第8話 自称雷帝と父上の会話1

「・・・仕方のないことなのよ。血を引く者である以上はね。あんたも国の王なら、他の者より物分かりが良いと想っていたけど」


 あいつの声だった。


「奴らの状況はどんなです?」


「正直。分からないわ。それに、今どんなであれ、目的のために手を結ぶことがあるのは、あたしたちと一緒よ」


「攻めて来るでしょうか?」


「来るにしろ来ないにしろ、こちらから行くことになるわ」


「どうしても、なさねばならぬのですか?」


「三重月の時は外せないの。幾代もの血を引く娘がそれを守って行動して来たわ。無論、あの人もそうよ。それを無にしないためには、仕方のないことなのよ。でも、このお肉、おいしいわ。このお酒も」


「妻の好きなワインです」


「なら、味わって飲まなきゃねえ」


(おいしそうなもの食べてるじゃない。

それに何なの、かあ様の好きなワインって。

なんで雷帝に飲ませてんのよ。

バカ父上。

飲ませるなら、私でしょ!)


 ただ部屋に入るのは我慢した。

 話の続きが気になる。


「サラマンダーの娘とフェンリルの娘」

 

 ここであいつは明らかに一呼吸、置いた。


「そしてあたし、ぬえの娘が一致協力してこそ、ことをなし得るのよ」


あんたは息子だろうと、私は突っ込みを入れる。


「そして、なさなければ、人間も人外も滅ぶわ」


「人外の者たちは準備しておるのですか?」


「あの者たちは、人間より戦えるからね」


(何?)

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