転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】 中編version

こうつきみあ(光月海愛)

プロローグ 呪いとリセット

私の名前は安倍吉近あべのよしちか


 陰陽師、安倍晴明あべのせいめいの側室六人目の子供として生まれた。


 史上、どこにも名は残されていなくとも、確かに私は、父の「見鬼けんき」を受け継いでいた。


 しかし、陰陽師・滋岡川仁しげおかのかわひとが父にかけた呪いによって、息子である私は十八歳で必ず死に、転生を繰り返すようになってしまった。


 ――今度は、どこだ?

 いつの時代だ?


「橋本さん! おめでとう! 元気な男の子ですよ! 」


 産婆の高い声が聞こえる。

 良かった。

 今回も日本のようだ。

 自身の産声を聞いてから、前世の記憶は消去される。

 そして。

 運命の十八歳の誕生日になるまでに、少しずつ最初の前世の記憶だけが甦る。

 記憶・能力全てが戻った時点で、また最初からやり直しだ。




 ――私の名前は安倍吉近。


 自然を愛し、敬い、先祖を大切にする安倍晴明の息子。








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