異世界大相撲~男を裸にするために手段は選びません~

夏場所りんご

そうだ、相撲だ、相撲をさせるんだ!

第1話 聖女は筋肉を愛している

 親愛なる皆様方。紳士も淑女も、老いも若きも、貧しき者も富める者も。

 どうぞこの愚かな聖女の戯言をお聞きあれ。


 誰にだって好きなものがあるだろう。

 誰にだって求めてやまぬものがあるだろう。


 私にとって、それは筋肉だ。


 私は筋肉が好きだ。

 私は筋肉が大好きだ。


 厚い大胸筋が好きだ。

 盛り上がった三角筋が好きだ。

 丸太のような上腕二頭筋が好きだ。

 割れた腹筋が好きだ。

 激しく鍛え上げられた筋肉、それも特に戦う男の筋肉が大好きだ。

 血管の浮いた太い腕が振りかぶられる様に、硬く締まった足が大地を蹴る様に、勇ましく広い背中には感動すら覚える。


 親愛なる皆様方。


 私は筋肉を、美しく逞しい筋肉を愛している。


 ああ、筋肉よ! その鋼の如き肉体よ!


 親愛なる皆様方に私は問いたい。

 あなた方はなぜ筋肉を望まずにいられるのかと。


 筋肉を!

 

 私に極上の筋肉を!

 戦う男の筋肉を!

 美しいその筋肉を!

 

 おお、神よ。私に聖女の役目を与えた神よ。なぜ私に筋肉のない世界で生きよというのか。

 

 親愛なる皆様方、私と共に筋肉を求めよう。

 

 筋肉は裏切らない。

 筋肉に貴賤はなく、時に年齢すらも超越する。

 筋肉は全てを解決するのだ!

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