第33話 斥候レベル上げとスキル検証
「よし、今日は色々確認しないといけないことがあるから頑張らないとな」
先日『アイテムボックス』のスキルを手に入れた俺は、このスキルを試すために様々なアイテムを収納してみた。
昨日色々調べて分かったのだが、アイテムボックスの1枠に入るのは1つのアイテムだけ。大きさは関係なく、明らかに箱に入らない大きさでもアイテムボックスに近付けると収納される。
「流石にどこかで限界はあるんだろうけどな……」
実験していけばそのうち限界を見極められるだろう。
ちなみに水なども入れてある。ポーションが容器ごと入ったことから、液体も1つのアイテムとみなすことができるようで、水が入った樽をそのまま取り込むことができた。
冒険者は戦闘で動き回ることが多いので、汗を掻きすぐに喉が渇く。だがいつでも十分な水を確保できるわけではないので、普通は残量をみながら少しずつ摂取する。
魔法のスキルがあればアイスアローを溶かして補充もできるが、それはそれで手間になる。
そんなわけで、こうして十分な水を確保できたので、俺はアイテムボックス内の充実したアイテムを見て安心した。
「そろそろ狩りをするか『アイテムドロップ率増加』も試したいからな」
最後にアイテムボックスの中のある場所を見て閉じる。
こちらは後のお楽しみだ。
「今日から斥候だからな、昨日までよりも多く狩るぞ!」
これまでの遅れを取り戻さなければならない。俺は剣を抜くと四層を周回し始めた。
「うん、やっぱり身軽なのはいいな」
四層を駆けまわり、多くのモンスターを狩りまくった俺は休憩場所に腰を降ろすとアイテムボックスから樽を取り出して水で喉を潤した。
「ぷはっ! 生き返るっ!」
よく冷えた水が喉を通り疲れを癒してくれる。
いつもよりも動き回ったせいで全身が熱くなっていた。
「この分ならあっちの方も期待してよさそうだぞ」
俺は樽からコップに水を注ぎ地面に置くと、アイテムボックスからあるモノを取り出す。
「やっぱり。出来立てのまんまだな」
アイテムボックスから取り出した料理はまだ熱く、湯気を漂わせていた。
休憩場所に美味しそうな臭いが漂う。空腹を意識した俺は早速料理を食べ始めた。
「そうなると、アイテムボックスに入っている間は時間が経過しないということだな?」
料理を口に含みながら俺は実験結果について考える。
スキルポイントが大量に必要なのはネックだが、アイテムボックスはそれを補って余りある有用なスキルだ。
「どうしてこんなスキルが今まで誰にも知られていなかったんだ?」
商人がレベルを上げるのは確かに大変かもしれないが、戦闘をする商人も決していなかったわけではない。もしこのようなスキルが存在すると知っていればもっと広く伝わっていてもおかしくないのだが……。
「そうか! ただ商人のレベルを上げるだけじゃ出ない可能性がある!」
俺は初めてステータス画面を見たときのことを思い出す。
『ステータス操作』のユニークスキルに目覚めるまで、俺はショートソードでゴブリンと戦っていた。
そのお蔭なのか、俺は最初から『剣術レベル1』を取得していたのだ。
ユーゴさんたちのステータスを覗いたこともあるが、その時も条件だけで言えばもっと高いスキルレベルまで上げられたはずだが中途半端なところで止まっていた。あれは恐らく、まだスキルレベルを上げきれていない状態なのだろう。
彼らの持つスキルポイントがレベル上昇時に与えられたままの状態なことから、自然に上がっているに違いない。
「本来、スキルを得るには熟練度みたいなものがあるんじゃないだろうか?」
仮説を立ててみる。
そう考えると色々と納得できる気がする。
「『アイテムボックス』は取得にスキルポイントが100も必要になる」
基本的にスキルポイントが高い方が自力でスキルレベルを上げる難易度が高いと思われる。
商人という戦闘に不向きな職業、そしてスキル条件を満たしてもスキルポイントを振ることができず熟練度も上げられない。
これならば、これまでアイテムボックス持ちが現れなかった理由が説明できる。
「あとは……秘匿されている可能性か?」
これほどのスキルなのだから使えるなら色々と重宝されるので、その可能性は低いのではないだろうか?
有用なスキルが発現したなら積極的に使えば地位も金も手に入るからな。
「まあ、考えても仕方ない。とりあえず狩りを続けるとするか」
俺は料理を押し込むと立ち上がり、狩りへと戻るのだった。
「今日はこんなものか?」
懐中時計を見ると、そろそろ戻る時間だ。
俺が今日倒したモンスターの数は600匹。それに対して出たドロップボックスは13個だ。
「内訳は……インゴットが10個にスクロールが3個」
大体今までの倍になっている。
「相変わらずインゴットが良く落ちるな」
恐らくドロップボックスからでるアイテムでも出やすさに違いがあるのだろう。
この層で得られるスクロールは時期に必要になるので冒険者ギルドに売っていない。できればもう少し集めたいところだが……。
「もうこれ以上、運に振るのは厳しい」
それならば『アイテムドロップ率増加』を上げるしかない。
幸いなことに、アイテムボックスがあるのでインゴットを落とす数が増えても問題がない。より多くの収入が得られるだけだ。
「振ったら後戻りはできないが……行くぞっ!」
俺は気合を入れると取得スキルを操作した。
「これで良し!」
名 前:ティム
年 齢:16
職 業:斥候レベル22
筋 力:246
敏捷度:260+44
体 力:309+22
魔 力:224
精神力:202
器用さ:240+22
運 :443
ステータスポイント:204
スキルポイント:22
取得ユニークスキル:『ステータス操作』
取得スキル:『剣術レベル6』『バッシュレベル6』『ヒーリングレベル6』『取得スキルポイント増加レベル5』『取得ステータスポイント増加レベル5』『取得経験値増加レベル5』『ライト』『罠感知レベル5』『罠解除レベル5』『後方回避レベル5』『アイテム鑑定レベル6』『短剣術レベル5』『ファイアアローレベル6』『アイスアローレベル6』『ウインドアローレベル6』『ロックシュートレベル6』『瞑想レベル6』『ウォールレベル6』『バーストレベル6』『魔力集中レベル6』『祝福レベル6』『キュアレベル6』『ハイヒーリングレベル6』『セイフティーウォールレベル6』『スピードアップレベル6』『スタミナアップレベル6』『アイテムドロップ率増加レベル5』『アイテムボックスレベル4』
どうせ最終的には取得するということでアイテムボックスも1上げておいた。
ステータスポイントについてはまだ悩んでいるが、ウォルターとの勝負の前に振っておけば良いだろう。
「斥候は明日には終わらせられそうだ」
俺はステータス画面を確認すると、満足して街へと戻るのだった。
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