異世界来たけど、チートはありませんでした。
オリアカ スノ
【第1章】
第1話:異世界転移
「おめでとございます!
今回の依頼達成をもちまして、これまでの実績が一定の規定に達したので、ハルト様をEランク冒険者に認定します」
「ありがとうございます」
俺はそう言って、更新されて『Fランク』から新しく『Eランク』の文字の入った冒険者カードを受付の人から受け取った。
嬉しさのあまり顔のニヤつきが止まらなかったのは内緒だ。
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「う〜ん・・・」
俺はギルドの掲示板に張り出された『依頼』の中から、どの依頼を受けるか考え中だ。
俺の名前は『小川ハルト』16歳。男。
俺はある日突然、剣と魔法のファンタジーの異世界・・・つまりは今俺がいる世界に転移した。
異世界転移したての俺は「異世界=チート能力」の公式は、中学校で習う「解の方程式」並に当たり前だと思っていた。しかし悲しいことに物事そう上手くは行かならしい。
異世界に転移したはいいが、俺にチート能力はなかった。
ここは剣と魔法の世界。
未知の土地。未知の言語。未知の生物。
町を一歩出れば、平和な日本で暮らしてきた平凡な(元)高校生が死ぬのには十分危険がありふれている。
チートが無ければいとも簡単に死んでしまう。
最初はチートが無い絶望した。
しかし。
色んな人に助けられ、教えられ、平凡ながらもコツコツと努力を積み重ねた事は何とか暮らしていけている。
文字は読めないが言葉が通じたのが不幸中の幸いだ。
言葉も通じなかったらと思うとゾッとする。
異世界生活は今日で一ヶ月ぐらい。
今は冒険者として暮らしている。
つい先日、最低ランクで駆け出しひよっ子のFランクから、半人前くらいのEランクに上がったのが一ヶ月最大の成だ。あとは知識や剣の扱い方などを教えてもらった。
一ヶ月暮らして俺も一つの目標ができた。
それは。
『助けてくれた人に恩とお金を返す』
いつ返せるかはわからない。
恩をどうやって返すかはまだ具体的に定まって無い。
しかし、お金を返す相手と額は最初から決まっている。
返す相手はBランク冒険者のラルグさん。
俺に色々と教えてくれている先輩冒険者で俺の命の恩人でもある。
今では俺の相棒となってる剣を買ってくれ、一ヶ月の宿代、食費などを出してくれた。
額にして合計約10万ゴル。
本人は、返さなくていい。と言ってくれるが人として返すべきだと思う。
『助けてくれた人に恩とお金を返す』
これが俺の目標だ。
しかし、都合のいい能力なんてない。一つだけの命を大切にしながら頑張る。
ラルグさんに教えてもらった通り、何事も焦らず、急がず、確実に。
作戦は『いのちをだいじに』
「よし!」
目標も再確認した俺は受ける依頼を定め、手に取る。
この世界の文字を完全に使いこなせる様になった訳では無いが、ある程度の簡単な単語を教えてもらったお陰でなんとなくの内容はわかる。
依頼書にはこう書いてあった。
・難度:E
・内容:はぐれゴブリンの五体の討伐
・報酬:2000ゴル
・場所:西の森
報酬額や難易度はEランクちょうど真ん中辺りだ。
Eランクに上がってから初の依頼だ。ちょうどいい。
俺は依頼書を片手に受付へと向かう。
小慣れた感じで受付を済ませた俺は、依頼の場所である西の森へと向かうため、町を出た。
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