第28話 骨川 糞夫の策略
「おーい、みんな見たかこの動画? まじ笑えるんだが」
東桜台高校の一年生の教室で、
その動画とはショッピングモールで
「マジでダサいな
糞夫は動画を何度も再生を繰り返しては馬鹿にするように笑い、周りの糞夫の取り巻き連中も一緒になり笑っている。
「あ、あいつ……」
それを遠くの席で見ていた
「ちょ、ちょっと糞夫くん! そ、そんな言い方は不謹慎だよ……お、同じ教室の同級生が大怪我負ってるんだから心配してあげなきゃ、黒戸……白は……白は街で絡まれていた礼子を……同級生を助けようとしていたんだよ、そんな白を馬鹿にするような言い方はよくないよ……」
礼子の横にいた白間 美希が震えながら直ぐに立ち上がり糞夫の発言に対して反論を叫んだ。
「おい、おい、美希! お前あいつの肩を持つのか? あいつはな『ストーカー』なんだよ、今回のも沢村の事をストーキングしてた所をな彼氏の久須君が現れた事に逆上し、先に手を出したって言うじゃねーかクックックッ」
糞夫はニヤニヤ笑いながら美希と礼子に向かって言い放つ。
「か、彼氏? ふざけるな! 誰が誰の彼女よ……それになに、久須君って? 骨川、あんたあいつの……久須と知り合いなの?」
礼子は糞夫の『久須君』って発言に引っかかり尋ねる。
「あぁん? そりゃな俺の兄貴の友達だからな、久須君はあのチーム『ブラックボーン』の創設メンバーの一人だからよ……久須君から聞いたぜ礼子? お前の昔の話をよクックックッ」
糞夫はニヤニヤとしながら礼子を舐め回すように見回す。
「私の過去がどうとかあんたには関係ない! 黒戸には助けてもらったの、いい加減な事を言わないで!!」
礼子は睨みつけて大声で叫ぶ、すると糞夫は黙ったまま礼子に近づき壁際へと追い込む、そして壁を『ドーン』と叩き礼子に顔を寄せて耳打ちする様に小さな声で呟いた。
「おいおい骨川財閥の力を舐めるなよ礼子、真実なんてどうでもいいんだよ、俺はただただ黒戸が気に入らない嫌いなだけなんだ、
糞夫の声はとても冷酷て背筋が凍るような恐ろしさを帯びていた。
「あ、あんた……」
「あーあ、黒戸、黒戸うるせーな、今すぐぶっ飛ばしてーわ、退院する日まで待てねーよクックックッ」
糞夫は礼子から離れると教室中が聞こえるような独り言で何か思わせ振りな言葉を発し、糞夫は自分の席に戻り仲間と再び世間話を始めた。
ーー
ーー
ーー
〜前日〜
一台の高級車が骨川刑務所に止まる。
「糞夫坊ちゃん、こちらでございます」
執事服を着た老人が車の後部座席の扉を開ける。
「久須君に会うのは久しぶりだな、まさかあんなド派手な事やるとはさ、
糞夫は車から出るや直ぐに刑務所の中へ向かう。
刑務所内の職員は糞夫の顔を見るや皆が頭を下げ、事前に連絡していた通り久須 竜也が収監されている監房へと案内される。
久須が収監されている監房へと続く通路には一斎の
「糞夫様、あちらの部屋が久須 竜也さんの監房になっております」
案内していた看守職員が説明する。
「そうか分かった、お前はもう戻っていいよ、鍵だけくれ」
糞夫は監房の鍵を貰おうと手を出す。
「あの……申し訳ないのですが久須さんの監房の鍵は久須さんが所有しておりまして、呼び出す時は監房のインターホンでお呼びください」
看守職員は色々な意味で気まずそうに伝える。
「お!? お、おぉそうか分かった」
糞夫は看守員の言葉に一瞬驚き、ここは刑務所じゃないのかと疑問に思ったがそのまま久須の収監されている監房に近づき扉のインターホンのボタンを押す。
ピンポーン
『誰だ?』
久須の酒焼けした低い声がインターホンのスピーカーから響く。
