第30話 迷宮主との激闘−2
疑問なのだが今はそんなこと考えている余裕はない。
早くこんなのから逃げないと!
俺は必死になって、スライムを手でかいたりして脱出しようとしたが失敗に終わった。
「クソっ!! なんだこれ硬すぎだろ!!」
「############!!!!」
スライムの体は、先程ザイラのことを跳ね返したようなぷよぷよではなかった。その硬さはまるで石。叩く俺の方の手が逆に怪我をしそうなほど硬い。
「ロンベルトッ!! 今助けに行く!!」
ロットはそう言ってスライムに飛びついてきたのだが、
「いてっ!」
「########!!」
一瞬にして跳ね返されて助けになんて全くこれていなかった。
やっぱり、スライムは自分の体を自由自在に操ることができるのか……。ロットがバカみたいに突っ込んで来なかったらわからなかったことだ。今だけはバカに感謝しよう。
って、感謝なんてここから脱出したら何度でもできる。だから早くここから出ないと!
俺はそう思って必死に脱出する方法を考えたのだが、何も思いつかなかった。だってこのスライムには、打撃が効かなくて魔法も効かない。そして唯一攻撃ができそうなスキルはもう使うことができない。
実際、手はない。
どうしよう……。
俺はもう、半ば諦めようとしていたとき。
「ロ、ロンベルトさんを離せぇ!!」
そう言って、目の前に来た人物がいた。
その人物は、右手に小さい杖を思っている。
そしてその人物は、勢いよく杖をスライムに向かって振り下ろし……。
「
魔法を放った!
「!?!?!?!?!?!!!???!」
魔法が効くはずがないスライムの形が崩れていく!
そしてもちろん、スライムに向かって放たれた魔法はスライムに拘束されている俺にまで届き……。
「ぎょえぇえぇえぇえ!!!!」
感じたことのないピリピリとした気持ちの悪い痛みとともに、体の中に電撃が走った。
な、なんなんだよ……。
「つ、捕まえました! ロンベルトさん! 大丈夫ですか!?」
ティラはそう言って俺の体に抱きついてきた。
どうやら今ので、スライムの拘束から逃れることができたらしい。さすがにちょっと手段が強引だったかもしれないけど!
「どちらかというと、ティラの
「ご、ごめんなさい!! 私が助ける方法はこれくらいしか思い浮かばなかったので……」
そうか。ティラは俺のことを助けようとして魔法を打ってくれたのか……。
ん? もしそれで当たりどころが悪くて、俺のことも殺していたらどうしてたんだ?
いや、そんなこと考えるのはよそう。
ティラは俺を助けることに夢中になっていて気づかなかったんだな。
「っていうか、いつになったら地面に体が着くんだ?」
「え?」
ようやく俺たちは今、どんな状況なのか確認することができた。下を見るが、真っ暗で地面がない。上を見ると、光がある穴とその周りに何人かの人影。
あ、あれ!? もしかして俺たち、落っこちてる最中なの!?
「ロンベルトッ!! 絶対助けに行くからなぁ〜!!」
届くはずもない距離なのに、ロットが手を伸ばしながら叫んでいた。
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