第9話 二人でワクワク迷宮!
「つまり、サキュバスのパートナーになった人は生涯一緒にいないといけないってことか?」
俺は薬草採取に行くまでの道中、キャシーが言っていたパートナーという意味について確認した。
「はいっ! そうです!」
「まじか……」
生涯ってことはたしかに夫婦になるっていうのはわかるんだけどさ……。ちょっと急すぎない!? もっとアレコレしてからのほうが良かったな……。
はぁ〜……。なんでもっとちゃんとしなかったんだよ、昨日の俺……。
「いや、でしたか……?」
「ん? 全然いやじゃないよ?」
いやなわけない。
こんな美人な人が俺の妻……? まぁパートナーになるんだから。生きていくために、アレコレしないといけないのがまたいい。いや、よくはないか。キャシーはシないと生きていけないんだから。
って、そんなこと考えていてもしかたないな。
「改めて、これからよろしく」
「はいっ!」
*
そして俺たちは、いつも俺が薬草採取をしている場所に到着した。キャシーは膨大な緑の草の前に、すごく張り切っていた。初めて冒険者として仕事ができるのだと。
だが、俺がスキルで一瞬にして終わらたのを見て呆然としていた。楽しそうにしていたのに、勝手にすべて終わらせてしまったのを少し悪いと思ってる。
そして今に至る。
「結構時間余ってるけどどうする?」
「うぅ〜ん……」
いつも通り、昼前に終わってしまった。帰って、別のバックを持ってきてもう一度……っていうのもいいけど面倒くさい。
俺はいつも一人で、適当に時間を潰している。それこそ、魚釣りをしてみたりスキルで遊んだり。でも今はキャシーがいるので自分勝手な行動はできない。
でも、このまま帰るっていうのはあまりにも可愛そう。そもそもキャシーは冒険者っぽいことをしたかったんだと思う。
……いや、それならとっておきがある。
「今から迷宮に行かないか?」
「え……? 近くにあるの?」
「あぁ。ついてきて」
*
きた場所は、昨日ドラゴンを倒した迷宮。
俺はここなら、ゴブリンしかいないので初心者には丁度いいと思いきた。まぁここしか、迷宮がある場所を知らないっていうのもあるけど……。
「へぇ〜……こんな場所に迷宮なんてあったんだ!」
キャシーは目をキラキラさせながら洞窟の中を覗いた。
ふふふ……冒険者の目になっちゃって。
いいね。いいね。こういうのが見たかったんだよ。
「うん。まぁこれ、だけどね」
俺はそう言って、立てられている看板を指差す。
「ランク特定不可能迷宮。冒険者立入禁止……?」
「あぁ。だけど俺は一度入って中も見てきたから、大丈夫だと思う」
「じゃあ、いきましょ!」
キャシーは、にっこにっこしながら迷宮の中に足を踏み入れようとした。
「ちょっと待って」
だが俺はそれを止めた。
「ん?」
「迷宮の中で守りきるってことはできないかもしれない。キャシーも戦うことになと思う……。なにか武器を持ってるか?」
「えぇ……サキュバスは常に女の武器を持ってるから大丈夫よ?」
キャシーは下をぺろりと出して迷宮の中に入っていった。
…………。女の武器ってそういうこと!?
それって果たして魔物に効くのだろうか……。いや、効かないと思うんだけど!?
*
「あんなこと言ったけど、ゴブリンばっかで大したことないだろ?」
俺は目の前に出てきたゴブリンを
「えぇ……? これ、ゴブリンじゃなくてゴブリンキングだと思うのだけど……」
キャシーは目を疑いながら俺のことを見てきた。
「え?」
「え?」
俺とキャシーの声がはもった。
ゴブリンキングだったの!? い、いやたしかに俺よりちょっと身長が高いとは思ってたけどゴブリンキングってこは……。
あるのか?
そうなのか??
「まぁ、見間違いかもしれないな……」
「いえ。私は一度ゴブリンキングを見たことがあるの。だから、その……」
……え!?
まじで? ってことは、俺が今まで障害物みたいに倒してたやつってゴブリンキングだったってことだよな? なんで魔石捨てたんたんだよ俺……。
「はぁ〜……そうか……」
あの魔石があれば、もっと稼げてたかもしれないのに……。
いやあそこにたくさんあるじゃないか!
「その……」
キャシーは俺のことを心配そうに見てきた。
うん。絶対、なにか勘違いしてると思う。別に俺、過去にゴブリンキングになにかされたとかそういうのはないよ?
「行き先が決まった。ついてきて」
「は、はいっ!」
キャシーは俺が急に変なことを言ったにも関わらず、質問せずに後ろをついてきた。
まったく……。こんなんじゃ、いつか詐欺にあっちゃうぞ?
*
「あの……ここは?」
「ここは俺が一度ドラゴンを倒した場所だ」
「ド、ドラゴンですかぁ〜……」
キャシーは奥にある祭壇をしみじみと見ていた。
ん? なにかドラゴンとなにかあったのだろうか?
まぁ、それは今どうでもいいや。え〜と、魔石魔石……。
「あった」
俺が薬草を地面に放り投げ魔石をバックの中に詰め込んでいると、
「うぎゃー!!」
苦しそうな女の叫び声が聞こえてきた。
「キャシー!?」
俺はキャシーに魔物が襲っているのだと思い焦って後ろを振り返る。
のだが、
「いえ、私ではないんですけど……」
キャシーは少し首を横に曲げながら言ってきた。
「ここには俺たち以外だれも……」
俺は怖くなってあたりを見渡していると……。
「助けてぇえええ!!!」
再び女性の悲鳴が聞こえてきた。
今回は、さっきのと違って緊迫感が伝わってくる。一体何に襲われているんだろうか。
「こっちだ!」
俺はそう疑問に思いつつ、声がした方に走っていった。
*
「た、助けてえ〜」
目の前に、助けを呼んでいる声の主がいる。
手と足はすべて固定されている。顔は涙でぐしゃぐしゃになっている。
「「…………」」
俺とキャシーはその人物を見てお互いに顔を合わせる。
「獣人?」
「みたいですね……」
頭の上に2つ、ふわふわとしていそうな物体がついている。これを獣人だと言わないで何を獣人だというんだ……。というか、なにげに俺初めて本物の獣人見たな。子供の頃、兵士の人に人形をもらったことはあったけど。
「あっ! そこの人たち! 助けて!」
獣人は俺たちのことに気づいたのか、目を向けて言ってきた。
うぅ〜ん……。ここで拘束されてるってことは何かやらかしたんだよな……? 助けていいのか?
まぁ、俺は何も知らないしとりあえず……。
「話でも聞くか」
*
「ぷはぁ〜!! 助かりました! ありがとうございます!」
獣人は俺の水筒から水を勝手に飲んで頭を下げてきた。
それを見たキャシーが襲いかかろうとしてたけど、水を飲んでいて気づいていなかったのかな……。
「どうします?」
「うぅ〜ん……さすがにおいては行けないし……」
俺とキャシーは獣人に聞こえないように小声で話していると、
「今日からあなたの
獣人はわけがわからないことを言い出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます