第7話 ゴミゴミゴミゴミ


 俺はこの前、国からゴミを追放した王。

 名前はケネス・ラーク。ゴミを追い出してから3ヶ月が経った。


 はっ! あいつのことを国から追い出せてせいせいしてる。毎日毎日、あのゴミの顔を見るだけで吐き気がしてた。


 あぁ〜あ! 最高だ! 最高だ!

 あっ、でもあんなゴミなんて公開処刑したほうが良かったかもしれないな。死ぬ間際に「お前の人生、楽しかったか?」って聞きてぇな。どうせ泣いて喚くだろ。今度、兵士にゴミを回収させに行かせようか。

 

 そんなことを考えながら自由気ままに過ごしていたのだが、


「財政を回すことができないとはどういうことだッ!!」


 知らねぇゴミムシが知らねぇことを俺に言ってきた。


 財政? なんか、聞いたことがある単語だがなんのことを言ってるのか知らん。ていうか、なんでそんなことをこの王である俺に聞いてくるんだよ!


「は、はいぃ〜。どうやら、財政はロンベルト様が管理していたようで……」


「なに!? あのゴミがそんな真似をしていたのか」


 ゴミが何を管理してたのか知らないが、それが大事だったことは確か。


 もしかしてあのゴミはこうなることを予想してたのか? こうやって俺に不快な思いをさせるために仕組んだのか!?

 許せん。許せん。許せん!

 あのゴミがッ!


「別のもので代わりをやらせろ!!」


「そうしたいんですが、財政の書類一式がどこにも見当たらなくて……」


「書類の管理もできないのか!?!?」


「す、すいません!!」


 ふざけんな! なんでこんなゴミみたいな無能が俺の国で仕えてんだよ!!

 ゴミ。ゴミ。ゴミ。

 なんで俺の周りにはゴミばっかしかいねぇだよ!!


「もういい。お前の顔を見ているだけで、あのゴミのことを思い出す。今日でクビだ!」


「そんな!? 私には愛する家族がいるんです! それだけはどうかご勘弁を……」


「はっ! 俺がそんなこと知るか!!」


 愛する家族? そんなものまやかしだ!!


 ゴミが作った子供なんて、生ゴミ以下の存在だ。なんでそんなゴミを生み出したくせに、生意気に口聞いてんだよ。今、俺に殺されないで生きているだけでもありがたいと思えよッ!!


「そんなぁ〜……。私は20年以上、何を言われてもこの国に仕えてきました。見捨てないでください!」


「黙れ。早くどこかで野垂れ死んどけ」


 知らねぇゴミは俺の言葉を聞いて出ていった。


 あぁ……いい気分だ。我が国からまたゴミを捨てることができたんだから。

 いや、まだ問題は残ってる。財政。……俺がなんでこんなこと考えないといけねぇんだ。俺は王だぞ!!

 めんどくせぇことを俺に押し付けやがって……。


「クソ、クソ、クソッ!!」


 あれもこれも全部あの、くそスキルを持っていたゴミのせいだ!

 なんで俺は国から追い出したのに、あんな奴のことを考えねぇといけねぇんだよ。

 やっぱり殺しときゃよかった!!

 

「お父様。なにかお困りですか?」


「ん? おぉ〜! ハーチじゃないか! 丁度いいところに来てくれた」


 後ろからハーチが来た。

 こいつはいい。あの、ゴミとは比べ物にならないほど頭が良くてスタイルがいい。これが、本物の我が子だ。あのゴミは違う。あんなやつ、子なんて呼ぶ気にならない。


「どうしたんですか?」


「あのゴミのせいで、我が国の財政について書かれていた書類が見つからない。お前ならどうにかできるだろう。早急になんとかしろ」


「はい。かしこまりました。お父様」


 こいつは最高だ。なんでも俺の言うとおりに動く。何も考えずに、俺のことを信じ切って。そしてそれはすべてうまくいく。


 これにて一件落着。

 よし! 景気づけに新しい女でも仕入れるか。

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