第42話 火野 京子の今日から女子高生〜前編〜
「あの、今日から東桜台高校に転校する事になった″16歳″火野 京子です! どこへ行けばいいですか?♪」
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〜早朝〜
火野 京子は包帯を両手に巻いた手が、特徴的な、胸のサイズEカップの綺麗な赤い髪を
今日は訳あって朝早く起きて若く見せるために必死に2時間かけて化粧を決めていた、なぜなら今日は警視庁の極秘指令で東桜台高校に潜入調査をする事で女子高生にならなければならなかったからだ、実質24歳が……
〜東桜台高校近くの薄暗い路地裏〜
「いいか火野、これは潜入調査であり今日お前は女子高生なんだ、絶対に刑事なんてバレるんじゃねーぞ」
ボサボサ頭のくたびれたコートを羽織った大柄な特殊能力対策課課長の山田 太郎が上司ぽく京子に対して任務説明をしていた。
「あーまず『お前』ってやめて下さいパワハラです、あと上司ぶるのもやめて下さい、ただただウザいです」
京子はスマホを弄りながら山田と目を合わせず、感情の無い棒読みな声色で答える。
「お、おい、お前……たく、はぁ……まぁいいや、何言ってもしょうがねーからなお前には、取り敢えず事前に色々と説明は受けているとは思うが、潜入前に聞きたい事や確認しておきたい事はあるか?」
山田は怒りを抑えて歯軋りをしながら、もう諦めた感じで話を続ける。
「そうですね、そもそも何で山田がここにいるんですか? こんな朝早くから……暇人ですか?」
京子はスマホを弄りながら聞かれた通り質問を投げかける。
「お、おま! だ、誰が暇人じゃ誰が!? うちの課の潜入調査なんだから上司の俺が来るのは、と、当然だろ……」
山田は図星を突かれたのか、慌てて動揺を隠せず誤魔化す様に口籠る。
「フッ、図星か山田」
京子はニヤッと笑い始めて山田と目を合わせた。
「くっ!? う、うるせー! お、俺はこう見えて忙しんだよ……でもそんな忙しい中でお前を見送りに来たんだろうがバーカ、バーカ」
精神的ダメージからか、はたまたライフほぼほぼ削られたからなのか、山田はただ京子に対して語彙力ないただただ暴言を吐く意外の対抗手段が頭に浮かばなかった。
「はあ〜心配症ですね、大丈夫ですよしっかり今日の潜入調査資料には目を通してありますから、それよりもこんなボサボサな大柄のおっさんと早朝に、こんな路地裏でコソコソ話してる方が援交だと思われて周囲に逆に目立って怪しまれます、さっさと帰ってください、それとも警察に通報した方がいいですかね?」
京子はさっきとは打って変わり真面目な口調で答えたと思うと、また冗談なのか本気なのか分からない
「わ、分かったもう帰るよ、たく勘弁してくれ……」
山田は天を仰ぐ様に顔を手で覆い、困った表情で呟く。
するとそんな京子と山田がやり取りをしてる時に遠くから四発のこの場には似つかわしくない音が遠くから響き渡った。
パン! パン! パン! パン!
「「!!?」」
二人はその音に直ぐに反応。
「じゅ、銃声……!? ですよね?」
京子は驚いた顔で山田を見る。
「そうだな、間違いない、一般人なら車のパンク音だと思うかも知れないが、ありゃ銃声だ」
山田は音のした方向を見つめると京子の問いに答える。
「たくしゃーねーな、俺はちょっくら行ってくるからよ、後は頼んだぞ京子、頑張れよ!」
山田は京子に一言声を掛けると銃声のした方へと歩みを進めた。
「えっ!? だったら私も行きますよ、一人では何があるか分かりませんから?」
京子も山田に着いて行こうと動き出す。
「バーカ、お前まで来てどうする? お前にはお前がしなきゃいけない任務があんだよ、それに俺は今は″暇人″なんでな」
山田は着いて来ようとする京子を笑いながら制止させ、おっさんとは思えない軽快なステップでその場を後にした。
「たくあのおっさんは……まぁしゃーない、山田が言う通り今やるべき事に集中するのが私の勤めよね」
京子は呆れた顔でため息をつき、心配そうな顔を覗かせながら山田の後ろ姿を見つめ、山田がいない不安な心を切り替え言われた通り本来の任務に集中した。
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〜東桜台高校〜
「……あ〜あ聞いてるよ、君が今日来るって言ってた転校生だね、だったらそこを真っ直ぐ行って、右に曲がった所に職員室あるから、そこに君の担任になる田中先生がいるから、その方に話を聞くといいよ」
事務員は京子のなんか違和感のある若者風な振る舞いに少し戸惑い一瞬沈黙してしまったが、直ぐに気持ちを切り替えて丁寧に説明をした。
「あ、あ、ありがとうございます」
京子も事務員の一瞬の間に羞恥心を揺さぶられたが、もう引き返せないと若作りした言葉遣いで丁寧にお礼を言い、まずは周りの好感度を上げることを狙った。
京子としては今日は潜入調査が本来の目的だが、他にも別の個人的目的として、婚活も兼ねてもいた、周りにいい印象を与え、それが噂になり、噂が噂を呼び、素敵な男性が白馬に乗って迎えに来てくれる筋書きだ。
事務員に言われた通りに職員室の前まで着くと、軽くノックをしてドアを開ける。
「おはようございます! 今日からこの学校に転校する事になりました火野 京子16歳です!」
京子は元気に好印象を持たれるだろう挨拶で、特に年齢を強調した、すると奥の方から小さい眼鏡を掛けた可愛らしい茶髪のショートカットの女性が反応してこちらに近づいてきた。
「あぁー聞いてますよ、私は今日からあなたの担任になる
「あっ! どーも私は火野 京子と申し……」
お互いが握手が出来るくらいの距離に来た時、始めは明るく挨拶して来た田中先生は京子を見るなり固まり、さっきまでの明るい表情が消え、そして京子も同様に笑顔が消え青ざめていた。
「え〜……火野 京子、24歳、独身、男に夢ばかり見て、いまだに白馬に乗った王子様が来ると信じる、彼氏いない歴イコール年齢の火野 京子さんでよろしいでしょうか?」
田中はものすごい冷たい目線で京子を見つめ、京子の痛い所を淡々と話だし問いかけてきた。
(バ、バレてる……もう一発目でバレてる奴じゃん)
「あっはっはっは……やだな先生! 私16歳です♡」
京子は必死に誤魔化した……いけるか!
