‼︎ フェアエンデルング、デア・シュトゥルム・ローゼ‼︎」


杏花「フライト・ギアに変形した⁉︎」


麻里奈「可変型アーマード・ギアでござったか‼︎」


 ミアはデア・シャッテン・ローゼを、デア・シュトゥルム・ローゼに変形させると機体のスピードを上昇させ、機体の前方部分に張られたライヒ・デア・ゼーレを強固にしてジェネバスターに向かって突進した。


ミア「フィールドごと貫く、ローゼ・ヴィントシュトース‼︎」


萌「こっちに向かって突っ込んで来るよ‼︎」


明日美「スピリットフィールドで受け止めましょう‼︎」


悠理「うおぉぉぉぉ‼︎」


G・T「スピリットフィールド、全開‼︎」


悠理「くっ…、あぁぁぁ…‼︎」


ミア「くっ…、強固なフィールドだ…‼︎」


 Gトルーパーズはスピリットフィールドを全開にし、デア・シュトゥルム・ローゼの機体を腕を胸の部分の前にして受け止めた。


直虎「みんな、スピリットフィールドの強さは精神力の強さ‼︎ 氣を強く持つのよ‼︎」


G・T「了解ラジャ‼︎」


悠理「うおぉぉぉぉ…、押し返せ‼︎」


ミア「くっ…、押し返される…、あぁっ…‼︎」


 悠理が氣を高めるとスピリットフィールドが強固になり、Gトルーパーズはデア・シュトゥルム・ローゼを投げ返した。


ミア「はぁ…、そろそろ終わりにするか…。ブリューテンブラット全領域展開‼︎」


 ミアはバーニアと肩当てを薔薇ように展開し、エネルギーをチャージした。


萌「ねぇ、花びらみたいなのがだんだん紅くなっていくよ‼︎」


杏花「すごいエネルギーを感じる‼︎」


麻里奈「あの態勢は発射態勢でござる‼︎」


悠理「発射態勢⁉︎」


明日美「まさか、あの花びらみたいなところから一斉に発射するの⁉︎」


麻里奈「いかにも‼︎ 胸の紅い光球から送られてきたエネルギーを花びらのようなバーニアと肩当てにチャージし、それを一気に放出させる武器と見た‼︎ その威力は計り知れぬぞ‼︎」


杏花「だけど今までの流れからすれば、あっちにそういう武器があるなら、こっちにだってあるんじゃない‼︎ ねぇ、直虎‼︎」


直虎「もちろん‼︎ 悠理くん、ジェネシックフルバーストを使いなさい‼︎」


悠理「ジェネシックフルバースト⁉︎」


直虎「ジェネバスターの背中にある光の輪のようなリング「アウレオーラ」に光球からエネルギーを送り込んで、一気に放出させるのよ‼︎」


悠理「光球からアウレオーラにエネルギーを…、イメージできました‼︎


 みんな、背中から光の輪が出ているイメージを思い浮かべて氣を放出するんだ‼︎」


G・T「OK‼︎」


 Gトルーパーズたちは精神を集中し、頭の中にイメージを思い浮かべながら氣を放出した。


G・T「アウレオーラ、展開‼︎ エネルギー、フルチャージ‼︎」


 ジェネバスターの光球から背部の光輪のようなバーニア、アウレオーラにエネルギーが送られ、アウレオーラが16方位の方向へと展開した。


 同時にジェネバスターの胸・両肩・両脚部分の光球が光り出し、胸の部分の前に強力なエネルギーが集束した。


ミア「死に咲け、ローゼ・エッシェルング‼︎」


悠理「切り開け‼︎」


G・T「ジェネシックフルバースト‼︎」


 デア・シュトゥルム・ローゼのローゼ・エッシェルングが巨大な紅い光の柱となり、ジェネバスターのジェネシックフルバーストが蒼白い巨大な光の柱となって二つの強力なエネルギー波がぶつかり合った。


