もうすぐ夏休みの前にテストがありますが
「お待たせ透矢。待った?」
「んー、30秒くらい」
「そこは今きたとか言えよ」
放課後になり、昼間言われたとおり依子と2人で帰る。と、まぁいつも通りと言ったところ。
「で、どうだった。今日の学校生活は」
「……今までで一番スリリングだったかもしれん。だって気を抜くと……思い出すし」
「っ!?」
依子も顔を真っ赤にする。
いや、ほんと……今日は色々やばった……。
「……変態、ヘタレ、性欲魔」
「なにその、無駄にリズム感いい言葉並び。そ、そういう依子がどうだったんだよ……」
「……アタシも同じかも。つか、否定してない時点で察しろ鈍感っ」
「いててっ!」
横腹をつねられる。
照れ隠しに俺に軽い暴力振るのやめてくれません? あと鈍感がどんどん悪口っぽくなってません?
「まぁアタシたちの関係に横槍をいれる人もいなかったし、勘づかれてはないでしょ。それと、もう二度とアタシに内緒で他の男と会わせようなんて思わないでよ」
「も、もちろんだとも……」
だって依子は俺の事が——
「ほんとに分かってんの? 次紹介したら透矢がアタシの事、彼女以上として見れない、女友達のままでいたいって……判断しちゃうから……」
徐々に小さくなる声に、さらに申し訳なさを感じる。
今更だが、自分がとんでもないことをしたことに気づいた。
好きな人に他の人を紹介されれば、そりゃ嫌だし、怒るよな………。
「……本当にごめんな」
「ん、別にいいし」
「俺、ちゃんと向き合うからさ。ど、鈍感も……できるだけ治るようにするし」
「それ、治らない人の発言だから。てか、もう謝らなくていいし。その……あの時も言ったけど透矢がアタシの事で真剣に悩んでくれるの、嬉しいから……」
「……依子」
なんていい奴なんだ……。
「あ、でもお詫びその1としてポテトは奢ってもらう」
「いいけど……今日の放課後はどこに行くんだ?」
「モグドナルド」
「へー、珍しい。ラーメンじゃないんだ」
「ラーメンでも良かったんだけど……今日からポテトの販売が再開したらしいし。ほい、Twitter」
「え、ま?」
差し出された画面を見ると、確かにニュース記事がある。
輸入の関係でモグドナルドのポテトはしばらく販売するのをやめていた。俺もポテトロスを感じていた1人だったから、依子の発言に喜びを隠しきれない。
「よっしゃ、なら早く行こうぜ!」
「はいはい。全く……ほんと食べ物のことだと単純だよねー」
注文の品を受け取り、席に座る。
「ポテトうまうま」
久しぶりのポテト。熱々で美味い。やっぱりLサイズのポテトだよなー。
しばらく雑談していると、依子が切り出す。
「てか、朝も言ったけどもうすぐ夏休みじゃん。あと3週間くらいで」
「その前にテストがあるけどな」
「現実見せんなし。まぁ話したかったことはそれについてだけど。ねぇ、透矢」
「ん?」
「いつも通り、アタシの家でテスト勉強する?」
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