224 - 「オサガメの財宝、後編」
「帝国の元王子……? 元王子が何故この船で囚人の真似事を?」
「まぁ色々あってな。俺を狙う奴の目を盗んで移動する為に囚人になってた訳だ。あんたこそ、十年以上の間どこに隠れてたんだ?」
「俺は……」
ふと、キングから視線を外し、ララの方を見る。
するとララは、やれやれと首を振った。
「セラフの好きにするかしら。言いたくなければ言わなくても良いのよ」
「いや、大丈夫だ。少し話そう。俺は、ハインリヒ公国に現れたもう一人のマジックイーターとの戦いに敗れて、15年後のこの未来へ飛ばされた」
その言葉に、キングとララが目を見開く。
「おいおいおい…… そりゃあ…… またすげぇ話だな……」
「詳しく、聞かせてくれるのかしら?」
「ああ」
俺は、ここに来た当時にキングより聞いたフログガーデンの間違った情報の流布について、事実と異なる点を掻い摘んで二人に話た。
太陽教が長年封印してきた銀色の怪物――シルヴァーを倒したのは、ハインリヒ三世率いる魔導兵部隊ではなく、自分だということ。
ハインリヒ公国の魔導兵部隊は、シルヴァー相手に成すすべもなく全滅したこと。
シルヴァーを倒すために使用した魔法により、フログガーデン大陸の北東部を失う結果になったこと。
その魔法の余波で、海底に眠る海神リヴァイアサンを目覚めさせてしまい、大津波が発生したこと。
フログガーデン大陸に飛び交う
そして、過去に戻るための
二人は夢物語でも聞くかのように、曖昧な表情で俺の話を聞いていた。
「まさかそんな大事がフログガーデンで起きてたなんてな……」
「ワンダーガーデンの出来事がちっぽけに思えるくらい壮絶かしら……」
「ちっぽけ言うな! 俺達にとっては死活問題だっただろ!? ったく、まぁ比較するとそう感じるのは仕方ねぇが…… しっかし、あのワンダーガーデンの西部を飲み込んだ大津波が、まさか海神リヴァイアサンのせいだったとはなぁ。S級が現れたのに西部だけで済んだのはむしろ幸運だったってことか。フログガーデンもよく無事で済んだな。目を覚ました海神様はどこに行ったんだ?」
「討伐した。無事で済まなくなる前に」
「……ん? あー…… あ? 聞き間違いか? 討伐したと聞こえたんだが」
キングが呆けた顔で聞き返し、ララは少し溜息を吐いた後、頭を少し左右に振りつつ口を開く。
「世界に三体しか確認されていないS級ランクの怪物を、どうやって倒したのかしら。誰も倒せないから討伐ランクがS級なのよ」
「たまたまリヴァイアサンと相性の良い召喚モンスターが味方にいただけだ。そいつがいなければ、俺でも討伐できていたか怪しい……」
「マジかよ…… 海神様を倒せるモンスターなんて聞いたことねぇーぞ…… そいつは一体どんなモンスターなんだ?」
「ララも気になるのよ。S級を倒すほどのモンスターが何なのか」
既にリヴァイアサンの脅威はないというのに、キングとララは俺の言葉を緊張した面持ちで待った。
「グリムワールドの抹殺者フラーネカル」
「「
キングとララが突然大声をあげて驚いた。
「知ってるのか?」
「むしろ知らねぇーのか!? 白と黒の女王大戦時に、
「それに?」
キングの言葉をララが繋ぐ。
「
その言葉に、逆に俺が驚かされた。
「数年前!? フラーネカルはまだ生きてたのか!? それで!? フラーネカルはどうなった!?」
「ち、ちょっと落ち着くかしら。
