人気配信者たちのマネージャーになったら、全員元カノだった

柊咲

一章 ~狐の彼女は隷属をご所望する

第1話 犯してください


 ──どうして、こんなことになってしまったんだろう。




「……もう、先輩。すっごい興奮してる」




 寝室に移動した俺と彼女。


 ベッドに腰掛けた俺へと、彼女は四つん這いになって近づいてくる。


 ラフなTシャツの胸元が、だるんと垂れる。

 その先に見えた豊満な谷間へと、無意識に視線が釘付けになってしまう。




「あっ……おっぱいが気になりますか?」




 俺の視線に気づいた彼女は隠すことなく、不敵な笑みを浮かべ、さらに深くまで見えるようにTシャツの襟もとを指で下げる。


 目線を逸らす俺。


 だが彼女は目の前にくると、Tシャツを脱ぎ捨てた。




「いいですよ、もっと見て。むしろ見るだけじゃなく、触ってください。付き合ってたときみたいに、めちゃくちゃにしてください」


「いや、だが……」




 断ろうとした俺は、ふと彼女の後ろに視線を向ける。


 そこには、いつも彼女が配信で使っている椅子と机、それにパソコンが置かれていた。


 パソコンの壁紙には、彼女のもう一つの”顔”であるキャラクターが設定されている。

 そのキャラクターには世界各国に多くのファンがいる。本気で彼女に恋をするファンも、人生を捧げて応援するファンもいる。

 そんな世界中から愛されたキャラと同一人物である彼女は、俺以外に誰もいないこの部屋で、目の前で下着姿になっている。


 誰も知らない、裏の彼女……。


 そのことを意識すると、自分の中にある醜い一面が昂っているのがわかった。




「あっ……くすくす」




 独特な笑い方をする彼女は視線に気づくと、視界を奪うように、俺に跨って座った。


 熱を帯びた肌が重なり、俺の体に押し付けられた豊満な胸の柔らかさ、それら全てが懐かしく──あの頃の忘れ、消し去った思い出が蘇ってくる。




「やっぱり、先輩は興奮してくれた……。もしかして、付き合い始めたときのこと思い出しちゃいましたか?」


「な、なんのことだ?」


「くすくす、忘れちゃったんですか? じゃあ、思い出させてあげますよ」




 彼女は俺の手を掴むと、自分の背中へと誘導する。

 微かに汗ばんだ肌を触れ、ブラジャーのホックに手が触れる。


 溢れ出す唾を飲み、苦しいほど早くなった鼓動を抑える。




「……外して、いいですよ」




 指先が、ブラジャーのホックに触れる。

 何の意識もしていないのに、指先が勝手に動き、ホックを外した。


 バサッと落ちたブラジャー。

 豊満な胸が露わになっているにも関わらず彼女は動揺しない。

 それどころか胸元を隠さず、もっと見せようとするかのように密着させていた身体を離し、俺の両肩に手を置く。




「先輩、一緒にあの頃に戻りましょ? メイの心も身体もめちゃくちゃにしたあの頃に」


「俺は……」


「忘れられるわけないじゃないですか。だって先輩は、悪い人なんですから」




 くすくす、と。

 彼女は俺の本性を見透かすように、消そうとした過去を甦らせようとする。




「人畜無害そうに振る舞っても隠せない、消せない裏の顔がある。ねえ、先輩?」




 彼女は俺の唇に自分の唇を近づけると、寸前で止めた。




「前までのメイより、今のメイの方が興奮してくれますよね? だって先輩は■■■■■■■■■■■の女を■■■■■■して興奮する、正真正銘のクズ野郎なんですから」


「やめろ、俺はもう……」


「だけど安心してください。そんな先輩でも、メイはずっと側にいますから。それに誰よりも昂らせてあげます」




 ──だから。


 彼女は俺を引き寄せ後ろに倒れる。




「あの頃みたいに、めちゃくちゃに犯してください……ねっ、先輩?」




 俺を求める彼女を見て、理性は失い、手を出してしまった。


 また戻るのか、あの怠惰な日常に?

 また戻るのか、あの性欲に呑まれて狂った俺に?


 止めろ、止めろ止めろ。

 そう叫んでも、止まれない。


 だって俺は、彼女が言ったように正真正銘のクズ野郎なんだから。













 ♦



※この作品はフィクションです。

かなり過激な表現もありますので、お気を付けください。


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