第25話 冒険者のルール
迷宮の中に入った俺は、目の前の光景に唖然としていた。
「な? だから戦闘狂だって言っただろ?」
「ずごいな……」
中にあるのは魔石。魔物はすべて倒されており、地面には敷き詰められるほどの魔石が落ちている。戦闘狂だとしてもこれは流石におかしい。これが、Sランクパーティーの実力なのか……。
「よいしょっと」
「なにやってんだ?」
俺の目が魔石に釘付けになっていると、ロットたちは地面にしゃがみこんでバックの中を開けた。
「なにってお前そりゃあ、魔石回収に決まってんだろ。魔石は先に取ったもん勝ちだからな」
「でも、魔物を倒したのはSランクパーティーの人たちじゃないのか?」
「ロンベルト……そんなかたいこと言うなよ。あいつらはすでにもう、腐るほど金を持ってんだ。魔石回収しないで放置なんてもったいないことできないだろ?」
「そうなのか?」
俺はてっきり、魔石はその魔物を倒した冒険者のものだとかいう暗黙のルールがあったりするのかと思っていた。それがないんなら、前線なんかで戦わないで迷宮の入り口でおこぼれの魔石を集めに行けば生きていけるんじゃないか?
「そうだ。そうだ。お前も早く魔石回収しないと全部俺らがもらっていくぞ?」
「それは困っちゃうな」
俺は正直、散財してて金が少ない。
そんな事実に焦りながら、ロットに負けずとバックの中に入れていく。
「うっひょー! ベビードラゴンの魔石がこんなにあるのかよ! おいお前ら。絶対に見逃すんじゃないぞ」
「私たちはあなたみたいにバカじゃないんだから、見逃すわけないでしょ」
ベビードラゴン。
知らない魔物の名前だ。やっぱりもう、立派な冒険者なんだからちゃんと魔物の名前とか特性を覚えないとな。こういう大事なところで希少価値がわからなくなる。
「でもこんだけ魔石が集中していると、
ロットは、目の前にある大量の魔石を見ながら人知れず呟いた。
「
「ん? まぁつまり、魔石から元の姿に蘇るってことだ。これは、魔石が集中的に集まると起こりゆることなんだけど、大丈夫だと思う。
「ロンベルトッ! 後ろ!!」
ロットが急に叫んできた。
どうしたんだ?
「ん?」
俺は疑問に思い、後ろを振り返る。
するとそこには……。
「ギャロロロロ!!」
俺の顔めがけて迫ってきている鋭い爪があった
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