「でっ、その自称→6歳で、無駄に胸だけがデカイ制服マニアの痛い24歳処女がどの様なご用で」
田中先生は軽蔑の眼差しで京子を見ながら淡々と問う。
(いけなかったーー!)
教師とは思えない毒舌で京子を追い詰める。
「しよ、処女じゃねーし、制服マニアでもねーし、つ〜かお前だって無駄に胸がデカイが根暗な処女だろがどうせ」
京子も言われるだけじゃ悔しいので言い返してやった。
「厨二病」
田中は簡単かつ一番に京子に言ってはいけない一言を言った。
「あー、あー……テ、テメー! それは言っちゃいけないだろが根暗チビメガネ」
京子はもう子供の様に言い返す他なかった。
「こいつ、田中 利里とは高校時代の同級生で、別に仲が良いわけでもなく、ただただ知り合いなだけだ、お互い学生の頃ダメな意味で目立っており、コイツは根暗で友達はおらず、一人で机で無心に絵を描いてる地味な女だった、そう言う私は、毎日両手に包帯を巻き、周りからは厨二病とからかわれ、日々勉強に打ち込み、周りとの関係を絶っていたごく普通の女子高生だった」
「ちょっと待ちなさいよ、何がごく普通の女子高生だ、あんた今の説明文、『私も友達がおらず』が抜けてんだろうが、そもそも回想文みたいな解説をいちいち口に出してんじゃないわよ、だから厨二病だって言ってるのよ」
田中はいちいち細かいことを突っついてきた。
「人の解説にいちいち文句つけるな、本当の事を言ったんだから文句言われる筋合いはねーよ」
京子は腕組をして立ち、田中を見下し睨む。
「解説を声に出して言う方が悪いんでしょ」
田中も
ゴホン!
二人から遠くの離れた教頭先生の机から大きな咳払いが響き渡り。
「君たちね、ここは職員室なんだよ、少しは静かにしなさい。 それに君、今日から転校してきた生徒だよね? 先生にはもっと敬意を持って接する様に……」
バーコード頭の初老の教頭が京子に注意した。
「そーだ京子、私はあんたの先生なんだもっと敬意を持って接しろ」
田中は追い風が来たここぞとばかり京子を茶化す。
ゴホン!
二度目の大きな咳払い。
「それとね田中君、君も生徒に対する態度がなってないよ、敬意を持って欲しいなら、尊敬できる様な普段から
教頭の田中についての説教が始まった。
説教はどれだけ続いただろうか、京子の注意が1とするなら、田中の注意が99の割合で怒られていた。
教頭の説教が終わると京子と田中は早々に職員室を出て教室に向かった。
「いい京子、事情は知らないけど16歳って言い張るなら
「分かってるって、見ろよ見た目はどう見たって16歳だろうが」
「イヤイヤ肌見たら一目で分かるわよ、教室入って本物の女子高生見てショック受けないでよ」
二人でそんな話をしていると異様な雰囲気と物凄い音が廊下に響き渡った。
京子と田中は急いで音のする方に向かう。
「おい田中この音の方って?」
「私が担任してる教室の方だけど……」
田中は心配になりながら説明してくれた。
しばらくすると廊下で震えて泣きながら歩いてる生徒を見かけた。
「ど、ど、どうしたの青木さん?」
彼女達からは凄い糞尿の異臭が放たれ、泣き震えて怯えてるため何を聞いても答えられる状況ではなかった。
「取り敢えず保健室に行きなさい、何があったか分からないけど後は先生がなんとかするから」
京子と田中は再び教室に向かう。
教室に近づくにつれてその異様な雰囲気の凄い殺気、
そして教室に二人が辿り着いた時、京子はあの運命の男の子と出会うことになる、そう黒戸 白と……
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