9 入間人間とケアレスミスと、
入間人間作品にはケアレスミスが多い。
入間人間本人のミスかつ本人もネタにしていたものだと、『ジュラルミンケース』がずっと『ジェラルミンケース』になっていたとか。
あるいは先述したものだと、カラオケ機械やミラノ風ドリアの描写とか。
正直、ミスの関連だと本人にも周囲関係者にも言いたい文句が山ほどある。
まず周囲関係者の問題点から書くとすれば、挿し絵や編集にいい加減さが目立ったことが挙げられる。
(※勿論、すごく読み込んで寄せてくれるイラストレーターさんもいて、作品のファンとして彼らには頭が上がらない)
スケジュールの組み方や情報伝達系統に問題がある体質なのか、その辺りがいい加減なのはライトノベル界隈ではよくあることだったようだ。
とはいえそれは一切の不満が洗われるほどの事実ではない。
いい加減さによるミスは、特に絵の関連で目立ったものが多かった。
たとえば、長身痩躯のはずが挿し絵ではミニマムなねずみおとこのクリーチャー、水色の髪を後ろで蝶々結びにしているはずが挿し絵では白髪編み込みの宇宙人、残暑の描写が何度もあるのに挿し絵ではマフラーを巻いた女子高生、休日待ち合わせをして私服を某ファッションセンター弄りされているのに挿し絵では制服を着ている女子高生、身長差がずっと逆、環境創造学科の中村さんが出てくる小説の掲載ページ画像に何故か使われる中村アラタ、高校生になっても中学の制服を着ている設定の子たちの中学時代回想シーンに出てくる謎の新規デザイン制服、既出キャラを指す言葉と共に漫画のコマに出てきた誰だかよくわからない爽やかイケメン……。
上に挙げなかったようなものの中には、大人になってみると「思春期ガールの頃のわたしてきびしいな……」と思えるものもあった(えっちな方に寄せすぎの人の印象が大層悪かった)が、酷いものは本当に酷かった。特に大岩ケンヂについてはインタビューの態度も含めて漫画家とか以前に労働者として軽蔑している。
そこに、メディア化に際して優先されるのは本文よりも挿し絵の情報、という風潮・体質も加わって、文章なんて読める方がバカなんじゃないかと思えるほどだった。
更に入間人間の方も、カラーリング上明るめの色を選ばれたことを受けてか、目立った描写がなかったりそれまで茶髪だったりした人物の髪色描写を『金髪』と改める始末。
本当に文章なんか読める方がバカなのだろう。
絵の関連ばかりでなく、普通の本文にも本当にミスは多かった。
本人チェックも校正さんのチェックもあまあまなのが見て取れるほどに。
たとえば今まで書いた以外でも、首藤“祐”貴だったり首藤“裕”貴だったりする主人公の一人、姫路灯(ひめじともり)だったり姫路灯(ひめじあかり)だったりする女、丸腰で外出した翌日の負傷で寝込んでやっと起きた際の外出で『銃器を持たずに外出するのは久しぶり』と述懐する主人公……。
中でも一番酷いと思ったのは、2012年の誤字だ。
“地の文が一々助長なのは今も大して変わらないが、その助長さに目障りな部分が強い。”
(引用元URL: http://irumahitoma.jp/webnovel/novel_anv_s002_01/page06.html /参照ログ日時:2012/09/23/入間の間 掲載版『バカが全裸でやってくる 5年前 5年後 5年間』より)
(※引用のため確認したところ雑誌掲載版では直っていたので、校正さんは良い仕事をされたのだろう)
これは入間人間本人を反映させた部分がある小説家主人公が、デビュー作を読み返した下りである。
ちょっといい加減にしてほしい。
わたしは変わっていく入間人間も応援していたし好きだったけれど、昔の彼が本当に好きだったのだ。
なんでそのものすごく好きな作家が、冗長を助長と書き間違えるクソナメプ野郎に貶されにゃならんのだ。しかもそのクソナメプ野郎は本人と来た。どう受け止めればよかったんだこんなん。
過去の自分をディスるならせめてもうちょっと現状をなんとかしてくれ。……と、当時心から思った。もう十年も前のことだ。
しかし、それでも入間人間とその小説が好きで、離れられずにいた。
それが揺らいだのは『いもーとらいふ〈下〉』を読んだときであり、そして『安達としまむら7』が発売されて以降だ。
『安達としまむら7』には、ごく当たり前のように、ミスがたくさんあった。
最初の『安達としまむら』で独白しただけの台詞が相手に告げられた台詞だってことになっていただとか、文章に小さな抜けがあっただとか、毎度のごとく繰り返されたミス各種だとか……。
今更と言ってしまえばそうかもしれない。『安達としまむら7』なんて入間人間の仕事のひとつに過ぎず、本人のケアレスミスも編集上のミスも『数ある本の一冊の数ある瑕疵のひとつ』に過ぎないだろう。
(ミスの深度がいつもより深かったせいで入間人間のことを死ぬほど心配したけどそれはわたしの気持ちの問題だから、むしろ心配して変なことしてごめんなさいって思ってます)
けれどそれは、“あの子”が人生最後の読み物に選んだ本の瑕疵になった。
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