第二幕
第1話
四足歩行の漆黒の
漆黒の
濃蒼色の流線形のプレート・メイルのような装甲を装備した騎士型
西洋騎士鎧の兜のような頭部の額部分から角のような1本のアンテナと、目のようなデュアルカメラが特徴的だ。
両腕には横長の八角形の厚みのある手甲を、両脚には脚を覆うように円錐形の脛当てが装備されている。両脚の外側には両刃の剣が鞘ごと取り付けられている。
5本爪のバックラーが装備されている左腕を前面に構える。
濃蒼色の手甲を2周りほど包み込むような流線形のバックラーに描かれている羽根のような模様が漆黒の
「……何故に
騎士型
全天周囲モニターの前面に映し出されている、鷲の上半身を持つ漆黒の
「とは言え、こいつすばしっこいんだよな……まずは牽制に兼ねた攻撃で削るかな。隙があれば一気に畳み込むが……」
リクライニングシートの肘掛に実装されたマニピュレータを操作し、自身が駆る
前面モニター中央下部に『Sound Only』と表示されたウィンドウがポップアップで表示される。
『オーレン大尉、ぼやくのはクライアントからの依頼達成後にしませんか?』
見ると、『フレディ=サイ』というラベルがウィンドウ上部で確認できる。
「……フレディ中尉、お小言は、こいつを無力化した後にしてくれ。」
『では、実務的な話を……過去の
「ん?……偵察用の機体だったらなんか問題あんのか?」
言いながら、オーレンはリクライニングシート前方の両脚を乗せているペダルを踏み込み、乗騎を前方へ加速させる。
『28%』『24%』『23%』『13%』『12%』
「有効な攻撃箇所を提案する『ARES』の機能だったか?あんまり、参考になんねぇなこれ。」
ぼやきながら、右にひねった
同時に、構えた円錐型の巨大な
直線的な
「フッ……かかったな。」
オーレンは、ニヤリと笑みを浮かべリクライニングシートの左右のマニピュレータを器用に操作する。と、躱されたはずの
ギギギギギギギギギギギギギギ
見切った
オーレンが駆る
ギギギギギ……ガンッ
『あー……そう言えば、オーレン大尉は見かけによらず技巧派でしたね。通常の8割増しの機動力を備えた
フレディの呆れた声に含まれる無視できない言葉へオーレンは目を剥く。
「はぁッ!?通常の8割り増しの機動力だぁ!?」
マニピュレータを操作を操作しつつリクライニングシートのペダルを踏み込み接近し、膝蹴りで態勢を崩したASSALT GRIFFONの脇腹に
が、
無理やり中空に浮かぶと同時に青白く輝く2対の巨大なブレードを羽根の様に広げ、撃ち込まれた
道路へ着地の衝撃で亀裂を穿ちながら器用に左右ジグザグに移動し、オーレンが駆る
『まあ……今のような回避不能な攻撃もその馬鹿げた機動力で、回避出来るわけでして。はい。』
「何だ今のは!物理法則無視してんだろ!反則だろ!なんなんだこいつは!?」
思わず激高するオーレンにフレディは、努めてマイペースで応える。
『あー……だから威力偵察用……つまり
「はあ!?……
『ええ……まあ……機体照合データと比較すると、更に強化されてそうですね。これ。』
淡々と受け応えるフレディに、オーレンは毒気を抜かれる。
「……ところでなんで、
『……私に言われても困りますが、我らの参謀が言うには
「……出稼ぎでもしてんのか?」
『出稼ぎですか……面白い解釈ですね。』
「面白くねぇよ……」
『……個人的な感想ですよ……まあ、今回の睦月グループの代表権保持者の暗殺防止依頼を我々が請け負ったのも、先々に想定されている対露西亜連邦戦の情報収集の一環でしたから好都合ではありますがね。』
「作戦行動前のブリーフィングでも聞いたが……我らが参謀の予想は当たんのか?」
『
「ああ……あまりにも現実離れしすぎてないか?対魔獣戦でそれどころじゃねぇと思うが……」
『表面上の情勢だけみれば、その通りですよ。』
「表面上?」
『ええ……中華大国は、
「中華大国?鉱物資源?……宣戦布告とどう関係するんだ?その話。」
『まあ、聞いてください……中華大国の探り当てた鉱物資源が
「はぁッ!?」
『我々が駆る
「……その話が事実だとすると……」
『ええ。開発された試作機は、中華大国国内の対魔獣戦を通じて十分な性能テストがされているはずですから、そのテストデータを基にした量産機が既に多数ロールアウトしている場合……』
「……既に
『……プロパガンダ的には、一昔前の南北問題のように
「もし、中華大国の技術や動力源となる資源が露西亜連邦側へも渡っているとなると……」
『今、我々がが対峙している
「はっ!おもしれじゃねぇか!」
『……オーレン大尉、クライアントからの依頼を達成することが優先です。『睦月グループ』の代表権保有者の暗殺を防ぐことが目的であって
オーレンの口調に不安を覚えたフレディは、若干、合わせたように強調する。
「……判ってる……判ってますよ……」
『……絶対、判ってないでしょう?』
何処か気もそぞろに応えるオーレンの口調に対し、前面モニター中央下部に『Sound Only』と表示されたウィンドウから、フレディの呆れた声が聞こえた。
◆◇◆◇
◇◆◇◆◇
「……やってくれるじゃねぇか……」
レーシングカーを思わせるコックピットで銀髪の男は、正面モニターに映る濃蒼色の騎士型
正面下部のコントロールパネルからは、四肢のバランサーの数値が異常値を示しており、異常を訴える警告音や機体の損傷個所を伝える画像が表示されている。
「……たしか、
呟きながら、正面下部に機体の損傷個所が表示されているコントロールパネルを見やる。コントロールパネル上部の『Auto Adjust』というボタンを押す。
正面下部のコントロールパネル上に表示された四肢のバランサーの数値の自動補正され警告音が消える。
コントロールパネル横に配置されている、表示されているエネルギーゲージを拡張するボタンを押し込む。8段階あるエネルギーゲージのうち、現在3段階目にあるものを5段階に引き上げると両腕で持つ操作レバーを引き、機体を立ち上がらせる。
『『銀狼』聞こえるか!?『
『赤狼』の声を途中で遮るとつづける。
「標的優先なのは判っている。だが……こいつがそう易々と道を譲ってくれそうに見えるか?」
『……見えねぇな……』
少しの間を置いて『赤狼』が応答する。
「……
『……判っているならいい。』
「まあ、個人的には
言いながら、ニヤリと犬歯をむき出しにて嗤うと、両手で握る操作レバーを外側に押し込む。
これまで操作レバーを動かしていた『Gear2』という表記がある可動域を『Gear5』という表記がされた可動域へ動かす。『Gear1』から『Gear8』の表記がある可動域の溝から濃紫色の光が漏れる。
それに合わせて、漆黒の
「さて、ここからが本番だ。このASSALT GRIFFON HELLの本当の力を見せてやる。欧州最大の
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