クラスメイトは人妻だった
華川とうふ
第1話 失恋から知る彼女の秘密
「好きです。友だちからでいいので付き合って下さいっ」
「ごめんなさい。私、結婚しているんです」
クラスメイトの
――ガーンッ!!!――
俺がショックを受けていると、青山は困ったように両手を口の前にもっていく。確かにその左手の薬指にはキラリと指輪が光っていた。
18歳になる年なったら、ずっと告白しようと思っていた。
本気の恋だった。
本気だからこそ、結婚もできる18歳まで俺はその思いを温め続けてきたのだ。
な・の・に!
い・っ・た・い!!
ど・う・し・て!!!
こんなことになってしまったのだろう。
フラれることは覚悟していた。
そりゃあ、青山恋陽は美少女だ。
男女問わずに人気もある。
性格もよくて、家庭的。
去年のバレンタインには男子だけではなく、クラスメイト全員に手作りのクッキーを用意してくれた。
そのクッキーは男子の裏ルートで高値で取引されたのはいうまでもない。
なんせあの青山恋陽が作ったクッキーなのだ。
それはもう絶品で、プロも顔負けのおいしさだったらしい。
なぜ、「らしい」というと、俺はクッキーを手に入れたにも関わらずそれを食べることができなかったのだ。
家に帰って机の上に大事に飾っておいたら、帰宅後、妹と母さんがお茶請けにしていた。あの高級スイーツ大好きな二人が大絶賛するおいしさというのは本当にすごい。
「このクッキーまた食べたいんだけど、どこの?」
そう無邪気な顔で聞いてきた妹に俺はただうなだれることしかできなかった。
青山恋陽のことはずっと好きだった。
ずっと、ずっと好きだったのだ。
入学式の日、彼女を一目見た瞬間から彼女の容姿には惹かれていた。
だけれど、それはきっかけでしかない。
クラスメイトとして日常の何気ない瞬間。
困っている人がいればさりげなく手を差し伸べることができる。
人がいやがることであっても、責任ももって取り組む。
本当に良い子なのだ。
見た目から入ったけれど、気が付くと俺はその見た目よりも彼女の内面に惚れていた。
「例え、彼女がカエルになろうとキスできる」
そういったとき、親友にはドン引きされたけれど。
彼女のことが本当に好きだったんだ……。
フラれても仕方ない。
なんどだって、フラれて見せると思っていた。
いつか彼女が笑顔で頷いてくれる日が来るまで、努力して自分を磨こうと思っていた。
なのに、彼女が結婚しているなんて……俺は今日、失恋した。
4月1日なのでこれが嘘だったらどんなにいいだろう。
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