ミア「くっ…、ぐうぅぅぅ…っ‼︎」


悠理「くうぅぅぅ…、ま、負けないっ‼︎」



富士山「た、頼む‼︎」


直虎「お願い‼︎」


福山「お互い、5分と5分か…」



最終隊員たち「Gトルーパーズ‼︎」



十字軍兵たち「師団長コマンデュール‼︎」



ブラドス「フッ………」



 周りにいる皆がそれぞれの思惑を胸に、彼ら彼女らを見守っている。



悠理「う、うおぉぉぉぉぉぉ‼︎ みんな、全開だぁぁぁ‼︎」


G・T「はあぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」


ミア「何っ…⁉︎ う…、うあぁぁぁぁぁぁっ‼︎」


G・T「やっ…⁉︎ あ、あぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎」



「ドガアァァァァァン‼︎」



全員「ああっ…⁉︎」



 デア・シュトゥルム・ローゼとジェネバスターの撃ち合いは相討ちとなり大爆発を起こした。お互いに機体はかなり損傷しており、所々がショートしていた。



直虎「あ、相討ち…⁉︎」



悠理「い、いたた…、みんな…、大丈夫…⁉︎」


萌「な…、何とかね…」


明日美「スピリットフィールドで減少させてもこの威力…、まともに受けたら大変ね…‼︎」


杏花「そう言えば…、アイツはどうなったのかしら…、あっ…‼︎ まだ動いてる‼︎ さすがにしぶといわね…‼︎」


麻里奈「でも…、機体を見て欲しいでござる…‼︎」


G・T「んっ…⁉︎」


麻里奈「黒い凶星の方は、ジェネバスターよりもダメージを受けているでござる‼︎」


ミア「はぁ…、はぁ…。少しダメージを受けすぎたか…‼︎」


悠理「本当だ‼︎」


麻里奈「さっきの撃ち合いでは相討ちにこそなったものの、威力では拙者たちの方が少し勝っていたのでござる‼︎」


萌「どういうこと…?」


麻里奈「一度に放出できるエネルギーの量・バリアフィールドの防御力・一撃の破壊力ならこちらが上なのでござる‼︎」


杏花「と言うことは…?」


麻里奈「機動性や戦闘技術、バイオフィードバックシステムの精度などなら一人で素早く対処し、効率よく処理できる分、一人乗りの方が有利‼︎

 でも、エネルギーを放出するバリアフィールドや高威力の兵器の扱いなら、5人分のエネルギーを一気に出せる分、拙者たちの方が有利でござる‼︎

 つまり、力押しなら負けないのでござる‼︎」


明日美「さすが麻里奈ちゃん、読みが鋭いわ‼︎」


杏花「よーし、そうと決まったら悠理‼︎ そろそろ、天地開闢斬で一気に勝負をつけるわよ‼︎」


悠理「分かった‼︎」


ミア「シンプルだが鋭い…。確かに一撃の破壊力やエネルギー量はお前たちが上だ。だが…、当たらなければ意味はない‼︎

 それにデア・シャッテン・ローゼはお前たちと対を成すアーマード・ギア、単純なパワーだけでは私に勝てん‼︎」


悠理「いくぞ‼︎ ムラクモソード‼︎」


ミア「受けて立ってやる‼︎ ムラマサブレード‼︎」


 悠理がジェネバスターのムラクモソードを取り出すと、ミアはそれに応えるかのようにデア・シュトゥルム・ローゼをデア・シャッテン・ローゼに変形させ、ムラマサブレードを取り出した。


