勇者になることを誓うが人を守れない

第19話 魔法について

「ありがとうございます」

　今思えば食事をするという行為が頭から抜け落ちて忘れていた。

　おにぎりを食べ始めると、お腹が空いていたことに気付かされるように3つをペロッと食べ終える。

「明日も冒険に行ってもらうから

　勇磨くんはあっちの部屋でしっかり休むんだよ

　私はこっちの部屋にいるから何かあったら言ってね」

「リーラさん、あの、風魔法が使えるようになりたくて、なので、その、また」

　お金がまた欲しいと正直に言えないでいると、リーラの手から急にベルトが出てきて、風がベルトを中心に吹き荒れた。

　そしてすぐにベルトに風が凝縮されていった。

「はい、このベルトに変えれば風魔法が使えるはずだよ」

「え！？あ、ありがとうございます」

　そんな自由自在に作れてしまうものなのか。

　改めて思うけど、リーラはこの世界においても何者なんだろう...。

　勇者...とはまた違うような。

　僕は貰ったベルトを冒険用のズボンに元々付いてたのと付け替え、その後受け取った本を読むことにした。

　その本にはこんなことが書かれている。

"魔法という不思議な力について私の見解をここにまとめる。

　人間並びに魔物には魔力と適性が備わっている。

　そしてこの世界には魔素というものが空気中に備わっている。

　備わっている魔力の大きさ、すなわち魔力量とは言わば器に入った魔素であり、魔素を蓄えられる上限と等しいということ。

　魔法でどんだけ威力が出せるかはこの魔力量で決まってしまう。

　魔法は魔素が蓄えられる、つまり凝縮されることで使える。

　強い想像が脳からの命令となり魔法を作り出す。

　この世界から魔素が尽きるなんてことがない限り、魔法が使えなくなることはない。

　っとここまでテキトーなこと書いてきたけど、もしこの原理が当たってたらすごくないか？？

　よし、こっからは武器について書いていくとしよう。

　武器を人工の器とするには魔法を使って無理やり蓄えさせる必要がある。

　鍛治職人にしかできない(と思う)特殊なやり方をするため、通常使ってても器にはならない。

　そのとき使った魔法の属性によって武器に適性ができてしまうため、決まった属性しか使えない。

　ちなみに2つ以上の属性を使うと魔力反発が起きて砕けてしまい、器を作れない。

　武器にできる適性は最大のため、あまりイメージしなくてもその属性の魔法が使える。

　まあ自分自身にその適性がなかったら扱うことができないけどな。"

　とまあ魔法について書いているのはこんなとこか。

　他にはケンゴウさんのこれまでの冒険話や適性パラメータについて、魔法と生きるための心得、魔法が使えない少女の悲しき理想なんてのもあったが、今日はもう疲れたしまたの機会に読むことにする。

　リーラに言われた部屋に行ってベッドに寝っ転がると、すぐに目が閉じていった。

　今日はもう風呂に入んなくていいや...。

　つづく