青を撃つ

池田春哉

***

『足跡ってのはさ、歩くより走るほうが深く残るんだ』


 重たい頭の上で、声が聞こえる。


『なんでかわかるか?』


 視線を上げると、眩しい青空と砂埃の中に彼の得意げな顔が浮かぶ。


『歩くより走るほうが、速いからだ』


 くそっ。

 幻に悪態を吐こうとして、乱れた呼吸が邪魔をする。


『速いほうが足跡は深く残るんだぜ』


 ――知ってるよ、そんなこと。

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