第40話 骨川刑務所襲撃〜中編〜

コツ コツ コツ


ぽっこり下駄の足音を優雅に響かせながら鳳凰院 茜はゆっくりと骨川刑務所に歩みを進める。


「おい、なんだ貴様らは! ここから先は骨川刑務所敷地内で関係者以外立ち入り禁止だ、後ろのお仲間連れて立ち去れ」

茜が骨川刑務所敷地内に入ろうとする寸前、刑務所建物入り口に数人の警備員と刑務所職員が立ち塞がり、警備員の一人が警棒を持ち叫ぶ。


「ふっふっふっ、後ろの方々は私とは関係おまへんし、私はここへ用があって来たんどすよて、そこをどいて道を通しておくんなまし」

茜は歩みを止めずに微笑を浮かべ答える。


「用だと? そんな話は聞いてないぞ近寄るな、出直して来い!」

警棒を持った警備員は声を荒げさらに叫び、他の警備員や刑務所職員は胸元に手を入れると拳銃を取り出し構えた。


それを見た茜の後ろにいる組員達も臨戦体制に入り怒声を上げ茜の元へと駆けつけ様と茜に近づく。


「あんたらには関係おまへん引っ込んでおき」

茜は後ろを振り向くと駆けつけようと近づいて来た数人の組員に睨みを効かせ、ドスの効いた声で制止。


組員は茜の迫力に歩みを止め引き返す。


「うっふっふっ、すいませんな後ろの一般人が騒いでしもうて、それよりもそんな物騒な物を取り出して、ここは日本どすよ? 民間施設がそんな違法な物持っても問題おまへんのか、私はあんさん方に手を出す気はさらさらおまへんよて、黙って通しておくんなませ」

茜は周りの空気はどこ吹く風の如く、ゆっくりとした足取りで進んでいく。


「いいから止まれ! 少しでもこの敷地内に入ってみろ、ここからは骨川 大便氏から発砲許可が出てる地外法権領地にあたるんだからな……おい、止まれと言っているんだ!? う、撃つぞ、脅しじゃないからな!!」

警棒を持った警備員は茜の動じない態度に動揺を隠せず、冷や汗を掻きながら周りの仲間と目を合わせながら脅す。


「撃たれてしまうと後ろの一般の方々にも当たってしまう可能性があるよて困りますわ、わてはあなた方と争うつもりはありませんよてただ面会しに来ただけどす、すんなり通して下さいませ」

茜は銃口を向けられてもひるまずに歩みを進め、骨川刑務所敷地内の門前までたどり着くと、敷地内に足を一歩踏み入れた。


「撃てーー!!」

警棒を持った警備員が叫ぶと銃を構えた男達が茜に向かって一斉に射撃をした。


パン! パン! パン! パン!


発砲音が鳴り響くと茜の姿がかすむよにボヤけ、放たれた銃弾はコンクリートの地面へと転がり落ちる。


カラン カラン カラン カラン


その光景を見た刑務所職員も組員も何が起こったのか分からず呆然としていると。


その瞬間に茜は銃を構えていた刑務所職員の一人の銃を握りひねる様に奪う、職員の指は変な方向へと曲がり折れ悲痛の叫びを上げた。


「グギャアァァァァァ!!」

そして直ぐに茜は奪った銃を構えると銃を持った男達の足の甲を撃ち抜く。


パン! パン! パン! パン!


「「うぎゃぁぁぁぁぁ!!」」

銃を持った男達は激痛に呻き声をあげ銃を落とし倒れる。


一瞬の出来事に警棒を持った男は呆然と立ち尽くしていると、茜は警棒を持った警備員の額に銃を突き付ける。


「銃を使うなら撃たれる覚悟を持たなきゃあきまへんよね?」

茜を微笑みを浮かべて銃の引き金を引く。


カチッ


「あら残念? 弾切れどす、うっふっふっふっ」

茜は楽しそうに笑う。


警棒を持った警備員は恐怖に震え腰を抜かして地面へと座り込むと、茜は警棒を持った警備員の髪を鷲掴みにして顔を近づけて尋ねる。


「入場許可は頂けますんか?」

警棒を持った警備員は恐怖に声が出ずにただただ頷く他なかった。


「でわ許可も出た事ですし失礼しますよて、うっふっふっふっ」

茜は拳銃を放り投げるとぽっこり下駄の軽快な足音を響きさせながら刑務所建物へと入って行った。


コツ コツ コツ

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