女神様の婿 女神様に見初められた男は、防御力皆無でも世界最強? 亜神ハーレムで神へと至る (旧題 防御力ゼロなので堕勇者になります 改変版)
蒼真 咲
プロローグ
俺の名は有馬実26歳。都内近郊の大学を何とか卒業したはいいけど。特に就職活動などはやってこなかったし、なりたい職業なんてものは考えても出てこない。将来の夢なんて無かったので、なりたい職業が決まらないまま、だらだらと大学生活を送って来た。まともな就職活動なんてしてこなかったので、幸先の良い就職先などあるはずが無く、回されるのは新入社員使いつぶしのブラック企業ばかり。
まぁ、そんな俺に彼女何て出来る訳も無く、年齢=彼女いない歴を絶賛更新中だ。当然のことだが、まだ童貞である。
友達とかも作って来なかったし、家に帰ったら部屋に引き籠ってテレビを見て、ゲームして、ただ消費するだけのつまらない生活。
漫画や小説なんかを書こうと思った事もあったが、大抵3日か一週間持てばいい方だった。
そんなのプロの作家じゃないんだから当たり前?いや、そうかもしれないが、俺の周りでは同人活動なんかに精を出す奴らもいたし、中学からWEB小説を書いてる隠れ小説家なんて普通にいた。あいつらに比べたら俺はただの一消費者でしかない。
ブラックな会社に何度目かの辞表を提出してきた帰り、まぁ辞表なんて受け付けてくれた事すらないんだが――。
いつもの路地、あと一つ曲がれば家に着くと思っていた所、突如発生した光の渦に巻き込まれた。
「え?何?うわぁぁっ」
俺の意識はそこで停止する事になった。
◇◇
何も無い漆黒の闇が目の前に広がっていた。
いつからここにいるのか焦点の定まらない目で辺りを見回してみるが、やはり何も見えない。俺は何でここにいるのか。在るはずの耳には何の音も聞こえてこない。ここは何処だろう。
ふと、誰かに呼ばれたような気がした。その声?のような物に意識を集中すると、俺の体に徐々に感覚が戻ってくる感じがした。そして意識が覚醒した。
「うん、んえ!?こ、ここは……?」
暗闇を見回してみると、背後に暗室に穴を開けたような光が一筋差し込んでいるのが微かに見えた。
「光が差してると言うことは、あっちが出口かな?」
俺は、とりあえずその光に向かって手を伸ばした。
光に触れると、光の奔流が溢れ出し、その眩しさに俺は顔を顰めた。
「神殿?」
そこは光に溢れた空間というより神殿?のような場所だった。白い床は大理石のように磨き抜かれ、白い石の柱が何本も並んでいる。その中心には赤い絨毯が引かれていて、その奥の玉座には肘掛けに肘をついて、銀髪にエメラルドグリーンの瞳をこちらに向けている美幼女が座っていた。
肩まで伸ばしたサラリとした銀髪に、まだ幼い顔立ちの美少女は巫女服に似た白装束を纏っていて、お腹の中心部分には大きな淡いピンクのリボンがその存在を主張している。
「うん? ほう……お主、人族か……久しいのう」
玉座に座った銀髪ロリ美少女はチラリと俺を一瞥すると興味なさげに言った。
「か、……可愛い」
「うむ……ほうお主、
銀髪の美少女は、ほれ帰りはそっちじゃって感じで手を振っていたが、その言葉を聞いて、玉座の美少女に見惚れていた俺は我に返った。
「ちょ……ちょっと、待ってよ! 全く状況が分かんないんだけど?……ここは何処であなたは誰なんですか? それに、帰れと言われても……」
「煩いのぅ……まぁ茶でも飲んで、落ち着くのじゃ」
面倒くさそうに玉座の銀髪ロリっ子がそう言うと、俺の目の前に白い丸いガーデンテーブルと椅子が現れ、その上には湯気の出る2組のティーカップが乗っていた。
紫色の茶だ。
「……い……いただきます」
俺は出された椅子に座り、見たことのない紫色の液体に目を顰めたが、喉も渇いていたのでフーフーと温度を確認すると、一気にカップをあおった。
「うわっ!! 熱ちっ」
こぼれた紫の茶が俺の紺色のスーツに染み込む。俺の恰好は会社帰りだったので緑のネクタイにスーツ姿だ。
「全く、もっと味わって飲まんか。これは中央大陸北部に生息する紫高山トレントより取れた希少な茶葉なのじゃぞ」
「ゲホッゴホッ」
なんか熱くて味はよく分からなかったけど、トレントって何ですか?
