第6話
二人の最後があんな風で良かったのかは、わからないけれど。
もしも金沢で熱が出たりしなければ、こうはならなかっただろうか。
それも今でもわからない。
でも、後悔はしていない。
だから、答えなど出なくても構わない。
あたしはあの夜、出会えた自分の半身である彼を好きだった。
確かに、あの夜の二人はお互いに恋していたのだから。
その日以降、あたし達はきっぱりと会うのを止めた。
彼の式までの間も、新婚旅行を終えて仕事に戻ってからも、二人で会うことは決してしなかった。
会社ですれ違っても「お疲れさまです」と言い合うだけ。
でも、それはお互い笑顔で言い合えた。
彼が他の人と結ばれたこと。
すぐに父親になったこと。
辛くなかったか、と言えばそうではないけれど。
それよりも、彼が幸せでいてくれることが嬉しいと思う。
あたしの半身が幸せでいてくれることが、何よりも。
そして、あたしの半身は、きっとあたしと同じ気持ちだと信じている。
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