第107話 バニーモンスターウォッチング?

 情報がそれなりに集まったな。


 では、山頂のバニーモンスターをどうするのか考えよう。


 町とは正反対の方向から挑発して、弾切れするまで撃たせるか?


 俺たちが危険だし、弾切れが起こるのか分からない。

 それに流れ弾で火災が起こるかもしれない。


 この案は却下だな。



 なんらかの方法で大砲を撃てないようにするとか?


 ……そのなんらかの方法が思い付かないな。


 みんなにも聞いてみるか。


「まったく思い付かないぜ!」


「ワシもじゃ」


 みんなも思い付かないようだ。

 これも却下だな。



 バニーモンスターをなんらかの手段で、他の場所に誘き寄せるとか?


 ……そのなんらかの手段が思い付かないぞ。


 みんなにも聞いてみよう。


「何も思い付かんな!」


「あっしもサッパリ思い付かないッスよ」


 みんなも思い付かないようだ。

 これも却下か。



 うーむ、良い案が思い付かないな。

 どうすれば良いのだろうか?


「電光石火の一撃で仕留めれば良い。それならば、大砲を撃たれず済む」


 骸王が提案してきた。


「確かにそうだけど。一撃でって、また無茶なことを言うなぁ。どうやって倒すんだよ?」


「そこはなんとかするのだ!」


「肝心な部分がないのかよ!?」


 それじゃあ、ダメだろ!?


「だが、他に良いアイディアはないし、ちょっと考えてみようか。一撃で倒せる手段、何かないものか?」


「上空から落下して来て、ぶった斬るっていうのはどうだ?それなら気付かれずに、一撃でぶっ倒せるだろ?」


 ヘリコプターフライが提案してきた。


「なるほどな。だが、不意打ちをくらわせることはできるだろうけど、一撃かは分からないぞ」


「ならば、ワタクシの紳士魔法を使用するのはいかがでしょうか?」


 ネクタが提案してきた。


「紳士魔法で脆くするのか。それなら成功率は上がりそうだな」



「自分の筋肉魔法で、トウヤの筋力を上げてみるというのはどうだ?」


 ルギデルも提案してきた。


 俺の攻撃力が上がれば、さらに確実性が増すことになるぞ。


「良いかもしれないな。ただ、いきなり本番というのもなんだから、ちょっとその魔法を試してみようか」


「そうだな」


 ルギデルを召喚した。


「では、筋力魔法をかけるぞ『キント・レミッカメ』!」


 なんだそれは!?


 『筋トレ3日目』!?


 筋トレを始めて、3日目になるということなのか!?

 それって、ほとんど効果が出ていないのでは!?


 えっ!?

 な、なんだ!?


 体が熱くなってきたぞ!?

 これがキント・レミッカメの効果なのか!?


「成功したぞ」


「体が熱くなっているけど、筋力が上がったという感じはしないのだが……」


「体を動かしてみれば分かると思うぞ。素振りをしてみたらどうだ」


「そうなのか?なら、やってみよう」


 俺は体を動かしてみた。


 いつもより、キレのある動きができている気がする。


 これならいけるかもしれない。


「ところで、この魔法はどのくらい効果が続くんだ?」


「効果時間か?30分間続くぞ」


「それだけあれば十分だな。他に何かできることはないかな?」



「奇襲をかけるなら、バニーモンスターの夜の行動も調べておくべきだ。夜は寝ている可能性もあるからな」


 イネカが提案してきた。


「なるほど、では、調べよう。またイネカに頼んで良いか?」


「それは構わないが、トウヤも現地を下見しておいた方が良いのではないか?」


「それもそうだな。では、夜まで時間を潰すか」



 夜になった。

 当然だが、あたりは暗い。


 この星にも月はあるようだが、ものすごく細いな。

 新月にかなり近い状態だ。


 町の中には街灯があるが、山の方は真っ暗だな。


 これでは山に行っても、何も見えなさそうだ。


「ここはおれっちに任せな!」


 ツシタがそう言った。


 ああ、なるほど、暗視魔法があれば、この暗さでも見えるのか。


 では、召喚しよう。


 ツシタが出て来た。


 そして、ツシタを俺の両目に装着した。


 おおっ、これはすごい!

 昼間と変わらないくらい明るいぞ!


 さすがは魔法だ!

 これなら問題なく偵察できるな!


 よし、出発するとするか。


 ヘリコプターフライを召喚して、空を飛んだ。



 タシーエクス山の上空までやって来た。


 今いる位置が高過ぎて、山頂の様子がよく見えないな。


 だが、不用意に近付くと、気付かれる恐れがあるか。


 こういう時は……


「ツシタ、望遠魔法も使ってくれるか?」


「分かったぜ!」


 おっ、山頂の様子が見えるようになったぞ。


 暗視魔法と望遠魔法を同時に使えるんだな。

 便利で素晴らしい!


 では、山頂のバニーモンスターを探そう。


 えっ!?

 な、なんだあれは!?


 戦車の真ん中あたりに、馬と鹿の頭のようなものが付いている化け物がいるぞ!?


 全長10メートルくらい、全幅4メートルくらいありそうだ。


 あいつは『バニー馬鹿うましか戦車』と呼ぼうか。


 これはまた、とんでもない化け物だな。


 あれが畑から出て来たのか?

 バニーモンスターは訳の分からない存在だな。


 では、しばらく観察してみよう。



 かなり長い間観察していたが、バニー馬鹿戦車は動かなかった。


 ひょっとして、あれは寝ているのか?


 なんだかそれっぽいな。


 これは楽勝なんじゃないか?


 今すぐにやっちゃおうか?


 いや、そろそろ日が昇りそうだし、やめておこうかな。


 って、バニー馬鹿戦車が動き出しやがったぞ!?


 結構早起きなんだな。


 仕方ない、今日は帰ろう。


 俺たちは町に引き返した。


 ああ、眠くなってきたな。


 宿に行こうか。


 あっ、そういえば、こんな時間では宿に泊まれないじゃないか!?


 くっ、仕方ない、その辺で野宿をするか。

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