「さて、特別に質問に答えてやろうかの」
銀髪ロリっ子はそう言うと、白いガーデンテーブルの向いに座った。
いつの間に移動したのか、瞬間移動のような感じだったんでちょっと驚いてしまった。玉座から歩いてきたにしても、ちょっと早すぎる。
「な……」
銀髪ロリっ子は、ティーカップの縁に手をかざし、人さし指で円を描くと、その取手にしなやかな白く細い指をかけた。
「まずは……ここは何処かというのじゃったか? ここはそなたの世界、地球と異世界を繋ぐ亜空間にある
銀髪ロリっ子は、ティーカップの茶を啜りながら、ここは亜空間だと言った。
亜空間だって?
「んな馬鹿な……」
そうかこれは夢だな うん そうだ夢。
俺はこれは夢だと考えることにした。うん銀髪ロリっ子かわいい。
「夢ではないわ、そして
何か、考えてる事が漏れてる気がするんだけど?
「えぇ?……め、女神様?本当ですか?」
「マジじゃ。この亜空間にお主が飛ばされてきたのは、誰かが異世界召喚でもしたのじゃろうな……。
「……って、ここに来たのは、女神様の仕込みですか!?」
「その通りじゃ」
「はぁ……その、仕込みはいいんですけど、女神様は何でわざわざ俺をここに飛ばしたんですか?」
「そんなの決まっておる。暇だからじゃ」
「はぁ……暇ですか」
「世界に干渉するには、
「そうなんですね、寂しくないんですか?」
「寂しいからお主を呼んだのじゃ」
「ですよねぇ」
「うむ、今日は気分が良い、何でも聞くが良い」
「なら俺は何で異世界に召喚されようとしているのか知りたいです」
「知らんのう……まぁ……何かの手違いじゃろうな?お主のその潜在力では、何の役にも立たんじゃろ」
「えぇ……」
「本来ならば減少した世界の力を補充するために
「はい?」
「安心せよ……痛くはしない……」
ええ?今目逸らしたよ?何ですか供物って?
「まぁなんじゃ、
「地球人ですか」
「……
「なるほど?」
「あー! 信じとらんな? この世界の人間達は妄想力が足りんのじゃ」
「地球にある文化的先進国の日本には妄想カルチャーが進んでおっての」
「あー、アニメとか漫画……ラノベとか?」
「そう、それじゃ。その妄想力が我には必要なのじゃが、お主には少し足りんようじゃ」
まぁ……中二病なんかは卒業したし、特にクリエイトな人生は送ってないな。
「それに、家じゃゲームばっかりやってたしなぁ……」
「ゲームじゃと? その話、詳しく!!」
「ほれ、特別に良い酒を出してやる。もっと飲め!」
「あ、じゃいただきます」
「
なんか、ロリ神がなんか目を輝かせながらゲームという単語に食いついてきたよ?
「最近だと多人数参加型のVRMMOとかRPGに嵌ってたかな…… 据置型のゲームも画質が良くて良かったけど携帯型の端末で高画質になってからは子供も大人もどこでも楽しめる携帯ゲームが主流になってきて……」
「ふむふむ……そうかそうか それでそれで?」
「ってこんな話、面白いですか?」
「面白い!!地球人の話を聞くのも久方ぶりじゃ」
そんなこんなで、俺は暫くロリ神とのゲーム談話に付き合わされる事になった。
「なんと、そのシリーズはもう18まで出ておるのか?」
「そのシリーズはオンライン版も2つほど出てますね」
「その……オンラインとはなんじゃ?」
「インターネットネットワーク上のゲームサーバにゲーム機を繋げて多くのユーザーが同時に同じ世界で遊べるっていう……」
「ふむふむ、おおう、そうなのじゃな」
ロリ神と俺は、なんか気が合ったようで、頂いたお酒もどんどん勧めてくるし、気が付いたら朝になっていた。
いや、亜空間に朝があるのか分からないけど、気が付いたら俺はべッドに横になっていたのだ。
着ていた服は脱ぎ散らかされて床に落ちている。パンツもだ。その横にはあの銀髪のロリ神様が着ていたはずの着物が落ちていた。
「え?」
布団を捲ってみると、裸の俺の隣には裸の銀髪の美少女が幸せそうな寝顔で寝ていた。
「ええええええ!?」
「何じゃ、もう少し寝かせてくれぬか?旦那様」
「えっと俺、何かしちゃいました?」
「ナニかシたのは間違いないのう。良いのじゃ
「ふぅ……久方ぶりに楽しい夜じゃったぞ」
「それは……どうも」
「そうじゃ……旦那様の名を聞いておらんかった」
「あ、ああ……そういえばそうですね……俺の名前は、
「ふむ、旦那様は
「今日から婿殿はアリマ・エリスロードと名乗るが良い」
ええ?俺の名前の方、取られちゃったよ?
