第63話 ユーヤオタカト星の原住生命体
またたいして役に立たない能力を身に付けてしまった。
つらい目に遭ったというのに、世の中はひどい……
まあ、落ち込んでいても仕方ないか。
気を取り直して、次を考えよう。
さて、どうするか?
うーん、何も思い付かないな。
みんなとも相談してみるか。
「そうですねぇ。どうしましょうか?」
「そうじゃな、今は何も思い付かんのう」
みんなも良い案が思い付かないようだ。
こういう時はどうするか?
とりあえず、情報収集をしてみようかな。
原住生命体がいるとシルバーバニーサルが言っていたし、官邸も王国があると言っていたから、それを調べてみるのも良いかもしれない。
よし、バニーモンスターたちが向かって行った、原住生命体の拠点に行ってみるか。
滅ぼされてなければ良いけどなぁ。
拠点の近くにある、森の中にやって来た。
いきなり原住生命体に接触すると不審者扱いされるだろうから、まずはここからコッソリと拠点を覗いてみよう。
「その行為も十分不審じゃがな」
ラビリンにツッコまれた。
「うっ、これは仕方ないだろ。良いから様子を見るぞ」
俺は木の陰から覗いてみた。
えっ、あれがこの星の生命体なのか!?
原住生命体の拠点にいたのは、ダブルクリーナーヘッドとアビスとラビリンとカオスのような姿をした生命体だった。
その周囲には破壊された原住生命体や、バニーモンスターの死体や、建物やバリケードの残骸などが落ちている。
原住生命体たちは後片付けや拠点を修理しているようだ。
どうやら原住生命体がバニーモンスターに勝ったみたいだな。
アビスのような生物が、バニーモンスターの死体を収納して片付けている。
ダブルクリーナーヘッドのような生物がバリケードの残骸を集めて、カオスのような生物に渡している。
そして、それをリサイクル魔法と思われるもので、建材にして拠点を修理している。
プレハブ小屋みたいなものや、有刺鉄線が付けられたバリケードが次々と作られていくぞ。
すごいものだな。
先程から探しているのだが、俺のような形をした人間はいないようだ。
これは何もせずに現地の方々に接触するわけにはいかないようだな。
変装しないとな。
あの中で変装できそうなのは、アビスのような生物だけだな。
よし、カオスに頼んでデカい紙袋を用意しようか。
周辺にあった草や落ち葉で、茶色の紙袋を作ってもらった。
シーツお化けの次は紙袋人間になるのか。
我ながら変な人生を送っているよな。
さて、では、この紙袋を装着して現地の方々と接触してみるか。
と言いたいけど、あそこの方々は忙しそうだな。
それにあそこは最前線の軍事基地みたいな場所だろうから、不用意に近付かない方が良いかもしれない。
他の民間人が暮らしていそうな場所を探そう。
では、出発しよう。
前線基地からかなり距離を移動した。
おっ、あれは?
コンクリート製のような白色の壁が設置してあるぞ。
高さは15メートルくらい、有刺鉄線が張り巡らされている。
物々しいな、やはり戦争中だからだろうか?
あれの向こうが町なのだろうか?
ちょっと官邸に聞いてみるか。
「総理、あの壁の向こうは町なのですか?」
「えー、その通りです。あそこはゼヴィート王国の王都になります」
あそこが王都だったのか。
行ってみようか。
さて、どこかから中に入れないかな?
あ、門を発見したぞ。
見張りと思われるダブルクリーナーヘッドみたいな方がいるが、門は開いているぞ。
あそこから入れるのかな?
よし、ちょっと行ってみるか。
特に何も言われず、普通に通れたぞ。
セキュリティーは大丈夫なのか?
バニーモンスターの拠点から離れているから油断しているのか?
いや、でも、壁には有刺鉄線があるしなぁ。
あれはただの飾りなのか?
うーむ、よく分からん。
まあ、良いか。
町を探索してみよう。
変わった街並みだな。
紙パック式の掃除機の本体のような建物や、公園にあるボックスタイプのごみ箱を大きくしたような建物が並んでいるぞ。
これは自分たちの体を参考にして建てたのかな?
町の中には、前線基地と変わらない面々が歩いている。
というか、浮きながら移動している。
この光景を見ると、異星に来たんだなぁと思ってしまうよな。
周囲の方々は、俺のことを特に気にしてはいないみたいだな。
変装はうまくいっているようだ。
良かった。
さて、この町で何をしようか?
何か有益な情報が得られそうな場所はないかな?
無料で利用できる図書館でもあれば良いのにな。
おっ、ここは?
冒険者ギルド!?
看板にそう書いてあるぞ。
この星にも存在するのか!?
いったい何をするところなんだ!?
またバニーモンスターを取引しているのか!?
うーむ、気になるところだが、今は入らなくても良いかな。
この国のお金を手に入れても使い道があるのか分からないからな。
俺用の食料が売っているのか分からないし。
次に行こうか。
ん?
ここはハンバーガーのような感じの、肉を挟んだパンを売っているようだな。
あいつらがハンバーガーなんて食べられるのか?
謎過ぎる……
まあ、どうでもいいか。
探索を続けよう。
おっ、この白いゴミ箱のような建物は図書館らしいぞ。
看板にそう書いてある。
入ってみようか。
中は本棚が大量に並んでいる。
本も本棚も地球のものと同じだな。
ラビリンみたいな種族はどうやって読んでいるのだろうか?
まあ、そんなことはどうでもいいか。
ここを調べてみよう。
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