「討伐!? あのフラーネカルを!? 討伐した!?」
「そ、そう言ったかしら。その場にララもいたから嘘じゃないのよ」
記憶が確かなら、未来に飛ばされる前、フラーネカルのコントロールは大宮忠に奪われていたはず。
大宮忠が健在なら、奴の命令でワンダーガーデンまで攻めてきたと考えるのが正しいが、もし大宮忠が死んでいたなら、コントロールは俺に戻っていたことになる。
もしそうなら、俺の支配下にあった他のモンスターとともにワンダーガーデンへ攻め込んだという可能性も考えられる。
(どっちだ……? あいつはまだ生きてるのか? それとも……)
支配下にあった他のモンスターの繋がりを感じられない今は、それを確かめる術はない。
どちらにせよ、あのフラーネカルを倒したというアリスは警戒しておくべきだ。
「フラーネカルを倒したアリスという者のことを詳しく知りたい」
「良いかしら。知ってる限りのことを教えるのよ」
俺はララからアリスの事を聞いた。
アリス・リ・アーサー・サード。
帝国を守護する最強の剣士――アリスの名を受け継いだを三人目の女性だ。
初代、帝国最強の守護者アリス・リ・アーサーを、世界の秩序を守る女神と讃える教団――アリス教からアリスの名を与えられることで、身も心もアリスとなるらしい。
そして、アリスとなった彼女達は、帝国の為に日夜戦い続ける戦の女神と化すのだと。
だが、その実態は謎に包まれていた。
アリスに関する一切の情報はアリス教団によって秘匿され、アリスとなった者も自身のことは一切語らない為、その出自は国の王子であったキングですら知らないというのだ。
普通に考えて、そのアリス教団というのが怪しいが、身を粉にして民の為の戦い続けるアリスの姿に感銘を受ける者は多く、更には最強の守護者という軍事力を保有するが故に、国も無闇に干渉することができないとか。
アリス教団には、アリスを崇める者と、次のアリスになりたい志願者が後を絶えず、その規模は大きくなるばかりだという。
分かっていることは、アリスはどういう訳かワンダーガーデンで起きた争いをすぐさま察知できるということ。
光の翼を生やして高速で空を飛ぶことができ、光の剣を使ってあらゆる物を斬り裂くことができる力を持つということ。
この情報だけでも十分強敵だと分かる。
フラーネカルを倒した実力は本物だろう。
「昔、俺も親父にアリス教団について聞いた事があったんだが、親父も知らない風だったな。今考えてみりゃ、そんな訳ねぇはずなんだが……」
「アリス教の教祖リデルは、何を考えているのか分からない気味の悪い男かしら。帝王が裏で繋がっててもおかしくないのよ。賢い者なら、キングみたいな馬鹿息子にホイホイと秘密を打ち明ける方があり得ないかしら」
「ぐっ…… 何も言い返せねぇのが悔しい……」
「今の帝国は誰も信用できないかしら。ぐっちゃぐっちゃに腐敗してるのよ。でも、今のアリスは自分の意思でアリスになった訳じゃないことだけは確かかしら」
ララ曰く、アリスがアリスであり続ける為に、教団は
それは教団が本拠地とする協会に厳重に保管されており、その
「一つ疑問があるんだが、ララはその情報をどうやって手に入れたんだ?」
「アリスに直接聞いたかしら。
「その時に無理矢理操られてる事を知った、と」
「そうかしら」
「その
「
「カリブルヌス? アーサーの名前もあるし…… その剣は岩に突き刺さってたりするのか?」
「どうして分かったのかしら?
