みんなみかん
三国鹿子
第1話 みんなみかん
大阪の方でも二月になると気温一桁の日が多い。空気が冷え込んでくると、やっぱり今年もちゃんと冬になるんだ、としぶしぶそれを受け入れる私だ。
今年の冬はいつになくみかんにはまっている。本当はイチゴが一番好きなのだけど、イチゴは私にとって毎日気軽に食べられるものではない。
その点みかんは何と言っても気軽さがいい。素手で皮を剥いて、そのまま一房ちぎり口に放り込むだけだ。
気を抜いていると、たまに一部腐らせたものを発見する。それは白く変色し、汁気を帯びていて禍々しいのに、その面を隠して美味しいみかんに成りすましているようにも見えて、嫌な気分になる。
隣接する他のみかんに害がないか確認してから、腐ったみかんは食べずに捨ててしまう。何だかもったいないけど丸ごと。
そんな時いつも思い出す言葉が、金八先生のあの有名なセリフだ。私たちの社会的生活が袋の(または箱の)みかんで例えられている。腐ったみかん。もしかしたら自分のどこかがいつの間にか腐ってしまったら、それが誰かに見つかってしまったら、周りに悪い影響を与えそうであれば丸ごと捨てられるんだろうなぁと。
みかんをゴミ箱に放りながら、何とも言われぬ恐ろしい気分にもなるのだ。
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