第16話 初のウルトラレア
遠軽方面に向かって進み、無料高速道路を利用して車を走らせること三時間半、ようやく北海道の二大都市(自分調べ)旭川にたどり着いた。
ちなみにもう一つは言わずと知れた北海道ナンバーワン都市札幌。俺は修学旅行で中学生の時に一度行ったきりだが、金の当てもできて常に暇な無職になったので、今度遊びに行こうと思っている。すすきのってところに夢の楽園があるらしいからな。
夜飯は居酒屋チェーン店に入って適当に済ませ、早速ホテルに向かう。
今日泊まろうと思っているホテルは、山の高台にある白い外観の所謂ラブホテルで、スイートの宿泊でも七千円ちょっとというかなりリーズナブルな場所だ。
そのスイートルームがちょうど空いていたので早速入室。
さっと中を見回ってみたが露天風呂があるのにはびっくりした。マッサージチェアもあるのし、これは運転の疲れをゆっくり癒すことができそうだ。
現時点でかなり気に入ったので、自動販売機でメンバーズカードを購入することにした。頻繁に来るかはわからないが、百円しかかからないなら、買っておいて再度利用せずとも大した痛手にはならない。
ラブホの自動販売機ということで、他に大人のおもちゃや精力剤が揃えられていたが、今のところ興味はないので購入せず。
それから露天風呂に入りマッサージチェアでじっくりと身体も解して長時間運転の疲れを癒したところで、今日のメインイベントに移行する。
言わずもがな、大人だけのいけないデリバリーというやつだ。
旭川ということでそういうお店自体が地元の倍以上あってお店選びからかなり迷う。さらに鑑定で女の子の情報をそれなりに見ることができるということもあり、選び始めてから実に一時間かけてようやく決めることができた。
早速電話してお目当ての女の子を指名予約して待つこと数十分、ようやく女の子がデリバリーされてくる。
「お邪魔しまーす、あおでーす」
俺が指名したのはスタイルの良いギャル系美人。宣材写真とそこまで変わらぬ容姿をしていることは鑑定でわかっているので、安心して出迎える。
そうして俺の旭川の夜は始まった。
⭐︎
清々しい朝を迎える。
昨日の夜は三時間たっぷりとハッスルして、とてもスッキリ爽快な最高の夜だった。
別れ際にはプライベートの連絡先を交換するくらいの仲になっていた。
デリバリーなお店の女の子なので当然本番はしていない。
しかし美形で超イケメンになった上にあっちの方も身体強化で鍛えられ、極め付けには鑑定によって女の子を簡単に喜ばせることもできるので、最後の方は俺の虜になっていたように見えたから当然の結果ともいえる。
この調子なら童貞を捨てる日も近そうだ。
朝イチで昨日知り合った女の子におはようの連絡を入れた後、朝風呂に露天風呂を使用しつつアプリ専用スマホをタップしてポイントを稼ぐ。
昨日夜遅くまで相手してくれていたというのに、すぐに返事が来ていたので、何度かやりとりを続けつつ、一回分のガチャポイントが貯まったところで朝風呂を終える。
身支度を済ませた後は優雅でまったりとした時間を過ごし、まだ制限時間は残っているが、早めのチェックアウトを済ませてラブホテルを後にする。
次の目的地はもちろんM銀行。
というか旭川に来た最大の目的はそこにある。決してただ女の子と遊びに来たわけではないのだ。
昨日のうちに予約の電話を入れておいたので、入店して名前と要件を簡単に窓口で伝えると、応接室に案内される。
宝くじの当選金額は全部で二十一億円。
これだけの金額になると例え毎回お金を下ろしたりするのに手数料がかかろうと気にすることもなくなるので、地元に銀行の支店はないが、M銀行の口座を開設して、全額そこに入金してもらう。
入金されるまでにはやはり一週間程度かかるということで、結局本当の億万長者になるのはまだ先となる。
が、一週間後には正真正銘の億万長者になるので気長に待つ。
現状競馬のおかげで現金には困っていないし気楽に待てる。
色々と手続きを済ませた後は、高額当選証明書と一千万以上の当選者がもらう例の冊子を貰い、M銀行を後にした。
銀行を出た時には大体午前十一時過ぎ。
昼には少し早いがお腹も空いているので昼食を取ることにした。
何を食べるか決まっていないので、色々な飲食店が店内に入っている大型商業施設に向かう。
ステーキ、しゃぶしゃぶ、寿司、バイキング、鉄板焼き、パスタ屋などなど本当に色んな店がある。
迷いに迷った末、しゃぶしゃぶランチにした。
お値段は野菜と悟飯が食べ放題でお肉二人前がついて980円。
かなりリーズナブルなお店だったが、大変美味しくお腹もいっぱいになって大満足である。
せっかく遠出してきたので、地元にはないお高めの洋服店に寄って恒例のマネキン買いと店員さんのおまかせで洋服を数着購入し、また三時間半かけて地元に帰ることにした。
我が家に着くと時間は午後五時過ぎ。途中途中で休憩を沢山挟んでいたので想定した以上に時間がかかった。
今日はほとんど運転しかしていないのでお腹もそこまで空かず、夕飯はコンビニで適当に軽食を買うだけで済ませる。
それから風呂に入ったり、買い物したものを片付けたりして面倒ごとを終わらせ、本日初のガチャを引く。
今回は色々と忙しくて一回分だけだ。
どうせコモンだろうと期待せずにながら作業でガチャを済ませた。その結果……
【スキル:UR.次元斬を獲得しました】
「はいはい、アンコモンね……ってんんぅ!?」
Uの頭文字でアンコモンが出てがっかり……と思いきや、実はウルトラレアでしたというパターン。
一回だけだったのでどうせ良いものは出ないと油断していたからこそ余計に驚いてスマホを二度見してしまう。
それにしても初のウルトラレアか。
名前からしてもう期待大だ。
早速その効果を確認する。
【次元斬:次元ごと切断する斬撃を一日十回放つことができる】
シンプル。
正にシンプルイズベストといえる効果の超強力スキル。
次元ごと切断する斬撃という強力さ故に一日の使用制限こそあれど、ウルトラレアに相応しい効果のスキルだと思う。
これがあれば遠距離攻撃不足は解消されたと言っていい。
まさか初級ダンジョンでウルトラレアスキルが通用しないなんてことはないだろう。
これは明日のガチャ結果次第では、ダンジョン探索を始めてもいいかもしれない。
罠に関しては後から気づいたことだが、オートマッピングでワンチャン解決できる可能性が高いし、後は回復アイテムを揃えるだけ。
こうなったら、もう明日たくさんガチャを引くために、今のうちにポイントを集めるしかない。
こうして俺は一日ぶりの徹夜をして実に約十時間もの間スマホをタップし続けるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます