121 - 「後家蜘蛛抗争6」
白い光の粒子の放流が霧散すると、白い靄を大量に纏った純白のドラゴンが、堂々たる姿で目の前に鎮座していた。
[SR]
[飛行]
[手札帰還]
[物理攻撃無効]
(思い切って
すると、
(
敵の誰もが、突如現れた
そんな中、
再び飛びかかってくるベルに慌てて対処する。
「っくあ!? 本当、大人しくしてて!
ベルを力尽くで押さえ込むと、
「苦しいかもしれないけど、少し我慢しててな」
「ぐ、ぐわぁー! ぐぐ」
「ベル……」
まるでB級ホラー映画に登場するゾンビのように、くぐもった呻きをあげ、もがくベル。
もう元に戻せないんじゃないか?といった不安を抱きつつも、ベルをこの状態にした原因が、
(ベルは助けられる。大丈夫なはずだ。後は、ここからどう攻めるかだな…… いや、こうなったら手当たり次第暴れるだけか。宝剣は…… 見当たらない…… 仕方ない、それなら、手当たり次第ぶっ放すのみ!!)
両手を左右に伸ばす。
イメージするのは炎の球体。
イメージと同時に、身体から微量な
掌からは螺旋を描くように集まる紅色の光。
そして、発現する小さな炎の球体。
その球体は、あっという間に一尺玉くらいの大きさにまで成長した。
(よし、火魔法攻撃Lv2は並列で使える。赤マナも潤沢にある。宝剣なしでもやれる!!)
「はぁぁああああ!!」
気合の雄叫びとともに、背中から真後ろに向けて、極太の火柱がほとばしる。
ゴォオオオと高密度の炎を撒き散らすその炎の根本は青白く、そこから伸びた紅い炎とが、見る者を圧倒させるコントラストとなって、周囲の者の視界へ飛び込んだ。
薄暗かった空間が、一瞬で明るく照らされる。
マサトの後方へ回り込んでいた構成員は、その光源である炎に焼かれ、断末魔をあげながら絶命していった。
その炎は、少しずつ左右に開きながら、後方に回り込んだ構成員達を次々に焼き払っていく。
炎に焼かれまいと、近くの構成員が逃げ惑い、マサトの両脇を囲っていた構成員達も、その炎の迫力に陣形を乱し始めた。
だが、マサトの反撃は始まったばかりだ。
および腰になった彼らへ、
――キィィィイイイイイイインンンン
(ぐあっ!? まさかの超高音咆哮!? 頭が割れる!?)
歯を食いしばって耐える。
(い、いや、今のうちに先制すべきだ!)
両サイドに集まった構成員へ、左右の手から火魔法を放つ。
ボンッと花火が発射されるような音とともに、火の粉を撒き散らした炎の一尺玉が、構成員へ向けて飛んでいった。
(まだまだぁあああ!!)
即座に次の火の玉を生成し、再び放つ。
それを高速で繰り返す。
少しずつ前方へ位置をずらしながらの高速連射だ。
ボンッボンッボンッという射撃音の直後、初弾が構成員に当たり、ドンッと音とともに爆発。
近くにいた他の構成員共々まとめて吹き飛ばした。
ドンッドンッドンッと、次々に爆音が鳴り響き、マサトを囲んでいた構成員達が呆気なくも瓦解し始める。
通常、魔法攻撃には硬直と
無論、魔法の
目に映る全てが常識外の出来事のオンパレードに、構成員達の戦意が奈落へと突き落されていく。
その中でも飛びきり衝撃的な内容だったのが、純白のドラゴンであったことは説明するまでもないだろう。
「
再び超高音の咆哮をあげた
そのドラゴンの襲撃に、流石の構成員達も恐慌状態となり、それぞれが悲鳴をあげて転がり始めたのだった。
――――――――
▼おまけ
【SR】
「ドラゴンの形をした白い靄を見た? お前、まさかまた居眠りしてたんじゃないだろうな?――ローズヘイム南門の門番」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます