2022年7月②

 ノブコの家でノブコをフる際に、ノブコも別の男と連絡を取り合い俺と天秤にかけていたことを知った。付き合い始めてからも俺がマッチングアプリにログインしているようなので不審に思ったが言えなかった。だから私も別の男と連絡を取っていたということだった。俺が不信を抱かせたとはいえ、女未満のノブコでさえ自らの幸せのために男と並行して連絡を取るのかと感心した。その意気だ。お前は正しいことをした。俺とお前は同じ恋愛弱者だ。シンパシーを感じる。でも俺はもう行くよ。ありとあらゆる手段を用いて美女を抱きに行く。彼女がいたという事実。素人女にチンポをしゃぶらせた経験。男としての自信の土台を与えてくれたのは間違いなく君だ。ありがとう。心から感謝している。


 ミヅキがディズニーシーに行きたいと言ったので、後学のために行っておくべきと判断し同行した。俺は断言するが、興味のない女と行くディズニーほどつまらないものはない。舞浜で見るミヅキはいつもより一段と不細工で、園内で無数のカップルとすれ違ったが、ミヅキより醜い女はいなかった。こんなブスを連れて歩いているところを見られていること、こんなブスとしか付き合えないことが心の底から恥ずかしかった。ここまで俺を育ててくれた両親に申し訳なかった。

 小学生の頃親と来て以来のディズニーだった。園外と隔絶された世界を作り上げ客を酔わせるその徹底ぶりには脱帽するより他はなかった。海底二万マイル、アラビアンコースト、ニモ&フレンズシーライダー、マジックランプシアター…どれもすばらしいアトラクションだし、園内を歩いているだけでも十分に非日常を楽しむことができる。気心の知れた仲間や好きな女と一緒に来れば、の話だが。俺の羞恥はイケてる女とそれを連れている男とすれ違うたびに強さを増していき、タートル・トークの建物から出たところで夜空に花火が打ち上がったのを目にした瞬間、虚しさへと変わっていった。綺麗な花火だ。だが、このデブスと花火を見て何になる。このデブスと花火の美しさを共有したところで何の益がある。ミヅキにとっては恋人との神聖な瞬間なのだろう、うっとりとした表情で花火に見入っている。


 ミヅキ、俺も今日という日のこの瞬間を決して忘れはしない。豪華な部屋でエロカワイイ女のマンコを堪能するための施設“ホテル・ミラコスタ”、その傍で決して白鳥にならないみにくいアヒルと花火を眺めたその屈辱を。悔しさを。やりきれなさを。虚無を。怒りを。



 俺は必ずここに戻って来る。夢と魔法の国に、俺のセックスを叶えてくれる女と共に。

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