アーサー王を題材にした話は、日本でも有名だ。
その話を元にワンダーガーデンの世界観が脚色されているなら、恐らくアリスが使うとされる光の剣はエクスカリバーだろう。
不思議の国のアリスとアーサー王の夢のコラボだ。
有名であるということは、それだけで強カードな可能が高い。
アリスというパワーワードだけでも危険な香りがするのに、そのアリスがエクスカリバーをぶん回すとなれば、その脅威は計り知れない。
「保管場所は分かってるのか?」
「分かってるかしら。後は忍び込んで壊すだけなのよ」
洗脳系の
問題は、元を壊しても洗脳が解けない場合と、破壊不能オブジェクトと化していた場合だが……
「壊す手段はあるのか?」
「ララならきっと壊せるかしら!」
「壊せば洗脳が解けるという確信は?」
「それは…… だ、大丈夫なのよ!」
確信はないようだ。
「ララは、アリスを殺してほしくないんだったな?」
「アリスは親友なのよ! 洗脳されながらも、ララに良くしてくれたかしら! そのアリスが泣きながら助けてとお願いしてきたのよ! だから、ララは! 絶対に! アリスを助けるかしら!」
ララが感情的になりながら訴える。
その覚悟に心を動かされる。
「約束はできないが、協力はする」
「セラフが協力してくれるならとても心強いのよ!!」
「かの伝説のマジックイーター様が味方なら、怖いもんなしだな! バッハハ!!」
「馬鹿キングが言うと不安になるかしら!」
「なんでだよ!」
その後、今のフログガーデンについて改めて話を聞くも、キングもララも魔境と化しているくらいの情報しかもっていなかった。
帝国が隠したい何かがあるのだろう。
時の秘宝が見つかり、潤沢なマナを得られれば、フログガーデンへ戻って未来で何が起きるのか知ってから過去に戻っても遅くはない。
「なぁマサト、そういやもう錬金術はやらなくて良いのか?」
「馬鹿キング! セラフが何故その名前を名乗らなかったか、わざわざ説明しないと分からないのであれば、馬鹿キングは相当なアホ野郎なのよ!」
「ぐっ…… わ、悪かったよ。そう怒んなって」
「名前は、セラフで頼む」
「おう!」
「それと、錬金は最後までやる」
「よぉーし! 次はどんな魔法の種が出来るんだ? 何気にちょっと楽しみだぜ」
「未知の力は、それだけで知的好奇心が刺激されるかしら。ララも気になるのよ」
二人の期待を受けつつ、俺は白金貨20枚を更に取り出すと、カードガチャを実行してみせた。
手に取った白金貨が光の粒子を撒き散らして消える。
空中に現れたカードの縁の柄は――
灰色だった。
イラストには暮石のような、それでいて何かしらの遺跡のような、巨大な一枚岩が描かれている。
[UC]
[建物]
[マナ生成:(3)]
[マナ生成限界3]
[
マナ生成できる
自身は建物なので攻撃はできず、更には攻撃力0なので、このままではモンスターを倒すことができないが、建物なので中に入ることはできる。
仮にモンスターを倒せなくても、(3)はマナ生成できるため、召喚コスト(2)を引いても(1)は得られる計算だ。
追加でマナを得るには、何かしら
「この…… 建物? は、何なのかしら?」
「絵だけじゃ全く分からねぇな」
ララとキングが、俺が手に取ったカードを覗き込みながら話す。
「つか、ララ。お前いつの間にそんなにセラフと仲良くなったんだ?」
キングが、素早い動きで俺の背中によじ登った状態で覗き込んでいたララを、呆れた目で見ながら話しかけた。
「気にするなかしら。ララとセラフはもうマブなのよ」
「相変わらず変わり身のはぇー奴だ」
「棘のある言い方はやめるかしら。ララは適応能力に長けているだけなのよ。それよりこのカードはどんな魔法なのかしら。早く教えるのよ」
キングが肩を竦め、ララとともに俺に話の続きを促す。
「それは俺も知りたいねぇ」
「これはモンスターだ」
「モンスター? これがか?」
「とてもモンスターには見えないかしら」
「自分から動くことはできないから、物と然程変わりはないかもしれない。だが、歴としたモンスターであり、
「
「古代人の作る物は碌な物がないのよ。そのモンスターでもあり、
「こいつがモンスターを倒した時、生成できる
「一生分だと!?」
