ⅩⅢ
隣の席になった時に、二人は初めて顔を合わせた。
(隣の席って、確か、噂の三つ子の真ん中だっけ? 名前は確か……)
と、唯は隣の席に座っている二葉を見る。
(顔立ちは綺麗ね。やっぱり三つ子だからかしら? それに大人しそうだし、何を考えているのか分からない……。ん? あの子、誰を見ているのかしら?)
唯は二葉の視線の先をたどると、前の方の席に座っている男子生徒にたどり着いた。
(なるほど、あの男子が好きなのね……)
唯は、馬鹿馬鹿しいと思って、自前の小説を読み始めた。
これが唯が二葉に対する第一印象だった。
二葉は顔が赤くなり、机の中にしまっていた本を取り出して、その男子生徒と本を交互に見ながら赤くなっていた。
(あれだけ、赤くなるってことは相当好きなのね。あのなにもパッとしない男子のどこがいいのかしら?)
唯は、二葉の行動を呆れた顔で観察し、面白くなさそうにしていた。
そして、唯から二葉に話しかける。
「ねぇ、あなた、あの男のどこがいいの?」
「……え?」
二葉が顔を真っ赤にしながら唯の方を見た。
「え? じゃないわよ。さっきからあの男子の事をずっと見ているでしょ?」
「——‼」
二葉は顔を真っ赤にしており、あわあわと、慌ただしい様子をしていた。
「えっと、なんで?」
「見れば分かるわよ。あんた、あの男をずっと見ていたでしょ?」
「う、うん……」
顔を下に向け、小さく頷く二葉。
「やっぱりね。で、なんで好きなの?」
「おさな……から……」
小さな声で聞こえない。
「え? なんて?」
唯は二葉に訊き返す。
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