第30話 VS4階のボス

 さて、この後どうしようか?


「トウヤ、早く4階のボスを倒しに行くぞ!」


 骸王に急かされた。


 そういえば、ステータス見る前に、そんなことを言っていたな。


「だがなぁ、土鍋への対策が立っていないだろ。あれをどうにかできないと勝ち目はないぞ」


「吸引魔法を使えば良い」


 ダブルクリーナーヘッドがそう言った。


「えっ!?吸引魔法を?どういうことだ?」


「土鍋になる前に、吸引してしまう」


 なるほど、形ができ上がる前の土の段階で吸い取ってしまうと。


 それは良さそうだな。


 よし、それを採用しよう!


 では、4階にのボス部屋に行くか。



 というわけで、部屋の前までやって来たぞ。


 それでは、骸王とダブルクリーナーヘッドを召喚しよう。


 骸王とダブルクリーナーヘッドが出て来た。


 骸王が、本当に金色の全身タイツを着ているぞ!?


 なんというか……


 骸骨が全身タイツを着ているとか、意味が分からないな。


 ダブルクリーナーヘッドには、掃除機の本体が付いているぞ。


 これって、生えてきたんだろうか?


 謎だな。

 あの金色のタイツもだが。


 本体の大きさは、全長は30センチくらい、全幅25センチくらい、高さ20センチくらいだ。


 一般家庭用の普通の掃除機って感じだな。


 さて、これで準備は完了したぞ!

 行こうか!!


 それでは、お邪魔します!


 俺は扉を開けて、中に入った。



 大型のバニーカモ鍋セットが部屋の中央にいた。


 相変わらずだな。


 ん?

 また大型のバニーカモ鍋セットが鳴き始めたぞ。


 ラビリン、通訳を頼む。


「ふむ『臭そうな肉と、食えなさそうなのが来た』と言っておるぞ」


 また臭そうと言いやがったのか!?


 おのれ、失礼なヤツめ!!


 ん?

 また鳴いているぞ。


「今度は『面倒だな。さっさと処分するか』と言っておるのう」


 おのれ、口の悪いヤツめ!!


 処分されるのはお前だ!!


 ハンマーでぶん殴ってやるぞ!!


 覚悟しやがれ!!


「ダブルクリーナーヘッド、吸引魔法を頼むぞ!!」


「分かった」


「よし、攻撃開始だ!」


 俺たちは突撃した。



 むっ、大型のバニーカモ鍋セットの周囲に土が集まり出したぞ。


 今だ、ダブルクリーナーヘッド!!


 ダブルクリーナーヘッドから掃除機の運転音が聞こえてきた。


 これが吸引魔法なのか!?


 ただの掃除機みたいだぞ!?


 おおっ!!

 大型のバニーカモ鍋セットの周囲に集まって来た、土だけを吸い込んでいるぞ!!


 他のものには影響がないようだ。


 すごいじゃないか!!


 こういうところは魔法っぽいな!


 さあ、今のうちに倒してしまおう!



 俺と骸王が大型のバニーカモ鍋セットの両側面から挟撃する。


 大型のバニーカモ鍋セットは、翼を振り回しながら鳴いている。


 これは何を言っているんだ?


「これは『我が土鍋魔法を妨害するとはヒキョウな!ええい、近寄るな!食えなさそうな連中め!!』と言っておるぞ」


 あれは土鍋魔法というのか。


 またずいぶんと限定的な魔法だな。


 さて、ヒキョウとか言われているけど、無視して倒すか。


 勝負の世界は厳しいのだよ。


 俺はハンマー横に払い、大型のバニーカモ鍋セットの胴体をぶん殴った!


 見事に命中し、大型のバニーカモ鍋セットは小刻みに震え出した。


 さらに骸王が、強烈な回し蹴りを放った。


 その蹴りが、大型のバニーカモ鍋セットの首に当たった。


 大型のバニーカモ鍋セットは、倒れて動かなくなった。


 これは倒したのかな?


 俺はハンマーで、大型のバニーカモ鍋セットを突いてみた。


 まったく反応がないぞ。


 どうやら倒したようだな。


 良かった。


「骸王、ダブルクリーナーヘッド、お疲れ様。どうやら勝ったみたいだな」


「うむ、そのようだな」


「勝った?やったね」


 今回は見事な連携での大勝利だったな!!


 さて、大型のバニーカモ鍋セットはどうしようか?


 こいつは食べられるのか?


 ちょっと官邸に聞いてみるか。


「総理!!これは食用ですか!?」


「えー、これは食用です。栄養豊富で美味しいです。特に鍋にすると美味しいですよ」


 やはり鍋がオススメなのか。


 でも、鍋がないからなぁ。


 いや、待てよ。

 もしかしたら、カオスに作ってもらえるかもしれないぞ。


 今回の戦闘でレベルが上がっているだろうし。


 後で召喚してみようか。


 今はこいつを解体してしまおうか。



 ん?

 これは?


 大型のバニーカモ鍋セットの、背中の具材の中にカードがあったぞ!?


 なんでこんなところにあるんだ!?


 鍋の具材じゃないだろうが!?


 まあ、良いか、見てみよう。



 名前は『ヘリコプターフライ』だそうだ。


 なんだそれは!?


 ヘリコプターの揚げ物なのか!?


 意味が分からないぞ!?



 その下には、ヘリコプターの形をした揚げ物の絵が描かれていた。


 薄力粉、卵、パン粉を付けて、キツネ色になるまで揚げたようだ。


 こ、この絵は!?


 まさか本当にヘリコプターの揚げ物なのか!?



 さらにその下の部分には、こう記載されていた。


 レベル  …… ベチャッとしていて悲しい。


 強さ   …… 衣がはがれている。

 頭脳   …… ほう、なかなか良い色だな!

 速さ   …… いやあ、中まで火が通っていませんねぇ。

 幸運   …… ソースをかけると美味しいです!


 特殊   …… 飛行魔法が得意なのです!!


 特記事項 …… と、と、特にありませんでしたーー!!


 おい、こら、なんの評価をしているんだ!?


 これは揚げ物の評価じゃないのか!?


 強さがよく分からないぞ!?


 まあ、いつものことだけどな!!


 それと飛行魔法というのはなんなんだ?


 言葉通りの空を飛べる魔法なのか?


 召喚して聞いてみるか。


 ヘリコプターフライが出て来た。


 全長10センチくらいだ。


 本当にヘリコプターのフライみたいだな。


「ウヒャヒャヒャヒャヒャッ!俺様を召喚したのは、あんたかい?」


 ヘリコプターフライが話しかけてきた。


 テンションが高いな。


「あ、ああ、そうだ。俺は角野当也。トウヤで良いぞ。よろしく頼むよ」


「ヘリコプターフライだ!よろしくな!!どうした、トウヤ?テンション低いぞ!俺様の体のように揚げて行こうぜ!!」


 テンション高過ぎないか!?


 後、揚げ物にはなりたくないぞ!?


 そんなことより、魔法の方を聞いてみよう。


「ところで、この飛行魔法について聞きたいのだが、これってどんな魔法なんだ?」


「ん?言葉通りだ!自分も他人も飛ばすことができるぜ!!」


 えっ!?

 他人もだと!?


「ちょっと使ってもらって良いか?俺にその魔法をかけてくれ」


「良いぜ!!」


 おおっ!?

 浮いたぞ!?


 しかも、自分の意思で移動することもできる!!


 これはすごい魔法だぞ!!

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