7 -「新戦力ゴブ」

 見ゴブ2の死体は火葬して、拠点近くにお墓を作って埋めた。


 ゴブリン達は仲間の死体でも食えるそうだが……


 さすがに、まだそこまでは割り切れない。


 ジャガー襲撃の経験を経て、拠点の見張りには必ず2体つかせることにした。


 見ゴブ2が死んだため、今の戦力はゴブリンが5体だ。


 後、戦力外のレッサードラゴンの卵が一つ。



< 今の戦力 >

* 案内ゴブ 2/2

* 紅蓮ゴブ 2/2

* 狂信ゴブ 1/1

* 見ゴブ1 1/1 (木の槍 +1/+0)

* ゴブ1 1/1

* レッサードラゴン 0/1



(あ、見ゴブ1の攻撃力が1上がってる)



 木の槍は、即席で作った先の尖っただけの木の枝なのだが、攻撃力1相応ということだろうか。


 この程度で攻撃力が上がるなら、結構使えるかもしれない。


 可能な限り、木の槍を量産していこう。



(で、木の槍を作れる案内ゴブは……)



 案内ゴブはジャガーを捌いていた。


 武器になりそうな物の調達に行ってほしいのだが、さっきのジャガーのように、虎と大きさが然程変わらない獣が彷徨くこの森を、気軽に探索しろとは言い難い。


 単独で行動させるリスクをとってまで、木の槍を作りに行かせるかどうか、悩みどころだ。


 手持ちのマナは2。

 マナカードは残り7。


 ここで一気に5マナのゴブリンを召喚するという手もあるが、そうなるとマナカードが残り4枚になる。


 これはさすがに不安だ。


 6マナあれば、手持ちのURカードが召喚できるようになるから、マナカードはその時まで節約した方がいいだろう。


 となると、手持ちの2マナで戦力を増やすしかない。



(2マナで召喚できる奴は…… っと、これか)



「ゴブリンの木偶の坊、召喚!」


[C] ゴブリンの木偶の坊 3/3 (赤)(1)

 [単独行動不可]



 薄茶色の肌をした、筋骨隆々のゴブリンが目の前に召喚された。


 身長は180cmくらいはあるんじゃないだろうか。


 肩から腕にかけての筋肉が異常に発達し過ぎていて下半身とのバランスが悪い。


 肌の色は緑ではなく、薄茶色をしていた。


 もちろん頭髪はなく、スキンヘッド。


 よく見れば、他のゴブリンと比べて後頭部が尖っているように見える。


 ゴブリンはゴブリンでも、きっと種族が違うのだろう。


 2マナで 3/3 とステータスは強いが、「単独行動不可」という致命的なデメリットを持つモンスターだ。


 文字通り、単独では何もできない。


 つまり、1体では木偶の坊なのだ。


 だが、この場には他に5体のゴブリンがいる。


 そして俺もいる。


 上手く連携できれば、デメリットも最小に抑えられるはずだ。


 ゴブリンの木偶の坊は、木偶ゴブと呼ぶことにした。


 今の俺らの最大戦力だ。



 戦力が揃ったところで、俺は周辺の探索をすることにした。


 少なくとも拠点周辺の地形は自分の目で確認しておいた方がいいだろう。


 上流に上がれば、麓を見下ろすことができるはず。


 人の住む村が見つかれば万々歳だ。



 さっそく探索班と、拠点居残り組とに分ける。


 探索に連れていくのは2体のみ。



< 探索メンバー >

* 案内ゴブ 2/2

* 狂信ゴブ 1/1



 他は拠点防衛に専念してもらうことにした。


 帰ったら全滅してたとか笑えないし、かと言って全員連れて行って水晶とか盗まれてたら嫌だ。


 何より全員で行動するとなると、悪目立ちし過ぎるからかえって危険だろう。


 しかしこの後、俺は後悔することとなる。


 滝壺の上流は、ビースト種のテリトリーだということに気付かされたからだ……

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