「あぁ……久須君? 俺、糞ノ山の弟の骨川 糞夫! ちょっといいかな?」
『んっ……あぁ糞ノ山の弟か? おぉいいぜ入れ入れ』
すると扉の施錠が解除され、糞夫は監房の中へと進んだ。
久須 竜也の監房の中は高級ホテルの一室の様にリビング、トイレ、浴室、寝室と分かれ、家具も一級品の物が揃えられていた。
「どうした突然訪ねて来るなんて? 久しぶりじゃねーか」
竜也は音楽機材の電源を切り高級ワインを飲みながら尋ねる。
「久しぶりだね、最近話題になってる例の映像を見てさ、久須君の事件……めちゃカッコよかった! 久須君がやった奴はさ昔から気に入らない奴だったから、あそこまでボコボコに半殺しにしてくれてめちゃスカッとしたよ」
糞夫は興奮気味に語る。
「半殺し……? クックックッおいおい何言ってんだ糞夫、生きてるわけねーだろ? 俺はあの生意気な糞ガキの背中……心臓目掛けて殺す気で何度も刃物を串刺したんだ」
「えっ!? 何言ってんだよ、久須君? 久須君が刺した黒戸って奴は生きてるぜ……数日後には退院して学校に通えるって話だよ」
糞夫の話を聞くや竜也は狐につままれた様な表情浮かべる。
「久須君、わざと黒戸を痛ぶって半殺しにしたんじゃないの?」
糞夫が竜也に問いかける。
「そ、そんな馬鹿な事あるか……ふざけんな! あんだけ滅多刺しにして生きてるだぁ〜? おう、おう、上等じゃねーか! 俺様を舐め腐りやがって!!」
竜也は目の焦点が合わず一人事を呟くと、近くにあったワイン瓶を壁に叩きつけ叫んだ。
「ま、まぁまぁ落ち着いてよ久須君……それで相談なんだけど、久須君がやった黒戸って奴が近いうちに退院するからさ、そいつが次に学校来たら今度はしっかり殺そうよ? 今度は邪魔が入らない様に学校の周りに骨川グループの傭兵連中を配備しとくからさ」
糞夫は荒れる竜也を
「退院? あれだけぶっ刺してもう退院か? 舐めた野郎だ! でっ、近いうちに学校に復帰するからその時に俺に殺させてくれると? そりゃありがてー話だが……なんで俺にそんな話を持ちかけるんだ? そこまで準備できるならお前らが殺やればいいだろが」
竜也は話しながら
「いや……そ、そりゃそーなんだけどさ、俺はこれでも骨川財閥の人間で立場もあるからさ……だから俺が黒戸を痛めつけるから、久須君には今度こそ
糞夫は冷や汗を掻きながら竜也のご機嫌を伺い話す。
「ふ〜ん、そうだな……お前ら骨川家がいないと色々と不都合だからな、まぁいいぜ殺やってやるよ、そのかわり後処理はお前……骨川財閥でやってくれよクックックッ……あ、あとそれと話は変わるが黒戸って奴がお前の同級生なら沢村 礼子って女もお前の所の生徒か?」
竜也は吸っていた謎の白い粉の煙草を吸うと、そのまま糞夫に吸いかけの煙草を手渡し勧める。
「沢村 礼子? あーあ、それならうちの生徒だよ、学年じゃ上位の美人女子の一人で、俺は
糞夫は渡された紙煙草を吸いながら尋ねる。
「知り合い? 俺の彼女だよクックックッ、まぁ礼子は認めないだろうがな、元々あいつは中学生の頃にブラックボーンに所属していたんだぜ仮だったけどな」
「えっ!? マジで? 沢村ってブラックボーンにいたの? そりゃいい話を聞いたよありがとう久須君」
糞夫は驚いた顔をしつつニヤける。
「だったらその黒戸ってガキの命を盾に礼子を脅すのも有りだなクックックッ」
「いいねそれ! 俺たち骨川の関係者を馬鹿にした奴がどうなるか見せしめてやろうよ」
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