悠理「みんな、行くぞ‼︎」


G・T「OK‼︎」


悠理「うおぉぉぉぉぉぉ‼︎ 天地、開・闢・斬‼︎」


ミア「一撃必殺の剛剣、示現流の流れを組む魔剣を受けろ‼︎ 秘剣、じっぽうざん‼︎」


悠理「ぐ…、ぐぐぐっ‼︎」


ミア「ぐうぅぅぅっ‼︎」



最終隊員たち「うわぁ、天が、大地が…‼︎」



十字軍兵たち「揺れ動いているぞ‼︎」



直虎「Gトルーパーズ…‼︎」



 ジェネバスターとデア・シャッテン・ローゼの機体全体を包むバリアと互いの必殺剣が激しくぶつかり合った。


 地面には大きなクレーターができ、大地は揺れ、空が震えて振動し衝撃波が起こった。



萌「悠理くん‼︎」


麻里奈「悠理殿‼︎」


杏花「悠理しっかり‼︎」


明日美「悠理くん、頑張って‼︎」


悠理「ぐっ…、ぐ…、はあぁぁぁぁぁっ‼︎」


ミア「ぐっ…、はあぁぁぁぁぁっ‼︎」


 デア・シャッテン・ローゼの十方斬がジェネバスターの右肩部分を切り裂くと、同時にジェネバスターの天地開闢斬がデア・シャッテン・ローゼの胴体を斜めに切り裂いた。


 天地開闢斬の威力が、十方斬に少し勝った。バリアフィールドのおかげで互いに致命傷は避けたようだ。



富士山・福山・最終隊員たち「おおっ‼︎」


直虎「やったわ‼︎」



十字軍兵たち「こ…、師団長コマンデュール‼︎」



悠理「はぁ…、はぁ…、やったのか…⁉︎」


ミア「はぁ…、はぁ…、お前たち…、どうやら私をらしいな…‼︎」


G・T「………⁉︎」


ミア「もっとも、お前たちには手向けの葬花となるかもしれないがな…‼︎」


 ミアの殺気染みた気迫がGトルーパーズたちに迫ったその時だった。



オペレーター「高速でこちらに接近する機影を確認‼︎」


直虎・富士山・福山「ええっ…⁉︎」


直虎「所属と規模は⁉︎」


オペレーター「先頭にいる指揮官機はデータがなく、一切不明です‼︎ ですが、周囲に10数機のパンツァーカイルがいることから、機甲十字軍と思われます‼︎」


直虎「まさか…、新たな13人衆…⁉︎」



十字軍兵A「あれは「ファントムゲンガー」‼︎」


十字軍兵B「ハーケンローゼス13人衆の一人で、13人衆のリーダー格‼︎」


十字軍兵C「機甲十字軍、第1機甲師団、師団長コマンデュール…、「霧幻ネーベル暗殺者メルダー」、「アイン・ミューラー」‼︎」



G・T「………⁉︎」


明日美「ハーケンローゼス13人衆の一人⁉︎」


杏花「こんな時にまた強敵⁉︎ もう勘弁してよね‼︎」


 肩や手足などの部分が尖った鋭角的なフォルムで、黒と水色を基調にカラーリングされたステルスタイプのアーマード・ギア、ファントムゲンガーに一人の男が乗っていた。


 この男の名前は、アイン・ミューラー。ハーケンローゼス13人衆の一人でリーダー格にして、機甲十字軍の第1機甲師団の師団長コマンデュール霧幻ネーベル暗殺者メルダーの異名を持つ男だ。


 金髪の腰ほどまである長髪をした長身・細身のドイツ人で、ヴィジュアル系のイケメンで黒いパイロットスーツを着ており、クールだがどこか寂しそうな目をしている。


※アイン・ミューラー=以下、アインと略。


アイン「随分と苦戦しているようだな、お前らしくない…」


ミア「アイン…⁉︎」


アイン「を開けるには、まだ早いんじゃないか…、ミア…?」


ミア「どうして、ここに…⁉︎」


アイン「作戦終わりのついでに、お迎えに上がったのさ。そろそろ招集の時間だ」


ミア「そうだったな。お前たち、命拾いをしたな…」


アイン「全機、ターミナル・コアへ帰還するぞ‼︎」


十字軍兵たち「了解フェアアインシュタンデン‼︎」


ミア(次こそは必ず…)


アイン「フッ…」


 機甲十字軍は全軍、ターミナル・コアへ帰還していった。去り際にミアはそっとGトルーパーズたちの方を見つめ、アインは軽く微笑んだ。



ブラドス「いいものを見せてもらった…。我らも帰るぞ…」


B・D教団員たち「エル、ブラドス‼︎」


 ブラドスとブラディスト教団員たちもブラディアル大聖堂へ帰っていった。



直虎「はぁ…、帰ってくれてよかった…」



悠理「ふぅ…、僕たち勝ったのかな…?」


萌「ま…、そういうことでいいんじゃない?」


杏花「悠理…、今日はアンタの割にはちょっとカッコよかったわよ。ちょっとだけ…、見直しちゃったかな…? でも…、変な勘違いはしないでよね…‼︎」


明日美「悠理くん、男らしい悠理くんも素敵よ‼︎」


麻里奈「見事な戦でござったぞ‼︎」


悠理「……………」


G・T「あははははは‼︎」


 悠理は少しだけ顔を赤くしていた。


 そして、Gトルーパーズと隊員たちも最終自衛隊総司令部へ帰還した。



 光と闇、二つのスーパーアーマード・ギアの壮絶な戦いは、今後より激しくなっていくことであろう。


 最後に現れたハーケンローゼス13人衆の一人、霧幻ネーベル暗殺者メルダーことアイン・ミューラーはどれほどの実力者なのか?


 そしてこのあと、最終自衛隊をあるが待ち受けていることなど、今のGトルーパーズと隊員たちは知る由もなかった。




【次回予告】


ナレーション:アイン・ミューラー


 霧幻ネーベル暗殺者メルダー、アイン・ミューラーだ…。


 戦いがひとまず終わって、最終自衛隊の連中は安堵しているようだが、まだそれは早かったみたいだ。


 フ…、まさか、あんな野心と欲に満ち溢れた俗物にな…。


 次回、宇宙創戦記XTENTION‼︎


 【第32戦記 不穏な空気】


 と言う話らしい。俺も少し楽しみだ…。

 









 


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