第26話 癒しのTwitter時間 ⑴
期末試験期間は、澪にとって、年に5回襲って来る試練の1つ。
重くなって常に下がって来るような
その傍らには、いつでもスナック菓子とチョコとコーヒー、そして何を置いても大好きなTwitter。
【mio】のアカウント名の方では、
『この世の終わりかと思えたくらいの大失恋(T_T)から早1週間、少しだけ立ち直れたかも知れない』
『......いつまでもメソメソと引き摺っていては、勉強に集中出来ないもんね』
『あ~、勉強もうイヤ!早く学生時代終わって、大人になりたい~!』
『眠い、眠い、眠い~~っ!』
......など、とりとめのない言葉を並べていたが
【mokk】の方では、【クモノスケ】に即、呼応すべくハートマークの『いいね!』を表示させたり、競うように雲画像をアップし、【クモノスケ】からも『いいね!』をもらい、SNS上のやり取りだけで大満足の澪。
(あんな事が有った後でも、私は、土田君のマイペースさに元気付けられている!土田君、やっぱり心の広い人だな~!試験期間中でも、ツイートから全然ピリピリした雰囲気は感じ取れないし、私と違って頭が良いから、土田君は余裕有るんだな、きっと。それにしても、井上さんは、いいな~、土田君と一緒の塾って!一緒の塾もいいけど、私は、土田君に直で教えてもらいたいな~!いつか、そんな夢みたいな事、叶う時が来るかな~?おっと、こんなんじゃあ、試験勉強が全然進まない!)
心を切り替えて、真剣に勉強に臨んだ澪。
澪にとっては、地獄の如く感じられた長い期末試験期間も、何とか赤点になる事からは切り抜けられそうでホッとした、試験の最終日。
周りは、学校帰りに、そのままカラオケやランチに出かけたりする話で盛り上がっている。
今にも倒れそうな勢いの睡魔が襲っている澪は、同行するような友人もいないのをこれ幸いとばかりに直帰した。
着替えながら、猛烈に眠かったが、それでもPCを起動させ、今は【クモノスケ】のツイートをチェックし、その言霊に癒されながらベッドに平伏したかった澪。
その気持ちに反して、澪は、ベッドに向かう事が出来ない状態になった。
このタイミングで【クモノスケ】から再びメッセージが届いていたからだった。
(試験がこの日に終わっただけでも嬉しいのに、【クモノスケ】からメッセージまで受け取れるなんて、今日はラッキー過ぎる!)
ドキドキしながら、メッセージを開くと......
『近場で来られる人だけで良いので、今からオフ会しませんか?砂川のハイウェイオアシス館のフードコートで待ってます!』
【クモノスケ】からのオフ会のお誘いのメッセージで、勉強疲れも睡魔も一気に吹っ飛んだ澪。
(嘘みたい......!他に近場のフォロワーさんいなかったら、私と土田君で2人っきりだから、デートみたいなシチュエーションになる!どうしよう!あ~、何着て行こう?嬉し過ぎて、もう頭パニックなんだけど!)
「ただいま~」
同じく期末試験の最終日だった那知が帰宅した。
「あっ、那知~!見て見て、どっちのワンピースがいいかな~?」
嬉しそうな表情で、2つのワンピースを部屋着の上から合わせ、傍目から見て自分に似合っている方を那知に選ばせようとする澪。
「澪、マジで、完徹後に出かける気?」
普段バイトで学業を怠けている分、試験前だけは、澪と同じく徹夜が続き、眠そうな様子の那知。
「だって、ほら、見て見て~!」
あまり嬉し過ぎて、スマホの画面でもTwitterを開き、思わず記念にスクリーンショットしていた【クモノスケ】からのメッセージを那知に自慢気に見せびらかす澪。
「オフ会の誘い?マジか?やったじゃん!」
「でしょ~!まだ信じられない!このスクショは、私にとって、もう永久保存版なの!」
眠気も忘れ、すっかり興奮状態が続いている澪。
「スクショする気持ち分からないでも無いけど、澪だけ個人的に誘われたってわけじゃなく、フォロワー全員にそのメッセージが送られているなら、そこまで尊くないような......」
「ううん、十分尊い!だって、この辺に他にフォロワーさんいなかったら、目的地に行くのは、私と土田君だけで、それって、つまりデート状態って事なんだから!」
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