でも、ロリ神の笑顔が可愛すぎる。本当に俺、女神様と結婚したの?
「
「エリスロード様か……なんか言いにくいなぁ……エリス様の方が可愛いと思うけど」
「なっ……そっそうか? 可愛いか? その方が良いかの?」
俺が頷くと、エリス様は顔を赤らめてはにかんだ。
「では、とっ……特別じゃぞ、特別に婿殿にはエリス様と呼ぶ事を許そう!」
「ありがとうございます。エリス様」
俺はちょっと貴族っぽく胸に手を当てて挨拶してみた。執事ってこんな感じだろうか。
「で、今後の事じゃが……婿殿はこのままでは、召喚後にすぐ死ぬ運命になっておるのじゃ」
「ええええ!?エリス様?俺が?」
死ぬの?俺。
「そこでじゃ、婿殿にはここで修行してもらう事にした。婿殿は
「あ、ありがとうございます!それでどのくらい修行出来るんですか?」
「この異空間は、時が止まっておるから妾が納得するまでじゃな。それに、新婚なのじゃ。このまま旦那様と離れるのは嫌なのじゃ」
エリス様が可愛すぎる件。こんな幸せで良いんだろうか?
そして、エリス様との新婚生活、もとい修行の日々が始まった。
まずは基礎体力造りから。
まだまだ体力が足りぬぞ、それでは
◇◇
……もうどのくらいの年月この空間で過ごしたのか、もう分からない程になっている。
「そろそろ婿殿の体も、ここの空間に馴染んで来たかの?」
「ですね」
エリス様との新婚生活により、エリス様のオーラ?生気?神の力?に常に包まれていた俺の体は、見違えるほど頑強になっているようだ。
「では、婿殿にはこの異空間に戻ってこれるように、
「加護ですか?エリス様のご加護?」
「……まぁ加護の効果は追々分かるじゃろ」
「それと、これはこれから行く世界で必要な力の源じゃ。
エリス様が俺の胸に手をかざすと、白と黒の拳大の発光する玉が現れ、俺の胸の中に吸い込まれていった。
「婿殿は、これで
「亜神って、神様になったという事ですか?」
「まだまだ、神の眷属じゃ、これからの修行はもっと厳しくいくぞ」
そして、また数えきれない年月の修行の日々が続いた。
魔法、そして神の力を使った様々な術式。剣術、武術等々。
眷属として女神様の婿として、婿修行とでも言うのかな?
……ただ、そんな日々にも終りが訪れる。
「残念じゃが、これでここでの修行は終わりじゃ。婿殿は既に十分異世界に耐えうる体になっておるはずじゃ。あと最後に、婿殿には試練を与える事にする。神格を
「了解です!エリス様、今まで、ありがとうございました!」
ここまでの修行の日々は長かった。今ではエリス様の傍を離れたくないという気持ちが強い。
「言っておくが、
……ん?って事は眷属はいいんですか?
「それから、浮気にはペナルティが課される事。
「ぺ、ペナルティですか?」
ちなみに、浮気するとどうなるんだろう?
「
「え?」
「ええい!言わすな!
怖!常に見張られているのか俺?
「あー、あはは。そう……ですね。神罰が当たったりして」
「………………」
その間は何?え?神罰当たっちゃうの?
「おっと……そろそろ、もう時間のようじゃな」
「え?時間って?」
「いつでも帰りを待っておるぞ、
最後に見たエリス様の笑顔は寂しそうで、俺は絶対にここに戻ってくると決意する。
「はい、エリス様、行ってきます!」
そして俺は、白い神殿の世界から暗黒の渦の中に落ちて行った。
「……婿殿。はぁ、
白い肌の幼い女神が口元に艶のある笑みを浮かべ、暗闇をただ見つめていた。
あとがき
なろうで書いていた小説を設定変更した改変バージョンになります。こちらは、エッチシーンは極力無しの方向です。
面白いと思われましたら☆☆☆、♡ で応援の方、よろしくお願いします。
更新頻度が上がるかもしれません。
こちらは、更新頻度はゆっくりの予定です。
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