鹿 転生

トンケント

第1話

 私は鹿です。すっかり暗くなった森で、ぶるぶると震えていました。

 目の前に小柄なゴブリンがいて、棍棒を振りかざしています。状況は最悪でした。

 逃げた仲間は私を思い返すことはないでしょう。

 私も逃げたいのに立てません。尿を撒き散らすことしかできません。

 はじめての戦闘は訓練と違いました。親から教わった知識を活かすことができず、悔しさで胸がいっぱいです。

 涙を流しながら「むぉ〜ん」と情けない声を出しています。

 近くには人間という下等生物の村があり、ちょうど茂みから〝ガサガサ〟と物音がしています。

 暗闇を光りが照らした時、私は助かったと嬉しくなりました。しかし、それは思い込みでした。

 突如、茂みから現れたトラックが私とゴブリンを轢いたのです。

 トラックの来る気配はありませんでした。ゴブリンも驚いていたはずです。

 それがトラックの悪魔だと後の世界で知ることとなります。

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鹿 転生 トンケント @tonkento

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