天使の青い瞳
病院の霊安室で葬儀会社と悠太の両親が相談して、青葉台のセレモニーホールで明日のイースターに葬儀が行われる事になり、悠太は自分の体に付き添って葬儀会場へ向かい、天使からの吉報を待ち侘びた。
そして前方の通路に舞い降りた天使に祭壇から駆け寄ると、何故か天使は手を前に出して悠太を制し、出入り口の方を指差して祭壇の奥へ押しやる。
「えっ?な、なに」
「君の連れだ」
悠太は会場へ入ろうか迷っている女性を見て『マリア……』と呟き、手を伸ばして前に踏み出すが、天使に襟首を掴まれて引き戻され、祭壇の裏側に一緒に隠れた。
マリアは事故からの記憶がなく、カフェの近くの通りで葬儀の案内板を見て、青葉台のセレモニーホールへ走って中へ入ったが、受付の前で恥ずかしそうにエプロンを外し、ラフな服装を気にして会場を覗き込んでいる。
「普通、幽体は遠くへ行けないが、特別に体から離れさせてやったぜ」
「つまり神は了承してくれたのか?」
悠太の喜びの声を天使が手で塞ぎ、首を横に振って耳元で「焦るな」と囁き、悠太が期待感に溢れた表情で頷くと、天使は口から手を離して三本の指を立てて『three day Love』の条件を説明した。
「君の友だちがマリアを見つけ、復活の試練を乗り越えられるか?願いが叶うかはそれ次第である」
天使は自分の力を示すように右手を翳して微笑み、両目を親指と人差し指で押さえると、2~3秒後に離して会場の方へ突き出した。するとブルーの瞳の輝きが宙に浮き、スーッと会場の席へ飛んで行く……。
この時マリアは申し訳なさそうに頭を下げて後方の席に座り、青い光が二匹の蛍のように宙を飛ぶのは見てない。
それは賢士の席まで青い軌跡を描き、一旦、顔の前で静止してから両眼の中へスーッと消え、賢士が違和感から二、三度瞬きすると、瞳はブルーに
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