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スクリーンに映し出された映像が終わると同時に、辺りを、白い光が包み始めた。


「ニャー」


私の膝元で、ミケも、白い光を放っている。


ミケの体は、徐々に、小さな粒子となって空に舞っていた。


ーここは、生前、故人に寵愛を受けていた者が、その故人の紹介により訪れる事の出来る場所でございますー


ーどうやら、ミケ様は、最後の時間を、秀次様と過ごすことを望んだようですねー


ー最後の瞬間が訪れる、その時まで、どうかごゆるりと、おつくろぎくださいー


受付の彼女の、あの時の言葉が、私の中で反芻していた。


「ああ…」


ーそうか、ミケ、お前も…。


「ニャーオ」


ーお前も、私を置いて、逝ってしまうんだな…。

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