「何か途轍もなく恐ろしいことを聞いた気がするのよ……」
現に、この世界で
「間違いなく、恐ろしい事ができるだろうな」
そう告げながら、新たに20枚の白金貨を手に取る。
そしてそのまま手から消すと、再び空中にカードが現れ、くるくると回転しながら舞い降りた。
「お、おいおい、まだ心の準備が……」
「少し怖くなってきたかしら……」
さっそく怖気付き始める二人を他所に、手に取ったカードの縁は緑色だった。
人より大きく育った桃色の花が描かれている特徴的なイラストだ。
[C]
[マナ生成:(緑)]
[マナ生成限界3]
[土地限定]
[耐久Lv1]
土地限定で付与できる
付与された土地は、(緑)マナを追加で生成できる能力を得るが、召喚コストで(緑)を消費するため、実際には(緑×2)しか得ることができず、マナ生成限界も3と低いため、あまり活用できない
ただし、付与する土地によっては、記載にはない意外な変化をもたらす、所謂裏コンボが存在する特別なカードでもあったりする。
カードのイラストを見たキングが、顎に手を当てながら話す。
「これは…… 綺麗な花だが…… でかいな」
「これもモンスターかしら」
「違う。これは
「土地限定? んなのあるのか?」
「今となっては珍しいけど、確かにあるかしら。でも、ララは使えないのよ」
「これはそれ程大したものじゃない。その土地の植物を繁茂させて少しの
「おい、ララ。それって本当に大したことないのか……?」
「植物操作の魔法ならララでも知ってるかしら。でも、その
「だよなぁ……」
好き勝手話す二人を無視し、次の白金貨を手に取る。
ここまで当たりらしい当たりはない。
レアリティもコモンとアンコモンだけだ。
次は頼むと、握っていた白金貨を溶かす。
再び空中に現れるカード。
本日5枚目となるそのカードは――
「青い稲妻?」
「攻撃魔法かしら」
[UC]
[雷魔法攻撃Lv3]
ララの言った通り、
ショックボルトの上位互換となるカードでもあり、発動や詠唱硬直はショックボルトに劣るが、その差は大きくなく、相手の行動を見てからの発動でも先手を取れる優秀な魔法でもある。
「ララの言う通り、青い稲妻を放てる攻撃魔法カードだ」
「当たったかしら」
「雷撃魔法か……問題はどのくらいの威力が出るかだが……」
「きっとえぐいくらいの威力なのよ」
「だろうなぁ……」
構わず次の白金貨を手に取る。
いい加減、レア以上出ろと願いを込めて引いた6枚目は――
「きた!」
思わず叫んだマサトに、キングとララがびくっとなる。
「きゅ、急に大声出すなよ。びっくりするだろ」
「マサトが驚くほどのものなのよ。で、この黒い光球は何なのかしら? これも攻撃魔法なのかしら?」
[SR] ダーク・ライトニング、6/1 (黒×3)
[攻撃成功時、またはターン終了時:消滅]
[感電Lv3]
それは、一度の攻撃で消滅してしまう、超攻撃型の黒い雷球モンスターカードだった。
「いや、これはモンスターカードだ。一瞬で消えてしまうエレメント系のモンスターだが、その分、攻撃力が相当高い」
「マサトが唸るほどってどれくらいか想像付かないな……」
「想像できたら初めから苦労してないのよ」
「だな」
当たりらしい当たりを引けたので、少しほっとしつつ最後の白金貨を手に取る。
今回のラストとなる7枚目のカードが舞い降りる。
「また緑色だな」
「なんか…… 見たことのある恐ろしい絵が見えた気がするのよ……」
顔のある大木が、大きな口を開けて聳え立つイラストだった。
[R] 大木の精霊、ウッド */* (緑×6)
[生贄召喚:森]
[生息条件:森]
[大木の精霊、ウッドの攻撃力と防御力は、生贄に捧げられた森の数に等しい]
すると、突然ララが耳元で叫んだ。
「ウッド様なのよ! 間違いないかしら!!」
「おい、ララぁ…… 突然叫ぶんじゃねぇって、びっくりすんだろ」
「これが叫ばずにいられるかしら! ウッド様なのよ!?」
「だから何だよウッド様って。俺達にも分かるように説明してくれ」
「ウッド様はウッド様かしら! 大昔、まだ大陸の大半が自然で覆われていた時代に、大森林を支配していたとされる木の大精霊様なのよ!!」
「ほぉ〜、強いのか?」
「強いなんてものじゃないかしら!」
