第11話 サキュバスの過激な妄想
「ギャッギャッギャッ!!」
「はぁ〜……面倒くさいな!」
「
俺は二人がいなくなったあと、襲いかかってくるゴブリンキングたちを倒しながら前に進んでいた。
前に進んでいたって言っても、実際は全然進んでない。襲ってくるゴブリンの量が半端ないからだ。なぜ奥に進めば進むほど、多くなるのだろうか?
それもこれもすべてキャシーとミラっていう、俺のことが大好きな二人の女のせい。
「なんで俺はこんなことしてるんだよ……」
そうだ。もういっそ、あの二人のことを見捨てて帰ろっかな。いや、それはないな。
俺は生きる伝説を目指してるんだ。そんなことしたら、明日食べる飯が不味くなる。多分、俺が目指している生きる伝説はそういうと思うものだ。だから見捨てはしない。
「はぁ〜……手間かけやがって」
キャシーがいきなり現れた知らない女に俺に対して、
これじゃあ、「生きる伝説最速計画」の中にあるハーレムを築けないじゃないか! なんとかして、説得せねば。
「
俺は面倒くさくなり、地面を闇にして探すことにした。
「いた」
結構すぐ見つかった。
いたのは少し先の突き当りを右に曲がった場所。口パクで何を言っているのかわからないけど、何か仲良く話している気がする。
ま、まさか俺が知らない間に仲直りしたのか!?
そうか……それはよかった。
俺は闇で移動しようと思ったのだが、その時あるものを見た。
「扉……?」
あったのはボロボロになっている木の扉。ところどころ木が剥がれそうになっている。
なんで土の中に扉があるんだ……? ここは土の中だぞ?
俺は疑問に思って触ってみることにした。
「別段、普通の扉だな……」
どこにでもありそうな年季の入った扉。
扉があるんなら、先に何かがある! そう思った俺はウキウキしながら開けてみることにしたが……。
「あれ?」
いくら引いてみても、押してみても扉はびくともしなかった。
そりやぁ、そっか。これは土の中にあるだけでただの扉じゃないか。なんで俺は扉の先に何かあるんだと思ったんだ……? 魔石集めさせられてたから疲れてるのかな? 今日は早めに寝るとするか。
俺はそんなことを思いながらキャシーとミラがいる地面に顔を出した。
「なぁ、もう終わったか?」
俺が問いかけると、ミラは最初ビックリしていたが嬉しそうな顔をして口を開いた。
「はい! われとこの娘がロンベルトさんの
「な!? なんでそうなるの!?」
どうやらキャシーはミラが言っていることに納得していないようだ。
ん? ちょっとまて。俺もよくわからないぞ?
ミラとキャシーが俺の番になるってことは、俺はハーレムを作れるってことか!
そうかそうか。それなら俺もミラの言葉に賛成だ。だけと、その結論に至るまでなに楽しそうに話してたんだ?
「? さっきまでそういう話だったじゃないですか?」
「そ、そんなのはただの夢……妄想です! 私とあなたがパートナーになるのかはロンベルトさんが決めることなんです!」
キャシーは顔を真っ赤にしながら言ってきた。
ふ、ふぅ〜ん……。さすがキャシー。サキュバスってだけあって、妄想が激しいね。
「だめ……ですか?」
ミラは俺の目の前に来て子犬が、「くぅ〜ん」と甘えるようにねだってきた。
「うん。いいよ」
「ロンベルトさん!? そんなあっさり決めていいんですか!?」
キャシーは心配そうに俺のことを見てきた。
ふふふ。大丈夫大丈夫。
よし。そうと決まれば、こんな薄汚い迷宮なんかでてイチャイチャするぞ!
「――ゴゴゴゴ……」
俺がそう決断したとき迷宮から変な音が聞こえてきた。
「なんだ?」
俺は疑問に思って周りを見渡す。
すると、
「パキ……」
迷宮の壁にヒビが入った。
「二人とも俺に掴まれ!」
「はいっ!」
「です!」
俺は嫌な予感がした。なので、地面に作った闇の中に二人を連れて入った。
*
「危なった……」
迷宮の中が崩壊が始まっている。
一体なぜ、こんなことになり始めたのだろうか?
「あの……ロンベルトさん。ここって?」
俺が迷宮について考えていると、耳が垂れ下がっているミラが心配そうに聞いてきた。
「ここは俺のスキルの中だから潰される心配ないよ?」
心配するのもわかる。
だってここは、周りに何もなくて真っ黒。見えるのは俺とキャシーだけなんだから。
ちなみにキャシーは一度この中に入ったことがあるので慌てずに、というか好奇心に負けてさっきからうろちょろしてる。
ふふふ。挙動がかわいいな。
「人間はス、スキルの中に隠れることができるんですか!?」
「まぁ、全員かはわからないけど俺のスキルはできちゃうね」
「じゅご〜!!」
ミラは、目をキラキラさせながら俺のことを見てきた。
すごいスキルがあるからって俺がすごいわけじゃないんだけど……。純粋な子供をだましているようで、少し悪いな。
「一体、迷宮の中で何が起こっているんでしょうか?」
キャシーが心配そうに聞いてきた。
「さぁ……何が起こってるかはわからないけど、何かが変わっていこうとしているのはわかるな」
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