キングとララが二人で盛り上がっているところ悪いが、俺は真実を伝えた。
「いや、弱い」
「「え?」」
二人の時が一瞬止まり、再び動き出す。
「今、弱いって言わなかったか?」
「ラ、ララにもそう聞こえたかしら。きっとセラフに比べたら弱いってだけなのよ」
「いや、大昔がどうだったか知らないが、ウッド様は最弱のモンスターとして有名なカードだ」
俺の言葉に、再び二人の動きが止まり、その後、キングが噴き出すように笑い出した。
「バッハハ! だとよ? ララ」
「そ、そんなはずはないかしら! まだララが小さい頃、ウッド様を怒らせてはならないって、良く言い聞かせられたのよ!」
「ララは今でもちっこいだろ。バッハハ」
「馬鹿キングは黙るかしらー!!」
現に、「大木の精霊、ウッド」は弱過ぎるモンスターとして有名になったゴミレアカードだ。
森を生贄に捧げただけ巨大になるという秘めた力を持ってはいるが、現実問題そこまで巨大にはできない。
第一に、生贄条件が厳し過ぎるのだ。
生贄に捧げるには、土地属性を持つ森を自分のコントロールで展開させておかなければならず、予めそこに用意されている環境の土地を生贄に捧げることはできない。
土地を複数用意すること自体のハードルが高いのに、森でしか生きられないという生息条件付き。
生贄に捧げた分、自分の生息範囲を狭めてしまうという矛盾した性質をもちながらも、召喚コストに見合うだけの生贄を用意することが難しいという残念過ぎる仕様により、バニラモンスター以下のゴミと言われた外れカードである。
「白金貨20枚無駄になったな……」
「そ、そこまで言われると、もうララも何て言っていいのか分からないかしら。とても混乱してるのよ……」
「バッハハ! まぁそう気を落とすな! 誰にでも間違いや勘違いはある! なっ!」
キングが笑いながらララの肩を叩くと、ララはそのキングの手に「ガァゥッ!」と叫びながら噛み付いた。
「っでぇ! 噛み付く奴がいるか馬鹿! 離せっ!!」
「ガゥガゥッ! 馬鹿キングに言われると腹立つかしら!」
背中からキングへと飛び移ったララを一瞥した後、俺は今回のガチャ結果を振り返った。
実行した回数は、計7回。
消費した白金貨は140枚だ。
結果は――
[C]
[UC] 石の雨 (赤)(X)
[石の雨LvX]
[土地破壊Lv1、ランダム]
[UC]
[建物]
[マナ生成:(3)]
[マナ生成限界3]
[
[C]
[マナ生成:(緑)]
[マナ生成限界3]
[土地限定]
[耐久Lv1]
[UC]
[雷魔法攻撃Lv3]
[SR] ダーク・ライトニング、6/1 (黒×3)
[攻撃成功時、またはターン終了時:消滅]
[感電Lv3]
[R] 大木の精霊、ウッド */* (緑×6)
[生贄召喚:森]
[生息条件:森]
[大木の精霊、ウッドの攻撃力と防御力は、生贄に捧げられた森の数に等しい]
召喚カード4枚、
SRが1枚出たので良い方だろう。
少なくとも使えるカードは増えた。
ここにある財宝を白金貨に変えれば、更にカードを増やすことができる。
今は、カードを着実に増やしつつ、マナ稼ぎも行わなければならない。
すると、宝物庫へ再び誰かが走ってくる足音が響いた。
「セラフ! き、来てくれ!」
アタランティスだ。
「何があった?」
「セラフが奴隷達に渡した宝石を、囚人の一部が奪ったんだ! だが、誰が奪ったのか今一はっきりしなくて……」
「そうか…… 今行く。キング、ララ、その宝物庫の扉を閉めておいてくれ。街に着いたら全て白金貨に変える」
「ああ、こっちは任せろ」
「任せるかしら。しっかり鍵を閉めておくのよ」
俺はアタランティスの後を追って、問題を起こした囚人達の元へ走った。
新たなマナを回収するために。
――――――――――――――――――――
▼おまけ
【UC】
「それは、牢獄とも、墓石とも言われてるが、本当のところは、人の魂を喰らう巨大な怪物だってんだから笑っちまうよな。そうだよ。今まさに、俺たちはその怪物の胃の中に閉じ込められてんだよ――盗賊ギルドの頭目、不死身のカンダタ」
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